十話
二章タバーア地方の九尾の開始です
タバーア平原
明日奈はメリアを背負って近くに見えている町へと向かう、そして暫くは話しかけて来ていたメリアが静かになったので見てみるとメリアは眠っていた
「あらら、寝ちゃったのね」
明日奈は眠っているメリアを見てクスクスと笑うと町に向けて歩いて行った
ザーアの町
明日奈はタバーア地方最初の町ザーアの町に着いた、ここザーアはこのザーアを越えた先にあるビプホ山を越える為の準備をする為の準備をする為の村として非常に賑わっている
「さて宿はどっちかしら?」
町に入った明日奈はメリアを寝かせる為宿を探す、そしてそれっぽい看板が500メートル程度先に見えたので歩いて近付いてみる
「うん宿ね、でも高く無いかしら?」
今の貯金は50000G贅沢をしなければ二ヶ月程度は安い宿に泊まれる程度は稼いで居るが、節約する事に越したことはない
「こんにちは、ここに泊まりたいのだけれど部屋は空いているのかしら?」
宿の中に入った明日奈はカウンターで客を待っている男の従業員に部屋は空いているのか聞く
「ん?おお客か、ちょっと待て・・・空いてるぜ」
男はボーとしていたらしく明日奈が話し掛けてようやくこちらに気付き、そして部屋の空き数などが書かれているらしいボードを見て部屋が空いているのか確認してから空いていると言った
「・・・本当?部屋に入ったら他のお客さんが居たりしないわよね?」
明日奈は男の様子を見て不安になり本当に空いているのか確認する
「空いてる、早く部屋に行ってその子をベッドで寝かせてやれよ」
「分かったわ、幾ら?」
男の言う通りいつまでもメリアを自分の背中で寝かせている訳にはいかない、なので明日奈は部屋の料金を聞く
「二人で1400Gだ、今払ってくれよな」
どうやら先払いらしい、値段を聞いた明日奈は片手をバックパックから財布を取り出すとカウンターに置き中から1400G分の硬貨を取り出し宿代を払う
「はいよ、ありがとさん、それじゃ部屋の鍵開けれないだろ?部屋まで着いて行って鍵開けてやるよ」
「ありがと」
男はカウンターから出て来ると先を歩き二階に登って行く、明日奈はその背中に着いて行く
「ほれ、ここだ」
男はこの日明日奈達が泊まる部屋の前に立つと鍵を開けてくれた、明日奈は左右に二つあるベッドのうち右に近付くとメリアをその上に寝かせ荷物を外しそばの机にそれらを置いてから、布団を掛けてやる
「ありがとね」
そして明日奈は扉を開けてくれた男に礼を言う
「これ位普通さ、んじゃ飯は七時からだから、七時になったら飯食いに来いよ」
男はそう言うと部屋を出て行った、明日奈はそれを見送ると左のベッドの脇にある机に剣やバックパックを置くと、窓に近付きうーんと体を伸ばしながら町の様子を眺める
「ララネの町よりは小さな村なのね、でも綺麗な町」
明日奈はそう呟くと自分もベッドの上に寝転がった、そしてホワイトローズと話しながらゴロゴロしているうちにいつの間にか明日奈も眠っていた
『おやすみなさい、マスター』
ホワイトローズは主人に対してそう言うとプラチナモードの鎧の修理に集中した
メリアはムクっと目を起こすそして辺りを見渡す
「何処ここ?」
そして隣のベッドで明日奈が眠っているのを見付け体を揺すってみるがうーんと言うだけで起きないので窓に近付く
「次の町に着いたんだ、私どうやってここまで来たんだろ?・・・」
メリアにはこの町までどうやって来たのか、その記憶が無い、その事を考えると
「私、明日奈の背中で眠っちゃったんだ」
明日奈に背負われながら寝てしまったとしか考えられないだろう、メリアはそれを考えると少し恥ずかしくなり顔が赤くなる
「起きたら、お礼言わなきゃ」
