十一話
敵基地、整備区間
明日奈と勝手に戦闘に明日奈に協力しているリリーシャは戦闘を開始した、明日奈とリリーシャの役目は敵を一箇所に集め味方が敵の背後から攻撃をし易くする事だ、その為敵を引き集める動きが二人には求められる。
「敵はたった二人だ!集中攻撃を仕掛け黙らせろ!」
この基地の司令らしき人物の言葉に従いゾロゾロと集まって来る敵兵は明日奈とリリーシャを囲み攻撃を仕掛けて来る、明日奈とリリーシャは四方八方から迫る攻撃を躱し、逸らし、受け流しつつ、二対多数の戦いを繰り広げる。
「ッ!」
アヴァロンモードを使っているとは言えまだまだ戦闘経験の少ないリリーシャは背後から迫る攻撃を躱せないと判断し焦る。
「ハッ!」
しかし明日奈はリリーシャに攻撃を仕掛けようとしている者を蹴り飛ばすと、更にリリーシャの左から斬りかかる者を斬り倒す。
「リリーシャ、とにかく焦るな、怯えるな、危なくなっても私があなたを守るから」
この状況では焦りや怯えの感情を抱いた瞬間、敵の攻撃を捌き切れなくなり、敵に命を奪われてしまうだろう、だから明日奈はリリーシャに焦るな、怯えるな、この二つの事を伝えた。
「はい!」
明日奈の言葉を聞いた瞬間リリーシャの心から怯えや焦りが消え勇気が湧いて来る、強い瞳となったリリーシャは先程よりも良い動きで敵を捌いて行く。
そして明日奈が事を起こしたのだと判断した基地外部で待機していたワールドセイバーのエージェント達は北入口、南入口、そして施設上部の入り口から、基地内部へと侵攻を開始する。
ワールドセイバーのエージェント達は道中に居た敵を蹴散らしながらこの整備区間までやって来ると、明日奈とリリーシャへの攻撃に集中していた敵を背後から攻撃して行く。
「明日奈!無事か!?」
「大丈夫!?」
メリアと共に明日奈とリリーシャを包囲する敵を突破し二人の元に来たウィリアムは、明日奈の無事を確認する。
「うん!大丈夫!ほら!後ろ!」
明日奈はウィリアムに大丈夫だと答えると、ウィリアムに後ろから攻撃が来ていると伝える。
「分かってる!」
ウィリアムは振り返らずに剣を逆手に持つと後ろに振り上げ、後ろから迫る敵を斬りつけた、そして剣を構え直すと、斬りつけられ倒れた敵にトドメを刺す。
「やるわね!」
「まぁな」
明日奈は夫の背中をカバーしつつ、敵を倒し、ウィリアムはその間に立ち上がる。
「私達も負けてられないわね!」
「うん!」
メリアもインフェルノモードに変身し、リリーシャや明日奈とウィリアムとカバーし合い、戦闘を行う。
三十分後、圧倒的な物量差に根を上げた敵の指揮官は基地地下に隠していた銀色のロボットに乗り込むと、整備区間の地面を突き破り飛び出して来た、そしてワールドセイバーエージェント達に向けてビームを放つ。
「メリア!」
「うん!」
明日奈とメリアは二人でそのビームを剣で受け止めると、ビームを真っ二つに斬り裂いた、二人に斬り裂かれた、ビームは左右の壁を吹き飛ばす。
「プラチナ!」
「インフェルノ!」
「「ブレイド!」」
そして二人は同時に銀色のロボットに斬りかかるが、二人の攻撃は当たった様に見えたが、剣が滑る様な不思議な感触を感じた後に逸らされる。
「何?これ?」
明日奈が不思議な感触を疑問に思っていると、銀色のロボットのマニュピレーターが砲口に変形しそこからビームが放たれる、明日奈とメリアはその至近距離の攻撃を躱せず当たってしまう。
「メリア!」
チーム29の残りのメンバーと共に戦闘に参加していたシュルクは、吹き飛ばされたメリアを受け止める。
「えへへ、ありがと、シュルク」
恋人に受け止めて貰い照れるメリアは顔を赤くしながら、シュルクにお礼を言う。
「良いさ、ほら、行って来い!」
「うん!」
