外伝、不良なお狐ちゃん5
孤児院
夜、飛鳥の自宅にバイクを置いて明日奈は孤児院に戻って来ていた、二ヶ月振りの帰宅である。
「・・・」
すると愛奈が明日奈を待ち構えていた、どうやら飛鳥から明日奈がここに帰って来ると聞いていたらしい。
「お帰り、明日奈」
愛奈は明日奈をにこやかに迎えるが明日奈は、ツーンと無視し、布団に入る。
「ねぇ・・・明日奈、少しだけでも良いの、私とお話ししましょう?」
愛奈は明日奈に無視されても挫けず、明日奈のベッドに向かい、明日奈に話しかける。
「あたしはあんたと話す事なんて何も無い」
愛奈の言葉を聞いて起き上がった明日奈は何も話す事は無いと言うと再び布団に入ろうとするが。
「私にはあるの、あんたに一つだけずっと言いたかったことがね」
愛奈が明日奈の肩を掴み、布団に入るのを阻止した。
「何よ?」
眠りたいのに邪魔されている明日奈は機嫌が悪そうな表情で、愛奈に何よ?と問いかける。
「私はどんな時でも、あなたの味方、あなたの友達、あなたが大好きよ、明日奈」
愛奈は明日奈にずっと言いたかった言葉を言うと、明日奈に笑いかけ、恥ずかしそうに明日奈から離れると布団に入る。
「・・・」
愛奈の言葉を聞いた明日奈は頬から一筋の涙を流す、それに気付いた明日奈はそれを誤魔化すように布団に入り眠った。
翌朝
「おはよ、明日奈」
翌朝、目を覚ました明日奈は服を着替え学校に向かおうとしている、明日奈に挨拶をする。
「おはよ、・・・愛奈ちゃん」
愛奈に挨拶された明日奈は、恥ずかしそうに顔を赤くしつつも、愛奈に挨拶を返し、部屋から出て行く。
「・・・」
そんな明日奈の言葉を聞いた愛奈は嬉しそうな顔をするのと同時に思う、勇気を出して行動するのは大切な事なのだと。
明日奈の旅立ちの日
「二人とも・・・三年後に、会おうね」
明日奈はそう言うと氷河と共に光に包まれ消えて行った、消えて行った明日奈を見送った愛奈は思う、いつか明日奈を助ける事が出来るくらいに強くなろうと。
「飛鳥、私は強くなろうと思う、あんたはどうする?」
「あたしもそう思ってたところだ、と言うわけで爺さん、どうにかしてくれ」
「ふ、ふむ?」
飛鳥に頼まれた帝は氷河を呼び、二人の師匠になってくれるように頼んだ、すると氷河はそれを快く引き受け、愛奈と飛鳥は明日奈といつか共に並んで戦う為に修行を始める。
森の中の家
深い眠りから目を覚ました未来の明日奈は、愛奈との思い出の夢を見れた事が嬉しくて微笑む。
膝の上に眠る自分に良く似ており、そして愛奈の名の一部を継いだ少女に明日奈は笑いかけると、再び共に眠る。
愛奈が愛した金色の九尾、久城明日奈、は永遠に生き続ける、愛奈が命をかけて守った命の炎を灯し続けながら。