メリアは明日奈が起きたらお礼を言おうと決め、窓の近くの椅子に座り明日奈が起きるまで町を眺めていた
夜、目を覚ましたらしいうつ伏せに眠っていた明日奈の耳と尻尾がピーンとなり、そして尻尾はヘナヘナと下がり耳はペタンとなる、そしてボーとした顔で明日奈は身を起こした
「おはよ、メリア」
そして目を擦りながらメリアにお早うと挨拶した
「おはよ、明日奈、それとここまで運んでくれてありがとう」
メリアも挨拶を返しこの宿まで運んでくれた事のお礼を言った
「良いの良いの、それで今何時?」
「六時五十八分だよ」
時間を聞いた明日奈は先程従業員の男が言っていた夕食の時間を思い出す、確か七時だった
「メリア、夕食は七時かららしいわ、食べに行きましょうか」
「うん、私お腹空いてたの」
「ふふふ、私もよ」
二人は部屋から出ると食堂に向かった
食堂
二人は食堂に来ると早速夕食の注文をした、そして明日奈が食堂に来るまでに宿の入り口のカウンターをチラリと見たがカウンターには先程の男は居らず別の女性が受け付けをしているようだ
明日奈はそれに首を傾げながら空いている四人席にメリアと共に座り夕食が運ばれて来るのを待つ
「よぉ、狐のおねーさん」
そして座った所で男が食堂に入って来て明日奈を見るとこちらに近付き話し掛けて来た
「こんばんは、受け付けのお兄さん?」
明日奈も挨拶を返す
「残念ながら俺は受け付けのお兄さんじゃ無いんだわ、俺はシュルク冒険者さ、さっきここで受け付けしてたのはあの受け付けのあの子居るだろ?あの子がちょっと用事が有るからって俺に少しの間受け付けをしてくれないか?って頼んで来たんだ、んで金も貰えるって事だし引き受けたって事さ」
「そんなんだ、シュルクはどのランクなの?あっ私の名前はメリアだよ」
「私の名前は明日奈よ」
メリアは男の冒険者ランクが気になり聞いてみる
「俺はEランクだ、あんたらは?」
「私とメリアはどっちもHよ、でもそろそろGに上がると思うわ」
明日奈とメリアはララネの町に居た二週間程度でそれなりの数の依頼を受けている、なのでそろそろランクが上がりそうだ
「そっちの子はともかく、経験ありそうなあんたがH?もしかして落ちて来たのか?」
明日奈はこれまでに様々な経験をし分かる者にはかなりの実力を持っているのが分かるなので男はこの質問をする
「そう、落ちて来たの」
「へぇ、俺も落ちて来たんだ、あんたあっちではどんな仕事してたんだよ?俺は同じく冒険者だ」
男は次は多重世界の方で明日奈がどんな仕事をしていたのか聞いてきた
「ワールドセイバーのエージェントだったわ」
「へぇ、凄えな、ワールドセイバーのエージェントか、色々な世界を回って犯罪者の逮捕をするんだろ?」
ワールドセイバーの主な仕事は世界を股に掛けて犯罪を犯す犯罪者の逮捕である
「そうよ」
明日奈は頷いた
「それでだな、あんたかなり強そうだしそっちの子も強くなりそうだ、そして俺は仲間を探してる出来るだけ強い奴をな、俺もあんたらの仲間にしてくれないか?頼む」
そして男は本題に入った、どうやらそれなりの実力を持った者を探しており、明日奈に目を付けていたようだ
「・・・私は良いけど、メリアどう?」
明日奈としてもこれから様々な依頼を受けるとして仲間が増えるのは悪い事では無いのでこの悪い奴では無さそうな男が仲間になるのは歓迎したいが、メリアの意見も聞いておかないといけない
「私も良いよ、二人より沢山仲間がいた方が依頼も有利になるだろうし」
メリアもこの男が仲間になるのはオッケーらしい
「だってさ、それじゃこれからよろしくね?シュルク」
「おう、よろしく頼む」
こうして三人目の仲間シュルクが仲間になった




