三話
紫龍機関本部
復活した地球と一緒に復活した紫龍機関本部にやって来た明日奈は青葉と決めた、紫龍機関の今後の方針を構成員に話す。
「最初に謝ります、使命を遂行する事が出来ず、申し訳ありませんでした」
明日奈は無の再封印と言う自身の使命を成し遂げられなかった事を構成員対し謝り、頭を下げた。
「・・・それでは、青葉と決めた私達の方針を話します」
数秒頭を下げそして一呼吸開けて顔を上げた明日奈は方針を話そうとする。
「ワールドセイバー、彼等は無の力を弱らせる方法を探すと言っている、だから私達は無の居場所を探ろうと思います」
ワールドセイバーが無の力の弱らせ方と知り得たとしても居場所を知らなければ意味が無い、だから紫龍機関は無の居場所を探る。
「みんな、協力してくれるかしら?」
明日奈は使命を成し遂げられなかった者、そんな自分に力を貸してくれるか不安である明日奈は、少し震えた声で構成員達に話しかける。
「「はい!」」
すると構成員達は全員立ち上がり、みんな優しく明日奈に笑いかけてくれた。
「姫様!使命の失敗なんて気にする必要なんてありません!」
「そうです!失敗しちゃったのなら、倒しちゃえば良いんです!」
そして彼女達は明日奈を元気付ける言葉を優しく明日奈に語りかけてくれた。
「みんな・・・ありがとう」
明日奈は彼女達の優しい言葉に包まれ、一人涙を流す。
ワールドセイバー地球支部
あれから紫龍機関の構成員達は早速各世界に転移して行き無の居場所についての調査を始めた、明日奈は青葉と今後の計画について話し合っていたが、ワトソンからの呼び出しが入ったので、チーム29の部屋にやって来た。
「こんにちは、明日奈君、早速で悪いが仕事だ」
「・・・はい」
ワールドセイバー的にも緊急事態状態なのだが、ワールドセイバーは通常業務も行う必要がある、その為現在ワールドセイバーは世界中の図書館や遺跡に向かい無の力を弱らせる方法を探す者と、通常業務を行う者と丁度半分に分けている、チーム29はこの週は通常業務を担当する。
「分かった、行ってくる」
「うむ、頼んだぞ」
ワトソンは明日奈に任務書を渡し、その内容を読み確認した明日奈は、問題が起こっている世界に向けて転移する。
第1世界、ゼナオボーザ市
第1世界、多重世界の中で一番文明的にも技術的にも進んだ世界であり、この世界の犯罪者もその進んだ文明、技術分だけ厄介である、レビル直属の任務(その実力を信用しての雑用)を任された明日奈は、その相手が居るという建物の様子を見る。
「居る?」
「Yes、六人居ます」
前方に見える建物の中を明日奈はホワイトローズにスキャンさせる、すると六人居ると教えてくれた。
「そう、それじゃあ、突っ込んでみましょうか」
明日奈は戦闘を行えるのなら出来るだけ戦闘を行おうと考えている、その理由は一年後までにより実戦を経験し、少しでも実力を上げるという目的の為である、そして新しいホワイトローズの実力を試すと言う目的もある。
「Yes」
それを聞いた明日奈の肩に乗っていたホワイトローズはフワリと明日奈の肩から飛び降りると。
『無茶はしないで下さいね』
明日奈の思考を読み、ガンモードとなり明日奈の右手に収まった。
「分かってる」
ガンモードのホワイトローズをしっかりと握った、明日奈はホワイトローズをポンと叩くと建物に向けて歩いて行く。
建物の前にやって来た明日奈は目の前の扉を蹴り破り中に入る。
「!?、なんだ!?誰だ!」
これから大規模テロを町で起こすつもりであった犯罪者達は驚いた顔をして明日奈の方を向き、そして何者か聞いてくる。
「私は、そうね金色の九尾とでも名乗ろうかしら」
明日奈は彼等に金色の九尾と名乗る。
「金色の九尾?知らねぇなぁ!」
これからテロを起こすつもりである為沢山の武器を保有している彼等は、一斉にミサイルランチャーを構えると明日奈に向けて放って来る、どうやらかなりの訓練を受けているらしく、撃ったミサイルランチャーを投げ捨てすぐに移動し場所を変えているのが、明日奈の狐の耳がその優れた聴力で捉えていた。
明日奈は前方から迫るミサイルをガンモードのホワイトローズで全て撃ち抜き爆発させると、金色の髪を揺らししゃがむ、すると頭上を銃弾が通って行った。
「そこ!」
銃弾が飛んで来た方向から敵の居場所を読んだ明日奈は、飛んで来た方向、右斜め上方向に飛ぶと、更に飛んで来る銃弾を剣で弾きながら一人目の犯罪者の真横に降り立った。
