三十六話
船長室
海賊船に乗り込んだ明日奈は立派な扉を目指して歩いて行き、扉を開けて普通に中に入った
そして部屋の中を見ると海賊船船長が付けていそうな帽子を付けて、海賊船船長が着てそうな服を着た、船長らし人物が椅子に偉そうに座っている
「あなたがジャックスパパーンさんかしら?」
明日奈は椅子に偉そうに座っている人物が海賊船船長か確認してみる
「そうだ、俺がジャックスパパーンだ」
やはりこの偉そうに椅子に座っている人物がジャックスパパーンのようだ
「そう、ならもう諦めて引いてくれないかしら?あなたの部下達は冒険者や船員達の皆が頑張ってくれたおかげでボロボロもうあなたに勝ち目は無いでしょう?」
明日奈はスパパーンにもう諦めて引かないかと言ってみる
「確かに俺の部下達はお前達に追い詰められているようだが、まだ勝ち目はある、俺が出れば良いのだからな」
どうやらスパパーンは自分が出れば圧倒的に海賊側に不利な状況を覆す自信が有るようだ、明日奈はそんな船長の覇気と自信有り気な顔を見て確かにこの人ならやってしまえるかもと思った
「確かにあなたはまだ出て居ないわね、でも私があなたをこの部屋から出させないわ」
そう明日奈はこの強者の雰囲気のするスパパーンをこの部屋から出すつもりは無い、戦いになるのなら全力でスパパーンを部屋に引き止めそして倒すつもりだ
「クックック面白い小娘だ、俺を部屋から出させないだと?」
スパパーンは自分を部屋から出させないと言う明日奈の言葉を聞いて笑う
「何が・・・」
おかしいの?と言おうとした明日奈の目の前の景色が一気に吹き飛んだ、景色が吹っ飛んだと思えば背中に衝撃、そして気付けば空が見えている、どうやら明日奈はスパパーンの攻撃により部屋の壁を突き破り外に吹き飛ばされたらしい
「蹴られたか殴られた?反応出来なかった・・・」
明日奈はスパパーンの攻撃に全く反応出来なかった、どうやらスパパーンは明日奈が反応出来ない位の速度の攻撃を放てるようだ
「どうした?俺は外に出たぞ?小娘」
スパパーンは明日奈の背中が突き破った穴から出て来ると明日奈の方に歩み寄って来る、それを見た明日奈は剣を抜く
「・・・」
明日奈は尻尾を九本出すといつも以上に集中し剣を構える、この船長は恐らくは恐ろしく強い、集中していなければ一瞬でやられる
「良い目だ、俺とどこまでやれるか見させてもらうぞ!小娘!」
そしてスパパーンはサーベルを抜き明日奈に斬りかかった
海賊船、甲盤
スパパーンが斬りかかって来る、明日奈はまず一撃目の横振りの斬撃をかわし、バックステップで後ろに下がる
「遅い」
だが明日奈が後ろに下がる速度以上のスピードでスパパーンは明日奈に迫り、突きを放った、その突きは明日奈の左肩に突き刺さる
「くっ!」
(速い!)
スパパーンは明日奈の左肩から剣を引き抜くと次は蹴りを放って来た、明日奈はそれをかわすと上から剣を振り下ろしたがスパパーンは剣でそれを軽く防ぎ明日奈の剣を斬り上げる
剣を斬り上げられ腕が上がった明日奈には大きな隙が出来る、腹がガラ空きである、そのガラ空きの腹にスパパーンの蹴りが命中し、明日奈はまた壁に向けて吹っ飛び壁をぶち抜いた
「・・・これはマジでヤバイわね、さてどうしよう」
木のかけらやら板に埋まっている明日奈はゆっくりと近付いて来るスパパーンが攻撃出来る距離になるまでの間、作戦を考えるが何も思い付かない、何故なら単純に力量で負けている気がするからだ
「ッ!左腕が使えなくされたのも辛いわね、まぁ頑張るしかないよね」
結局良い作戦が思い付かなかった明日奈は立ち上がると、甲盤に戻る
「よしよしよく立った、お前はウォーミングアップに丁度良いからなもう少し頑張ってくれ」
「言われなくても頑張るわよ」
今度は明日奈からスパパーンに斬りかかる
大陸間横断船
大陸間船船員、冒険者と海賊船船員の戦いは大陸間横断船、冒険者側の勝利でほぼ決着が付いていた後は残り少ない敵を倒せば大陸間横断船上の戦いは終了だ
「殆ど終わったな」
「そうだね終わったね、明日奈大丈夫かなぁ?」
メリアが明日奈は大丈夫かと言った所でメリア達が立っている場所の近くの壁に何かが飛んで来た
「何!?」
「なんだ!?」
シュルクとメリアは慌ててそちらを見る、すると
「明日奈・・・」
「明日奈大丈夫!?」
飛んで来たのは明日奈だったどうやら海賊船からここまでスパパーンにより吹き飛ばされたらしい、メリアとシュルクは慌てて明日奈に駆け寄る
「意識が無いよ・・・」
「気絶してるな、多分敵の船長と戦ってここに吹き飛ばされたんだろうが、明日奈をここまでやるってどれだけ強いんだよ・・・」
そしシュルクが倒れた明日奈の怪我を治療する為横向きに抱き、メリアと共に船の中に入ろうとした所で二人の後ろが騒がしくなる
「あれが明日奈をやった」
「ジャックスパパーンだな」
明日奈を倒したスパパーンはどうやらこちらの船に乗り込んで来たようだ、船員や冒険者達を襲っている
「明日奈の治療が終わったら俺たちもあの戦いに参加するぞメリア」
「うん、急ごう」
メリアとシュルクは明日奈の治療をする為、船の中に入って行った




