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金色の九尾ll アンダーワールド  作者: ブレイブ
最終章金色の九尾
241/267

二十九話

???


「何故アレの回収に行かなくなった?」


無は途中から一切遺跡に向かわなくなったアニューを問い詰めていた。


「別に」


アニューは答えず、そっぽを向く。


「フン、まぁいい、完成したのならば、奪えば良いのだからな、勿論貴様にやって貰うぞ?アニュー」


「分かった」


無のレーヴァテインを奪えと言う命令を受けたアニューは頷くと、部屋を後にした。


「さて、我もそろそろ動くとしよう」


無はそう言うと何処かに向けて転移した。





ワールドセイバー地球支部


ゆらゆらと尻尾を揺らす二週間ぶりに職場に出勤した明日奈は、メリアとミランダと仲良く談笑していた、話の内容はシュルクとの同居生活の話や結婚式の予定の話などである。


「明日奈、お話中の所申し訳無いが、任務だ」


口数の少ないワトソンは明日奈に任務だと言うと紙を渡して来る、明日奈は内容を確認すると、メリアに手を振ってからミランダを連れて転移して行った。




第874世界、オネジアーラ国、タバメの町


第874世界、中世レベルの文化レベルの世界で剣と魔法の世界だ、この世界では希少な魔法石が取れ、テロ組織はその魔法石を狙い採石場を襲撃する事が多い、今回の任務はこの日襲撃が行われると言う、採石場の防衛が目的となる。


「明日奈、敵は前から来ると思うか?」


採石場の前には前方に長く伸びる石造りの道路がある、採石場の職員達にこの日襲撃があると伝え、全員家に帰らせたミランダは敵は前から来ると思うかどうか明日奈に聞いた。


「多分ね、この採石場ここしか入り口無いみたいだから、ここを攻撃するしか無いと思う」


つまりここで堂々と立っていれば、そのうち敵が現れると言う訳である。


「よし、ならば敵を待つとしようか」


「うん」


明日奈とミランダは襲撃者達が現れるまで取り敢えず話でもして待つ事にする。



数時間後、襲撃者達が現れる、明日奈とミランダは協力し、高級な装備を持つ彼等を倒しきり、全員逮捕する。


「今日は楽だったわね、ミランダさん」


「そうだな、さて帰るとしよう」


「うん」


オーナーに採石場を守ったと伝え、襲撃者達も逮捕したと伝えた明日奈とミランダは、仲良くワールドセイバーにへと帰って行った。




地球支部、レストラン


ワトソンに任務完了の報告をした明日奈とミランダは、一緒に昼食を取っていた、明日奈はステーキセット、ミランダはミートパスタである。


「相変わらず、お前は飯を本当に美味しそうに食べるな」


ミランダは目の前で幸せそうに昼食を取る明日奈を見て、相変わらずだなと言う。


「だって美味しいんだもん、幸せよぉ〜」


食いしん坊な金髪神様はそう言うとほっぺに手を当てて、尻尾を嬉しそうに揺らす、何人かの男のエージェントがその仕草に見惚れているのに明日奈は気付いていない。


(相変わらず、モテてるなこいつは・・・)


ミランダは結婚していると知れ渡っているのにまだモテる明日奈が受ける視線を感じて、呆れたように髪を搔き上げる、すると男達はミランダにも見惚れた。


(・・・)


ミランダは髪を搔き上げた瞬間、自分にも視線が向けられたのを感じ、私もかと思い頭を抑える。


「どったの?ミランダさん」


「なんでも無い・・・」


能天気な金髪お狐をからどったの?と聞かれたミランダはなんでも無いと答え、昼食を食べる事に集中する。


「変なミランダさん、ねぇ?ホワイトローズ」


「Yes」


明日奈は机の上で明日奈が買ってあげたクッキーを食べるホワイトローズと目を合わせ、共に首を傾げた。



飛鳥の自宅


仕事を終えた明日奈は何となく飛鳥に会いたいと思い、彼女の家にやって来ていた、中学生の頃よく寝泊まりしていたこの家は、昔から何も変わっていない。


「おっ!まだあるのね!私のも!」


明日奈は飛鳥のバイクがまだあるのを見て思わず尻尾と耳が出そうになったのを慌てて引っ込める、そしてここに置かせてもらっていた自分のバイクもここにあるのを見て、今度こそ尻尾と耳が飛び出した。


「危ない、危ない、ふふ、懐かしいわね」


明日奈は尻尾と耳を引っ込めながら、愛着のある自分の赤いバイクに手を触れると優しく撫でる、そしてガソリンがまだあるのかどうか確認すると、何故か満タンだった、恐らくは飛鳥がこの数日の間に入れたのだろう。


