二十話
封印の祠
ここはジーリの町から二十分程歩いた地点に有る祠である、この祠に魔物がかつて封印それていた、現在は魔物が住処にして居るようだが
「埃っぽいね」
「そうね」
この祠は長い間誰も入らなかったせいかかなり埃っぽい、実際明日奈達が歩いただけで辺りの埃が舞う
「さて早速大きな扉だぜ」
入り口から入ってまだ二分程度しか経って居ないがもう魔物が潜んで居るであろう部屋の大扉の前に着いた、この扉を開けた先に魔物が居るはずだ
「二人とも準備は良いかしら?開けるわよ?」
とっとと倒してさっさと帰るつもりの明日奈は二人に開けても良いか聞く
「うん良いよ」
「良いぜ」
二人は武器を構えて良いと言い頷く、それを見た明日奈は扉の方を向きグッと扉を押す、すると扉はズズズと開いて行く
「さぁ迷惑な魔物さん狩りの始まりよ!」
明日奈も剣を抜き部屋の中に入った
封印の間
ここは魔物が封印されていた部屋だ、部屋の中央には魔物が封印された際に使われたのであろう棺がある
そしてその奥には真新しい王座があり、ドレスを着た女が座っている、女の背中からは蝙蝠の翼が生えており頭からは角、そして黒い尻尾が生えている
「あなたが魔物さんかしら?」
明日奈は女に例の魔物かどうか質問する
「ええ、そうよ」
女は明日奈の声を聞き顔をこちらに向けるとそうだと言い頷いた
「ふぅん、あなた中々美味しそうね」
女は明日奈を見てそう言うと立ち上がり一瞬にして消えた
「なっ!?何処言った!?」
「消えちゃった!?」
メリアとシュルクは消えた女に驚き辺りを見回す、だが明日奈は気付いているようで後ろを向く
「ふふふ、そのお二人さんは私の速さに着いて行けなかったようだけど、あなたには見えていたのね」
女は振り向いた明日奈の目の前に現れると明日奈の胸に触れた
「・・・」
明日奈はいきなり胸に触れられ無言で怒った顔を女に向ける
「あらあら、そんな怒った顔をしちゃって少しくらい良いじゃない」
女はそう言うと明日奈の両胸を本格的に両手で揉み始めた
「ねぇメリア怒って良い?」
「良いと思うよ」
胸を揉まれる明日奈は一応メリアに怒って良いか聞く、メリアは良いと答えた
「分かったわメリアじゃあ怒る、何いきなり触ってんのよ!」
そして胸を揉まれる明日奈は剣を下から振り上げた、女は軽くかわした
「だってぇ、そんな形の良い胸触りたくなるに決まってるじゃなぁい」
「・・・あなた淫魔ね?」
始めて女を見た時から気付いていたが女は恐らくは淫魔だろう、だが確証は無いので一応質問する
「そうよ、私は大淫魔イザベル、忌々しいあの人間に封印される前まではこの淫魔として力で好き勝手ヤってたのにあの人間・・・本当にムカつく」
やはり女は淫魔だったようだ
「そう、やっぱり」
淫魔は淫乱だ、だからこそいきなり他人の胸を揉んだりするのだ
「ねぇあなた私と戦おうとしてるんでしょ?私としては町を滅ぼす前にあなたと楽しいことしたいわぁ」
「嫌よ」
女は明日奈を誘惑するが勿論即断る
「あら残念、ならあなたを倒してからあなたを楽しむとしましょう」
女はそう言うと空中に剣を出現させる
「私は負けないわよ!」
そして大淫魔イザベルと明日奈達の戦いが始まった
第八十二世界、ガーザッツ大遺跡
ウィリアムと響はカーザッツ大遺跡の最下層まで来ていた、現在時刻三時四十分後二分で次元の狭間が現れる、次元の狭間の吸引に吸い込まれないよう響が一応シールドを張っている
「ウィリアム、分かってるだろうけど次元の狭間に突っ込んだりしちゃ駄目だよ?」
「分かってる」
ウィリアムは空返事だか響の言葉に分かってると返した
「本当に分かってるのかい?」
「・・・」
響はウィリアムに本当に分かっているのか聞いたがウィリアムは何も言わなかった、響はそんなウィリアムを見てため息を吐く
「時間だ」
そして次元の狭間が発生する時間となった、突然何も無い空間に裂け目が現れるとどんどん裂け目が広がって行き大きな穴となる、そして強烈な吸引で辺りの物を吸い込み始める
「さて記録を取らないと、ウィリアム・・・は駄目だね」
ウィリアムはシールド越しに見える次元の狭間を難しい顔をして見つめている、確かに今のウィリアムに手伝ってくれと言っても無駄だろう
「響記録を取ってる所悪いけどさ」
ウィリアムは顔を少し響の方を向け響に話しかける
「俺の体の何処か掴んでてくれ、そうじゃないと俺あの中に突っ込んじまいそうだ」
「分かった」
ビデオカメラで次元の狭間の様子を記録している響はウィリアムに近付くとその腕を掴む
「あの先に明日奈が居るんだな」
ウィリアムはそう言うと手にグッと力を込める
「あぁ、行きたいのかい?ウィリアム」
「あぁ行きたい」
ウィリアムとしては響のシールドを破ってでも次元の狭間に行きたい、そして明日奈に会いたいのだ
「駄目だよ?」
「分かってる・・・」
響は入ればどうなるか分からない次元の狭間に仲間であるウィリアムを行かせる訳には行かないだから止める、ウィリアムも自分の命がどうなるか分からないので今は行っては駄目だと分かっているが
「だから、お前に腕掴んで貰ってんだろ?」
「そうだね・・・」
ウィリアムはこの後次元の狭間が閉じるまでの間ずっと次元の狭間を厳しい顔で見つめていた




