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小さな変化。  作者: 雨宮ちとせ
【 1章。 】
4/9

4話。

----昼休み。


「―――でさ。オレがそう言ったのに、あいつなんか意味わかんないこと言い出してさぁ」

「・・・」


梳晴は奏汰と昼ご飯を食べている。


「―――っていうわけ。もうみんな大爆笑で。」

「ふーん…」


奏汰のマシンガントークは面白いからちゃんと聞いているが、口をはさむ隙はない。


「そういえば、梳晴今日掃除当番だよな?」

「そうだっけ」


マシンガントークが始まったら、口をはさめるのは疑問形の時だけ。

そこから話を奏汰の流れから引き離して、会話に進める…というのが梳晴の得意な〈奏汰のマシンガントーク撃退法〉。


「オレちゃんと覚えてるんだよ!長期休みの前の掃除当番が誰だったか。

休み明けの順番がずれないようにね…」

「で、今日は俺の番だと」

「そうそう。でも今日依真ちゃんと一緒に秀也さんの所行くんでしょ?」


撃退法をしなくても会話に進んだみたいだ。


「あーそっか。でもまぁ依真なら待ってるだろ」

「だめだめっ!だめですよ梳晴さん!」


奏汰が高い声を出して言った。


「なんだよ急に…今度は何をイメージしてその口調なの」

「女子の心を理解する精霊のイメージ」

「なんだそれ」

「まぁそれはいいからいいから。オレが掃除当番代わってやるよ」

「は?いいよそんなの」

「もう代わるって決めたからー」

「ちょっ…勝手に…」


「あ!依真ちゃんに平坂ちゃん!ちょっといい!?」


奏汰が、ちょうどそばを通った2人に声をかけた。


「なーにー井浦」


そう言いながら近づいてきたのは平坂柚稀ヒラサカユズキ

依真といつも一緒にいる女子だ。

親友らしい。

依真もその横にいて、一緒に近づいてくる。


「んーえっとー…」

「あーはいはい。あたしじゃなくて依真に用なんでしょ。わかってるから」

「平坂ちゃんにも用あるって!」


笑いながら柚稀が言ったが、奏汰は慌てて答えた。


「ほんと?何?」

「あー…」

「なーにー?」


女の子には優しく!をモットーにしている奏汰が唯一たじたじになる相手、それが平坂柚稀。

いわゆるサバサバ系女子。


(仕方ない。助けてやろう)


梳晴はたじたじな奏汰を助けるために口を開く。


「奏汰。依真への用を先にしたら」

「そうしよう!ナイス梳晴!」

「私にも用があるの? 奏汰くん」


「あー井浦、依真に逃げたな」

「待って待って平坂ちゃん。依真ちゃんへの用が終わったら話すから!絶対だから!」


「用ってほどの事じゃないんだけど…今日、梳晴の掃除当番代わったから、

依真ちゃん梳晴のこと待たなくて大丈夫だよってだけ!」

「あ、そうだったんだ。ありがとう奏汰くん」

「いえいえ!」


(あ…笑った)


思いがけないところで依真の笑顔を見られた。


(ちゃんと焼付けよう…)


奏汰と柚稀がまた何かを話し始める中、梳晴は依真の笑顔を目に焼き付けた。



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