「久し振りに乗ってみようかしら」


ワールドセイバーのエージェントは全ての世界の乗り物に無免許で乗っても捕まらなくなる事を知っている、日本の免許を持たない明日奈は久し振りにバイクに乗ってみようかと思う、自分の愛機を見ていると、血が騒いで来たのだ。


「聞いてましたよ!明日奈さん!久し振りに走りましょう!」


バイクの整備用具を持った飛鳥はどうやら近くの倉庫で明日奈の独り言を聞いていたらしい、飛鳥は明日奈にメットと鍵を渡すと久し振りに一緒に走ろうと明日奈に言う。


「良いわね、行くわよ飛鳥!あたしに着いて来なさい!」


「はい!」


昔は被る事の無かったメットを被りバイクのエンジンを掛けた明日奈は今だけは中学生のあの頃に戻っている、昔のような口調に戻った明日奈はバイクに跨ると、フルスロットルで飛鳥の自宅から飛鳥と共に道路に飛び出して行った。


「あはは!やっぱり楽しい!」


全身に風を受ける明日奈は昔と変わらない笑顔でバイクを走らせる、飛鳥はそんな明日奈の姿を見て懐かしくなり胸が熱くなる。


「そうですね!明日奈さん!」


飛鳥は今も昔も尊敬している、明日奈の背中を追い、バイクを走らせる。




明日奈の自宅


爆音を響かせ街中を走り、峠を走った明日奈は自宅に帰って来た、バイクと共に。


「今日からここがあなたの家よ、また走りに行きましょうね?」


自宅の駐車スペースにバイクを停めた明日奈は、愛機に話しかけると、その赤いボディを優しく撫でてから家の中に入って行く。




「・・・何だこれ?」


玄関前に転移して来たウィリアムは駐車スペースに停まっているバイクを見て首を傾げつつ家の中に入る。


「お帰りなさい」


家の中に入るとエプロン姿の未来を抱いた明日奈が出迎えてくれた、今日香は既に父に抱き付いている。


「ただいま、未来、今日香」


ウィリアムはまずは今日香の頭を撫で、次に未来の頭を撫でる。


「それで?あれは誰のだ?」


そして明日奈の頬を軽く引っ張り、バイクの正体を自分の嫁に聞く。


「えーと・・・私の、あのーそのーまぁ後で話すわ!」


「お、おう」


急に顔を赤くしリビングに不思議そうに母を見上げる未来と共に入って行く明日奈を追い、ウィリアムも今日香を抱きリビングに入る。




寝室


「で?あれはお前のバイクなのか?」


夕食を食べて、風呂に入ったウィリアムは先に寝室に入っていた明日奈に話しかける。


「うん、私のバイク、中学生の頃ね?私ちょっと荒れてた時期があってアレで暴走族ヘッドをやってたの、それで飛鳥の所に置いたままだったから持って帰って来たの」


ウィリアムにバイクの事を聞かれた明日奈は、やーん恥ずかしいと言った感じで一度彼に話した気がする自分の過去を話す。


「知ってる、でも写真は見た事ないな、写真あるのか?」


明日奈が暴走族のヘッドだったと知っていたウィリアムはしかしその姿は見た事が無いので見たいと思い、暴走族ヘッド時代の明日奈の写真は無いのかと聞く。


「うん、あるわよ、ちょっと待ってね」


明日奈は孤児院から持って来ていたアルバムを取りに下に向かい、数分後アルバムを持って部屋に戻って来ると、ウィリアムにアルバムを渡す。


「・・・今のお前とは全然違うな」


ウィリアムは写真に写る今とは違い鋭い目付きをした明日奈を見て、今とは全然違うと思った。


「ふふ、目付き悪いでしょ?この頃の私、毎日喧嘩ばっかりしてたのよ?」


「・・・」


明日奈の過去を明日奈の口から聞いていたウィリアムは苦笑いをしている明日奈を抱き締める、この頃もし自分がいれば、明日奈にこんな目をさせなかったと言った思いが溢れ、居ても立っても居られなくなったのだ。


「あなた?」


「明日奈、お前は俺が生きている限りは俺が守る、この写真のような目をお前に俺は絶対にさせたりしない、約束だ」


ウィリアムは明日奈に絶対に自分が守ると伝え、更に強く抱き締める。


「ありがとう、あなた、ううん、ウィリアム・・・」


明日奈は自分を守ってくれると言い、強く抱き締めてくれるウィリアムに、自分からキスをする、ウィリアムの言葉が嬉しくて幸せな涙を流しながら。


「ねぇ」


「ん?」


「私ね?」


「なんだよ」


「あなたと一緒に居れて幸せよ、本当に幸せ、愛してるわ、ウィリアム」


「あぁ、俺も愛してる、大好きだ、明日奈」


そして夫婦はもう一度、愛を深め合うように優しいキスをする。

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