「くっ!」
明日奈がガンモードの銃口を向けたのを見てすぐにバックステップを取った彼は、次の瞬間気絶する、明日奈はホワイトローズの銃口を囮にし、彼に迫ると腹を殴り気絶させたのだ。
「ケイン!」
どうやら今気絶した彼はケインと言うらしい、一つ名前を覚えたと思った明日奈は、声がした方向に飛ぶと、その少し前にあるドラム缶を蹴り飛ばし、声を発してしまった彼に当てて気絶させた。
(ホワイトローズ?サーチ)
二人目を気絶させた明日奈は、すぐに物陰に隠れ、ホワイトローズに同じく隠れた残りの四人を探させる。
『二人が西方五メートル先の大きなボックスの後ろ居、もう一人は南方七メートル先の部屋の中、もう一人は真上、トタンの屋根の上です、そうですね、マスターの右手を左に五センチ動かした地点が真上の敵の利き手の位置だと思われます』
(了解)
明日奈はホワイトローズに言われた通り右手を五センチ左に動かし、銃弾を真上に向けて撃つ、すると真上のトタンの屋根の上で何やらジタバタともがく音が聞こえて来た、どうやらホワイトローズの予測通り、利き手に銃弾が命中したらしい。
「パーフェクト」
真上の敵を戦闘不能にし、立ち上がった明日奈はまず二人固まっている敵を狙いボックスの前に立つと斬り裂いた、斬れ味の上がったホワイトローズは見事ボックスを斬り裂き、あんぐりと口を開けた二人の犯罪者が見えた。
「降参する?」
明日奈は二人の間に剣を突き出すと笑顔で降参するか聞いた、二人はウンウンと頷き降参する。
「良し、それじゃ、ワールドセイバーにご案内よ」
逃げる可能性も考え明日奈は二人に手錠を掛け地球支部に送る、そして二人が消えた瞬間真後ろから迫る何かを感じたので、横に飛ぶ。
「・・・」
『魔道ビームライフルですね』
魔道ビームライフル、それは第1世界が作り上げた、魔力をビームに変換したビーム兵器だ、当たれば明日奈でもタダでは済まない威力を誇り、先程まで明日奈が居た場所もドロドロに融かされている。
「厄介ね!」
次の射撃が行われる前にビームライフルの威力にビビり尻尾を縮こまらせている明日奈は、遠方で武器を構える彼のビームライフルを撃ち抜き破壊する、無事ライフルを破壊出来たのを見た明日奈は、尻尾を自信満々に誇らしげにピン!と立てるとホワイトローズをソードモードにし、彼に向けて突っ込む。
「っ!っと!」
『魔導ビームサーベルです!』
明日奈を自分の距離に収めた彼はビームサーベルを抜くと抜くと明日奈に向けて突き出した、明日奈はそれを金色の髪を揺らしながら躱すと、こちらも剣を突き出す、彼はそれをビームサーベルで逸らし、足払いをして来る。
明日奈は彼の足払いを足に力を入れる事で受け止めると、彼にタックルを喰らわせ押し倒す、そして彼に馬乗りになると、彼の頭に銃口を突き付けた。
「まだやる?」
そして首を傾げまだ戦闘を行うか聞いた。
「いいや、降参だ」
彼は降参し、明日奈は彼もワールドセイバーに送る、残りの者達もワールドセイバーに送った、後はここにある大量の爆弾と武器とそれを載せるトラックを接収するだけだ。
「さて、もう一仕事ね」
「はい、マスター」
明日奈は再び妖精モードとなったホワイトローズを肩に乗せると、武器をワールドセイバーに送る為に建物の中を歩く。
建物地下
「・・・」
「・・・」
明日奈とホワイトローズのだ目の前には巨大ロボットがある。
「ま、マスター、やはり私も!」
「却下」
このロボットを見て目をキラキラさせたホワイトローズに却下と言った明日奈は、この何処かで見た事があるロボットの上に飛び乗る。
「・・・やっぱり、これは」
それは過去アンダーワールドという世界で明日奈が戦ったロボット達と同じ姿をしていた。
「はい、あのロボットです」
ロボットの上に乗りサーチをしたホワイトローズが、やはり機械の軍勢のロボットだと明日奈に伝える。
「そう・・・何故こんな物がここに・・・」
明日奈は考える、何故こんな物がここにあるのかと、しかしいくら考えても分からないものは分からず、近くを捜索してみても答えは見つからなかった。
「・・・、取り敢えず人を呼ばなきゃね、私が持ってる装備じゃこの大きさは送れないわ・・・」
明日奈はロボットをここから運び出す為にワールドセイバーの人員を呼んだ。




