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王女1
始まりがいつで、終わりがいつだったなんでもう忘れた。
ただ分かったのは、私はもう新しい私だ、ということだけだった。
まさか王女に生まれ変わるなんて誤算の上に、さらに前世の記憶を持ったままなんて、思いもしなかったけれど。
それでも新しい人生。
前世の記憶をもっているなら、それをお手本に、上手く人生を謳歌しようじゃないか。
と、私なりには、まあうまいこと生きてきたんじゃないだろうか。
そう思ってた……。
なのに、今、目の前の貞k……アントワーヌ・ディロッソン……いやもう悪役令嬢で結構だ。
彼女に睨みつけられている(見えないけど恐らく。)のは、
まさかこれ以上の誤算があるなんて思ってもみなかったからだ。