シュルクに肩を押されたメリアは、嬉しそうにシュルクに笑いかけてから、ロボットに向けて斬りかかるが、また滑る様な感触を感じた後、剣を逸らされ、また攻撃されそうになるが、今度は変形したマニュピレーターにリリーシャが攻撃を仕掛ける事でビームを相殺し、メリアはリリーシャがビームを相殺している間にその場から離れる。
「プラチナローズ、あの感触は何かしら?」
メリアと同じくウィリアムに受け止めて貰っていた明日奈は、ウィリアムに抱かれながら、プラチナローズに謎の感触に付いて聞く。
『恐らくあのロボットは装甲表面に常に強力なシールドを張っています、その為マスターやメリアは斬りつけた時に滑る様な感触を感じ、そしてマスターのプラチナブレイドを合わせた私の刀身でも、斬り裂け無いほどの強度を持つ装甲表面のシールドにより防がれ、逸らされてしまったのだと推測します』
「どうすれば良い?」
プラチナローズの推測を聞いた明日奈はどうすればその強力な装甲表面のシールドを突破出来るのか聞く。
『先程、リリーシャがビームを相殺した時にビームを放つ砲口にはシールドが張られていないのを確認しました、その為敵がビームを撃つ瞬間なら攻撃が可能だと、推測します』
「そりゃビームを放つ時に、その砲口にシールドが張られてたらビームを撃ち出せなくて、大変な事になる筈ですものね、倒し方はわかった、なら行こっか?プラチナローズ」
『Yes!』
明日奈はウィリアムから離れ立ち上がると再び攻撃を仕掛けようとしているリリーシャとメリアに話しかけ、プラチナローズが推測した敵の能力を話すと、作戦を伝える、その作戦とは敵がマニュピレーターを変形させた際にとにかく攻撃をぶち込めと言う作戦である。
「それじゃあ、Ready go!」
「「うん!」」
三人は敵のマニュピレーターを変形させ攻撃を仕掛ける為に同時に攻撃を仕掛けた。
「ヤァァ!」
メリアは敵の正面から斬りかかる、ロボットは躱す必要も無いと胴体でメリアの攻撃を受け止めると、装甲を斬れずに地面に降り立ったメリアを蹴り飛ばす。
「喰らいなさい!」
リリーシャは離れた地点から砲撃を放つ、ロボットはそれを躱さずに受け止めると、マニュピレーターを変形させ、砲撃を放とうとする。
「今だ!」
敵のマニュピレーターが変形したのを見た明日奈は敵がビームを放つ前に、敵のマニュピレーター前に迫ると、プラチナローズを変形した砲口に突き刺した。
「何!?」
銀色のロボットを駆る敵の指揮官は弱点を見抜かれ焦る、その間にビームを放ちかけていた、銀色のロボットの左腕のマニュピレーターは爆発し、敵の左腕は吹き飛んだ。
「弱点を見抜いたか!ならば!」
銀色のロボットの弱点を見抜かれた敵の指揮官は、右マニュピレーターからビームサーベルを発振させる、吹き飛んだ左腕の接続部にはシャッターが降り、シールドが張られる。
「明日奈・・・また弱点が・・・」
「ん?そうでも無いわよ?」
メリアとリリーシャは再び弱点が無くなったと肩を落とすが、明日奈は何かを確信している様子でロボットに向けて駆けて行く。
「喰らえ!」
敵の指揮官はスラスターを吹かしながら、迫ってくる明日奈を迎え撃つ、明日奈は敵のリーチに届くと言う所でスライディングをすると、敵の真後ろに回り込んだ。
「スラスターの出口にもシールドなんて張れないでしょう?喰らいなさい!プラチナバレット!」
背中に回り込み銀色のロボットのスラスターにガンモードのプラチナローズを差し込んだ明日奈はプラチナバレットを放つ、ガンモードのプラチナローズの銃口から放たれる白金の銃弾はスラスター内部から銀色のロボット内部を貫き破壊する。
「ねっ?勝てたでしょう?」
そして銀色のロボットが倒れると見事なドヤ顔をした明日奈が、誇らしげに尻尾をピン!と立てていた。
敵司令の敗北によりワールドの勝利は確定し、残った敵兵士は降伏した、これによりここナバナダ市敵基地での戦いは終わった。




