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王女2
説明しよう。
私はシルヴィ・アンクチュール。
この国マリアンヌ王国の第三王女だ。
そして前世では日本国のしがない高校生だったりする。いや、した。
そんな私は何がどうなったのか、前世の記憶を引き継いだままこの地に生を受けた。
まあ、別に記憶があるからどうなるわけでもなく、つつがなく今日この日まで10年間を過ごしわけである。
そう、今日、この日までは。
目の前にいる彼女、アントワーヌ・ディロッソンを見た瞬間、思い出した。
ここが前世での乙女ゲームの舞台だと。
そして、プロローグが始まってしまったと。
ああ、なんて世界に転生させたんですか神様。
乙女ゲームというものは、現実におきない画面の向こうの世界だから楽しいのであるのですよ、そこのところ分かっているのですか?
それとも、食前の祈りを一文飛ばしている私へのあてつけなのですか、神様。
ああ、こんなことなら、思い出さなきゃ良かったのに。
そこまで考えて、私の視界は暗転した。