三十五話
大陸間横断船
明日奈は飛び戦っている船員や冒険者海賊達の上を飛び越えると大男の前に降り立った
「なぁんだぁ?お前」
大男はゆっくりとした口調で明日奈に何者かと聞いてきた
「私は久城明日奈、あなたは?」
明日奈は聞かれたので自分の名前を言い、そして聞き返す
「俺のなぁ前はデューズだぁ」
「ふぅん、ねぇ?あなた達の船長って何処に居るの?」
明日奈はこの男なら言ってしまうかもと思い、戦場にはそれらしき姿が見えない海賊船船長の居場所を聞いてみる
「船長?せぇん長ならほら見えるだろぉ?あの立派な扉、あそこを開けると船長室なんだぁ、船長はそぉこにいる」
明日奈はデューズが教えてくれた立派な扉を探す為に海賊船を見る、すると確かに立派な扉が有るのが見えた、確かに船長が居そうな扉である
「ありがと、それじゃあなたを倒してあそこに入らせてもらうわね?」
「俺ぇを倒すぅ?そぉんなの無理だ、ぜぇったいになぁ!」
デューズは自分を倒すと言う明日奈の言葉に対し怒ったようだ、剣をブンブンと振り回している
「倒すわよ?ほら行くわよ!」
そして明日奈はデューズに向かって斬りかかった
明日奈はデューズに斬りかかる、それに対しデューズは剣を体の前に構えて防御の姿勢を取っている
「セェイ!」
明日奈はデューズの大剣に思いっきりホワイトローズを叩きつけたが
「なぁんだぁ?そんなんじゃぁ俺はびくともぉしねぇぞぉ?」
デューズはビクともしなかった、そして明日奈が距離を取る前に剣を押し込んで来る、明日奈はデューズのあまりにも強い力に一気に押し込まれた
「なんて力!ホワイトローズ!」
『Yes、身体強化を筋力に回します』
押し込まれている明日奈は身体強化で筋力を上げると徐々に押し返して行き、逆に押して行くが、もう少しで押し切れそうになった所でデューズの巨大な拳が飛んで来ているのが見えたので後ろに飛んでそれをかわした、かわされたデューズの拳は床に突き刺さる
「・・・なんて力よ全く、呆れちゃうわね」
明日奈は床に突き刺さったデューズの拳を見て、その強過ぎる力に呆れる
『あの拳を一撃受けただけでマスターの意識が飛んでしまうと推測します、ですので当たらないで下さい』
「言われ無くても当たらないわよあんなの」
明日奈はまた斬りかかる、それを見たデューズは今度は剣を振るって来る
「ッ!」
明日奈はデューズの横振りの斬撃を頭を下げてかわすとデューズの股の下をくぐりデューズの後ろを取った
「体重の重そうなあなたはそう簡単には振り返る事は出来ないでしょう?」
「く、くそ!」
明日奈に後ろを取られたデューズは振り返ろうとするが遅い、明日奈はデューズが振り返り切る前にデューズを斬る
「ホーリーソード」
明日奈は光の斬撃を振るう、明日奈の振るった光の斬撃はデューズの背中に大きな切り傷を作り、振り返りかけだったデューズは俯けに倒れた
「その力の強さで動きが速かったらこっちがヤバかったわね、さて船長さんに会いに行きましょうか」
デューズを倒した、明日奈は海賊船に飛び移ると例の立派な扉にへと向けて歩いて行く
メリアとシュルクは客室に繋がる扉に入ろうと向かって来る海賊達と戦っていた
「シュルク!左だよ!」
「お前は前だ!」
二人はお互いにお互いをフォローしながら戦っている、その互いのフォローのおかげか安全に戦えており怪我は一切ない
「大分少なくなったね、前」
「そうだな、右」
海賊達は冒険者や船員の奮闘によりだいぶん少なくなった、だがここで油断すればこちらが殺されてしまう可能性が有るので誰も油断などしない
「ねぇシュルク、私ね明日奈が海賊船に飛び移ってるの見えたの、明日奈海賊船の船長倒しに行ったのかなぁ?斜め右」
「俺も見えた、多分そうだろ、斜め左」
メリアは明日奈が海賊船へと飛び移って行くのを見ていた、それを見たメリアは若干心配になった、一人で大丈夫かと
「まぁあいつなら大丈夫さ、俺達はここを絶対に守るぞ」
「そうだね、明日奈なら大丈夫だよね!」
メリアはシュルクの言葉を聞き明日奈の強さを思い出し、明日奈なら一人でも大丈夫だと思い直し、そして明日奈に任された扉の守護と言う仕事を完璧にこなす為に戦う
サンダーラの国
明日奈達が海賊達との戦闘を行っている頃、ウィリアムはとある港街でサボールに向かう船に乗って出航を待っていた
「これで明日奈に会えるな、会うのが楽しみだぜ」
ウィリアムは一日に四つほど依頼を受けていた、その為かなりの短時間で大陸間を横断する船に乗れる程のお金を稼いでいる、それも全て明日奈に会う為である
「待ってろよ明日奈・・・そして怒らないでくれよ」
そして船は既に明日奈は居ないサボールに向けて出港する、船に乗る前に明日奈が現在何処に居るのか調べ忘れたウィリアムを乗せて
 




