三十三話レーヴァテイン編2
一つ目のレーヴァテインの遺跡、二階
キラーマシンの話を聞き尻尾を楽しげに揺らしながら話を聞く明日奈は、通常の人間よりは良く効く鼻に何かの匂いを嗅ぎつけた。
「薄くガスの匂いがする・・・、みんな、私の後ろに隠れて?」
明日奈の自分の後ろに隠れろと言われた、鈴達は明日奈の後ろに隠れる、それを見た明日奈はガンモードのホワイトローズから銃弾を撃つと、すぐに仲間達を覆うようにシールドを張った、するとシールドの周りが炎に包まれた、恐らくは二階全体が火の海になっているはずだ。
「君の鼻が効いて助かったよ・・・」
「あ、あはは・・・」
明日奈達は火の海が消えるまで、シールドの中で待ち続けた。
「殺す気か!あのヤロー!」
どうやらコソコソと先回りして居た一匹が巻き込まれたようだが、聞かなかったことにした方が良さそうである。
四階
遺跡は二階から三階まで燃え尽きていた、どうやら二階か三階まで上がって来た侵入者が火器を使った時点で確実に死をもたらすように、ダンジョンの作成者が罠を張っていたらしい。
「一本道ね」
「はい、そしてここはガスの匂いはしません」
明日奈達の目の前にはズーンと伸び一本道が見えている、そして鈴の鼻によるとガスの匂いはしないらしい。
「見通しがいいおかげで敵が居ないのも確認出来るな」
「うん、と言うわけで五階に行っちゃいましょう」
明日奈達は敵(恐らくは火に怯えて、壁が崩れた場所から外に逃げた)が居ない一本道を進んで行く。
五階
五階はだたっ広い部屋である、中心には鞘を刺してくれと猛烈にアピールしている台座がある。
「あれに刺せと言うことね?多分」
「多分な」
明日奈は台座に近付くと鞘を突き刺す、すると台座が青く光り出し、鞘に何やら力を注いで行く。
「その鞘!頂くわ!」
そこにアニューが現れた。
「あげないわよ」
明日奈はアニューが現れたのを見て、鞘を守るように立つ。
「なら無理矢理奪い取ってやる!」
明日奈の言葉を聞いたアニューは拳に闇の炎を灯し殴りかかってくる。
「へぇ、速いな、でも甘い」
同じく拳で戦うクリスティは、アニューの動きを読むとカウンターを喰らわせ、アニューを怯ませた。
「なっ!?」
明日奈以外は舐めてかかっていたアニューはクリスティのカウンターを喰らい驚く。
「フン、歳上を舐めるなって事さ」
クリスティはアニューの驚いた顔を見て、フンと笑うと更にアニューに向けて攻撃を放つ。
「くっ!」
アニューは迫るクリスティを見てバックステップで距離を取る、そんなアニューをフォードが後ろから狙う。
「喰らえ!」
「チッ!」
アニューは後ろから迫るフォードの大剣を片手で受け止めると、そのまま彼を壁に向けて放り投げる、そこにフォードに注目している事で出来た隙を狙い、鈴が魔法弾を放つ。
「闇の息吹!」
アニューは鈴の魔法弾を龍の息吹で消し去った、そして鞘に向けて走るが明日奈が立ち塞がる。
「あげないって行ったでしょ?」
「だから、奪うんだよ!」
アニューは立ち塞がる明日奈を押し退けようとタックルをする、明日奈はそれをタックルで迎え撃つ。
「んっ!」
「あっ!」
ゴツン、タックルでぶつかり合った二人の頭がぶつかり合った、頭をぶつけ合った二人は頭を抑えて蹲る。
「何してるんですか・・・」
鈴は蹲る明日奈に呆れつつ、どうやら力の吸収が終わったらしい鞘を台座から引き抜き、鞄の中に入れた。
「あー!鞄の中に入れるなんてズルい!」
鈴が鞄の中に鞘を仕舞い入れたのを見てアニューは、頭を抑えつつ地団駄を踏むと、明日奈達を睨み付けながら何処かに転移して行った、どうやらこれ以上ここに居ても仕方ないと思い帰る事にしたらしい。
「なんだったんだ?」
いきなり現れて帰って行ったクリスティを見て、クリスティは首を傾げる。
「レーヴァテイン、神器を奪おうとしている、無の部下よ」
「ふぅん」
アニューと同じく拳で戦うクリスティは彼女に興味を持ったらしく、また会える日を楽しみにする事にしたようだ。
「それじゃあ、帰りましょうか」
「はい!」
遺跡の攻略を終えた明日奈達は遺跡を後にした。
明日奈の自宅
「ただいまー」
一つ目の遺跡のを攻略を楽勝で終えた明日奈は家に帰って来た、するとムスッとした顔のレビィと、嬉しそうな顔をした娘二人が出迎えてくれた。
「ママ〜」
「お帰り〜」
明日奈は抱き着いてくる二人を抱き上げながら、レビィの表情を見て苦笑いを見せる。
「お姉ちゃん、私、今日も一緒に行くって行ったよね?それなのになんで私がワールドセイバーに行っている間に、何処かに行ってるのかな?」
「が、我慢出来なかったから・・・」
朝、明日奈はレビィとの約束、この日も一緒に遺跡の攻略に向かうと言う約束を覚えていたのだが、遺跡攻略と言う楽しみを前にしてソワソワワクワクした気持ちが抑えきれず、クリスティ達に連絡しながら転移してしまったのだ。
「我慢が出来ない犬か!」
「狐です」
「・・・」
今のやり取りにイラッと来たレビィは、姉の後ろに回るとコショコショする。
「あっはっはっは!やめてレビィ!未来と今日香が落ちちゃうって!」
「・・・」
明日奈はレビィにコショコショをやめてと言うがレビィは無視し、無言でコショコショしたり偶に胸を揉んだりを続ける。
「分かった、分かった!明日はちゃんと待つから!やめてぇ!」
「なら、良いよ」
明日はちゃんと待つと言う姉の言葉を聞いたレビィはコショコショをやめて、リビングに入って行く、妹にコショコショされ、息も絶え絶えになった明日奈は、ハァハァ言いながらリビングに入って行く。
風呂場
「ふぅー」
ここは自宅のお風呂場、明日奈は未来と今日香と共にお風呂に入っている。
「ママ!それ!」
悪戯好きの未来が母の顔にお湯をかける。
「私も!」
今日香もそれを真似して母にお湯をかけた。
「フフン、良い度胸ね!」
娘達の攻撃を受けた明日奈は楽しそうに笑いながら、軽く娘達にお湯をかける。
「きゃー!」
「わー!」
娘達は母にお湯をかけられ嬉しそうにはしゃぐ。
「ふふふ、まだまだ、行くわよぉ〜!」
明日奈はこの後、未来と今日香とお湯を掛け合い遊んだ。




