十四話
紫龍機関
全力を出したベルシリオスに手も足も出ずに負けた明日奈は彼女に勝つ方法を考えていた。
「ラグナロクモードなら、同等にやり合えるでしょうけど、出来れば使いたく無い」
「マスター・・・」
改変世界での最後の戦いである無との戦いでホワイトローズは、ラグナロクモードの連続使用の影響により無の攻撃によって折れてしまった。
その事もあり明日奈は先程の戦いで使えるかどうかは聞いたが、ラグナロクモードの使用を躊躇しラグナロクモードを使えず、やられてしまった。
「マスター、私なら大丈夫です、強化された今の私なら五分と言わず、十分、二十分でも耐えてみせます!だから使って下さい、ラグナロクモードを」
ホワイトローズは自分を心配しラグナロクモードの使用を躊躇する、自らの主人を勇気付ける言葉を言った。
「ホワイトローズ・・・」
「それにまた壊れても、桜の館に向かえば沢山の素材がまだあります、だから大丈夫ですよ、マスター」
そうまたラグナロクモードに耐え切れなくなり折れてしまったとしても、ホワイトローズが大量に明日奈に採らせた、明日奈に採らせた、素材がある、その為壊れても問題は無いとは言える。
「・・・分かった、あなたがそこまで言うなら使う、でも積極的には使わない、あくまで切り札として使うわ、良いわね?ホワイトローズ?」
「了解です、マスター」
方針を決めあったホワイトローズは拳を合わせ合う。
「勿論私もあいつを倒すのに協力するよ、確かにあいつには良い思い出は無いし、顔も見たく無いけど、私も倒すのに協力する!」
明日奈は出来ればメリアとベルシリオスを戦わせるつもりなど無かった、しかしメリアが戦うと言うのなら明日奈に邪魔する権利は無い。
「分かった、今回も頼りにするわね?メリア」
「うん!」
そして明日奈とメリアも拳を合わせあった。
桜の館
明日奈とメリアは桜の館に来ていた、メリアもベルシリオスとの戦いに参加するならベリクリオスのバージョンアップが必要だと二人は考えた、だから桜にベリクリオスの強化を頼みに来たのである。
「分かりました、ベリクリオスの強化、おばあちゃんに任せて下さい」
明日奈とメリアの話を聞いた桜は快くベリクリオスの強化を引き受ける。
「それではどんな形の基本形態が良いですか?明日奈ちゃんはガンブレードにしましたけど」
ベリクリオスもホワイトローズと同じく姿を変える剣だ、外装の変化の影響を受けるのは基本形態のソードモードだけとなる。
「うーん、私は普通の剣のままで良いかな、明日奈みたいに魔法銃は持ってないしね」
明日奈は右手に剣左手に銃を持ち戦う事もあったが、それにより塞がる左手を自由にしたいと思い、ホワイトローズをガンブレードにした、しかしメリアは銃を使わないので、純粋な能力強化だけを望む。
「分かりました、それではアリーシャさんは暫く剣の中から出て行って居てくれます?邪魔です」
「言われなくても出て行きますわ!強化中に剣の中にいたらあなたに何をされるか分かりませんもの!」
桜にベリクリオスから出て行けと言われたアリーシャはプリプリと怒りながらベリクリオスから出て来ると明日奈の中に入る。
「・・・それでは強化を開始します」
「はい!」
そして桜によるベリクリオスの強化が始まった。
庭
ここは桜の館の庭ここで明日奈とメリアの試合が行われる、進化したベリクリオスの性能を試したいとメリアは明日奈に試合を申し込んだ、明日奈は快くその申し出を引き受け試合が行われる事となった、ルールは砲撃は禁止の実力勝負、相手の剣を手から弾き飛ばした者の勝利となる。
「それでは、試合開始!」
メリアと桜の間に立つ桜が試合開始の合図をした、それを受けた明日奈とメリアは同時に飛び出し同時に剣を合わせ合う。
「ホーリーソード!」
メリアの剣を自分の剣から外した明日奈は一歩下がり下から光の剣を振り上げる、メリアはそれを体を逸らし躱すと、明日奈に突きを放つ、明日奈はそれを剣を叩きつける事で逸らさせると、足払いをするが、メリアは足に力を入れて、明日奈の足払いを受け止めた。
「よっと!」
メリアは明日奈の服の襟首を掴むと明日奈を背負い投げする、明日奈は背中から地面に叩き付けられるが剣は落としていない。
「フン!」
地面に叩き付けられた明日奈はメリアの右手を狙い倒れた状態から足を振り上げるが、メリアはそれを避けて明日奈の右手を狙い剣を振るう、明日奈はそれを手を引いて躱すと立ち上がる。
「セェイ!」
「ハァァ!」
徐々に本気になって来た二人は全力で剣をぶつけ合った、甲高い剣のぶつかり合う音が庭に響く。
(うーむ、通常状態では同等の実力ですか)
桜は長引きそうな明日奈とメリアの試合を見守る。
数時間後、ボロボロとなった二人は地面に倒れていた、そして二人の手には剣が無い、どうやらこの試合は引き分けのようだ。
「はぁ、引き分けかぁ」
「だねぇ」
ボロボロとなった二人は起き上がりボロボロとなった違いの姿を見て笑い合う、確かに体は痛いが全力を出しあった試合は楽しかった。
「またやりましゃうね、試合」
「うん!」
この後二人は桜に怪我の治療をして貰い、仲良く地球に帰って行った。




