外伝、不良なお狐ちゃん1
8年前、明日奈の故郷
とある事件の後グレた明日奈は荒れていた、日々喧嘩、喧嘩、喧嘩な1日を送り、町でその名は有名となっていた、そんな明日奈をこの町最強と言われるレディースのレッドテイルが見逃す筈が無く、ヘッドとの戦いとなったが明日奈は辛くも勝利し、レッドテイルのヘッドとなっていた。
それからはレッドテイルの他の子から貰ったバイクで街中を走り回り、暴走行為を楽しんでいた。
中学校
着崩した制服を着て机の上に足を乗せる明日奈は授業を受けていた、荒れても真面目な明日奈は授業だけはちゃんと出るのだ、暴走族のヘッドなのに。
「それでは・・・久城さん、答えてもらえる?」
「はぁ?」
教師は偉そうに足を机に乗せる明日奈を見て問題を答えさせようとするが、それが気に入らなかった明日奈は立ち上がると、教室から出て行く、問題は簡単に解けたのだが、答えるのが癪だったのだ。
「待ちなさい!久城さん!」
「うっせーよ!黙ってろ!」
この頃の明日奈は口も悪い、機嫌が悪そうに廊下まで出て来た教師を睨み付け、その瞳に怯んだ教師を見てフンと笑うと、階段に向かって行く。
「・・・」
愛奈はそんな明日奈を見て悲しそうな表情を見せる。
屋上
「明日奈さん!焼きそばパンと牛乳を買って来ましたよ!」
昼休み、尻尾と耳の無い明日奈が屋上で空を眺めていると、飛鳥がやって来た、その手には彼女の言う通り、焼きそばパンと牛乳が握られている。
「ありがと・・・あんたのは?」
焼きそばパンを一口食べた明日奈は飛鳥の分の昼食が無いのを確認し、飛鳥にあんたのは?と聞く。
「別に良いっす!」
「・・・奢ってあげるから何か買って来なさい」
明日奈はそう言うと財布からお金を取り出し飛鳥に渡す、ちなみに飛鳥が買って来た焼きそばパンと牛乳の代金は明日奈のお金である。
「ありがとうございます!」
明日奈から昼食を貰った飛鳥は飛ぶようにふたたび昼食の争奪戦に向かった。
「明日奈」
飛鳥に代わるように愛奈が屋上にやって来た、そして明日奈の元に来ると名を呼ぶ。
「何だよ?」
この頃の明日奈は愛奈の顔を見る度に機嫌が悪そうな表情を見せる。
「先生にあんな態度しちゃダメでしょ?ちゃんと謝りなさい」
愛奈はそんな明日奈の表情を見て悲しくなるが、ぐっと堪え明日奈と向き合う。
「なんであたしが謝らないといけないの?」
「それが当たり前だからよ」
「フン、それじゃあ、そんな当たり前にあたしは従わない、じゃあね、愛奈」
焼きそばパンを食べ終わり牛乳を飲み終わった明日奈は愛奈の瞳から逃げるように視線を逸らすと、ゴミ箱にゴミを放り投げ、屋上から出て行った。
「・・・明日奈、私はどうしたら良いの?・・・」
愛奈は昔の優しかった明日奈にどうしたら戻ってくれるのか分からず、涙を流す。
町
この日はレッドテイルの集会などは無く、そして孤児院に帰る気もしない明日奈は町を歩いていた、そして一人の少年が不良に絡まれているのを見ると、丁度良い喧嘩相手を見つけたと笑い、彼等に近付いていく。
「よっ!何してんの?」
明日奈は気軽に不良達に話しかけ二人居るうちの一人を殴り飛ばす、既に身体能力の高い明日奈の一撃は強烈で、殴られた不良は吹っ飛び気絶する。
「な、何すんだ!テメェ!」
殴られなかった方のもう一人の不良が詰め寄って来る、明日奈は不良を冷たく睨み付けると、問答無用でアッパーを喰らわせ、意識を奪う。
「はいはい、あたしの勝ちっと、それじゃあ戦利品を頂きますか」
明日奈は気絶した二人のポケットや上着を探り財布を探す、すると財布を見つけたのでお金を抜き取り、キチンとポケットに戻す。
「君!駄目だよ!そんなことしちゃ!」
少年は不良達からお金を奪う明日奈に注意する。
「はっ?あたしに助けて貰っておいてなんだよ?なんならあんたの金を貰っても良いんだよ?」
少年の言葉を聞いた明日奈は冷め切った視線で少年を睨み詰め寄る。
「だ、だから駄目だよ!」
少年は明日奈にビビりつつも、もう一度駄目だと言う。
「ハン!あたしにビビって震えてる奴が何行ってんのよ!」
そして明日奈は近くの缶を蹴り飛ばす、明日奈に蹴り飛ばされた缶はコン!と良い音を立てて飛んで行く。
「で、でも・・・」
明日奈に怒鳴り声を聞いた少年は足腰が抜けへたり込む。
「チッ、そんな情けないから、そいつらに絡まれるんだよ、じゃーな、ビビり」
そして明日奈は少年にヒラヒラと手を振りながらこの場所を後にする。
「・・・」
少年はこの後立ち上がれるようになり、この場所から逃げた、そして助けて貰った恩が明日奈にある為、警察に明日奈の事は言わなかった。
飛鳥の自宅
あの後、町で飛鳥と出会い、町で不良達から頂いた金を使い遊びまわった明日奈は飛鳥の自宅にやって来た、最近愛奈が居る孤児院に帰る気がしない明日奈は、ここに良く泊まっているのだ。
「それじゃ、お休み、飛鳥」
「お休みっす、明日奈さん」
明日奈は飛鳥にお休みの挨拶をすると眠る、飛鳥も明かりを切ると、眠りに就いた。




