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神王伝史-GOD CHRONICLE-  作者: エージ/多部 栄次
第三章 孤独の影光 廃島フォルディール編
43/63

第42頁 パンカーズ・アイアンハザード

 島の中央に聳え立つ独立山峰。標高は2021mを誇り、かつては火山だった。

 その山の頂上付近の測候所兼拠点基地の開発室内部に大尉リピッシュ、中尉ユンカース、曹長メッサー、そして大佐フェルディナントがいた。眩しいほどの照明の数々の下、広めの空間に様々な実験装置や兵器が並んでいる。

「もう二時間ほど『古代兵器用無人高速輸送艦おうえんようせい』が来るのが遅かったら、古代兵器の群れ相手に大事な軍事力を大幅に失うところだった」

 安心した表情を向けたメッサーは十数枚の液晶スクリーンパネルが設置されたデスクを見ている。自律型の飛行ドローンの監視カメラから様々な映像を映し出している。

「ま、時間通りに来たんだし、別に問題はないだろ?」

 ユンカースは剽軽に歯を出して笑う。「それで」とフェルディナントに話しかける。

「大佐、全員このAブロックの第7拠点に集結しましたけどぉ、何かブリーフィングでも行うんで?」

 長身痩躯の強面のユンカースよりも30㎝も低く、年齢も遥かに若い、しかしその威風堂々としたバイロ連邦の顔は首を僅かに動かし、鋭い目だけを向ける。

「島全体のシステム回復によって目的のひとつである『古代兵器』をも復活させたが、そのほとんどが我々を敵として認識している。このことはおまえたちでも把握しているはずだ。そして、瑛梁えいりゃん国の残兵と国籍不明の竜人族の2名を確認したこともな。それを知っていればブリーフィングも必要ない。やるべきことは分かっている。それと、私がおまえたちをここに連れてきたのは他でもない」

「タンク」と圧をかけた声で呼ぶ。顔面プロテクトの大男リピッシュは「ハッ!」と返事する。

「私からのプレゼント、気に入ってくれたか? あれからずっと腹ごしらえしていたそうじゃないか」

 人間対象の『鬼龍の血』の増強薬。それを飲んだリピッシュは竜人族を越え、化物に匹敵する力を得た反面、空腹に侵され続けていた。未だに腹の音を鳴らしている。

「ええ、何を食べても満たされなくて……」

 悩んだ様子であれ、その威圧はフェルディナントとは別のものだった。最早存在感は龍と等しかった。

 大佐はふふ、と笑みを向けた。

「お前の報告では竜人族と接触したそうだな。それも相当の品質を備えた最高級。そいつの詰まった血肉を喰えば満たされるのではないか?」

「私が、あの竜人族の肉を……?」

「今の現状から抜けるにはそれしかないだろう。鬼龍の血を継いだお前は闘争本能と食欲だけが今唯一の薬だ。その欲求を叶えるためにも、もうひとつプレゼントを用意しておいた。後で私のところに来い。ユンカース、おまえにもちょっとしたギフトをくれてやろう。おまえにぴったりのものだ」

「そいつぁありがたいでさぁ」とニタリ笑う。

「勿論、ハインケルにも用意してある。安心しろ」の言葉で、やっとメッサーも安心した。

「捕虜の言った通り、確かにあの残兵はただの兵士ではないことはわかった。が、所詮は異人種、しぶといゴキブリとそう変わらん。だがゴキブリ一匹でも全力で叩き潰せ。放っておけば大量の群れを引き連れてくることだってあるからな」

 ドォン! と発砲音。それはフェルディナントの携帯していたリボルバーから鳴り響いた。スクリーンパネルを通り越し、右手数メートル先の壁に穴が空く。その弾痕の中には天井に巣を張っていた蜘蛛が潰れていた。


     *


 麓の前線基地。そこに立つ数名の全身鋼鉄武装のアサルトアーマー兵と二足歩行型の自律兵器が迎え撃つは、地中から這い出てきた大小様々な古代兵器の数々。四駆動輪型や三脚型、節足型などが銃弾を受けながらも俊敏な速さで襲い掛かってくる。

「これじゃあキリがない! こっちも『キャプチャー』解放しねぇと死人が出るぞ!」

 アサルトライフルを手に兵は撃ち続ける。多少は怯むものの、バランスを崩しても尚、無理矢理その体躯を動かし、軋みながら、小さな部品を零しながら向かってくる様は機械でできたゾンビを連想させた。鉄でもチタン合金でも石でもない、何かの加工材料でできているその古代兵器は、ロボットの機械的さを持ちつつも、どこかゴーレムのような自我を宿しているような、そんな曖昧な直感を兵たちは抱いていた。

心臓部コア脳天アタマぶっ放しても倒れやしねぇなんてゾンビよりタチ悪いぜ。ユンカース中尉の指示はまだないのか」

「さぁな! せめてフィールド用の滞空シールドがあれば随分楽なんだけどな」

「愚痴を言うんじゃねぇ。俺たちのアーマーにわざわざシールド機能付けてくれたフェルディナント大佐に感謝しろ」

 何発もの弾がアーマー兵に向かってくるも、自身の滞空シールドの展開により着弾することなく、焼失する。電力的な消費はあるため、継続的には展開していない。

 そのとき地鳴りと揺れが生じる。この島全体を揺らした地震ではない。一定間隔で揺れるということは、莫大なほどまでにある質量を持つ何かが移動している、謂わば足音。

「……っ? おいなんだアレ!」

 一体それが何なのかと問い詰める前に、その場の軍兵たちは遠視スコープで遠くを見上げた。

 独立山峰から約3キロ先。人間らしき四肢をもちながらも、獣らしい肉体と関節をもつ、獣と人間が混合した20m級の巨人獣型の大型兵器。蒸気をかき分け、木々を薙ぎ倒し、廃工場を踏みつぶし、獣の如く爆走している。

 遠くても、その速さ、勢いが凄まじいことは全兵が直感として理解することができた。

「すぐに中尉に伝えろ……! あの巨人がこっちに突っ込んでくる前に!」


     *


「……っ、た、大佐、幸運なことに例の二人がこちらに向かってきています」

 吊り上がった笑いを含めての報告だったので、フェルディナントは少しだけ眉を潜める。モニターに近づくときと同時、ハインケルの口から同じ笑いが漏れてくる。

「巨人型の古代兵器ターゲットに乗っているようです。前線から約2700m先、それも全速力で」

 モニターに映っている巨大な何かをフェルディナントは冷酷な目で見る。同時、無線機を片手にユンカースから前線基地の兵の緊急事態内容を伝えられる。

「そうか」と小さくつぶやいた後、すぐに鋭い目をまずハインケルに刺す。

「ハインケル、Tティーガーと共に出撃しろ。先程確保した『MF5』を使え」

 それを聞いて理解、同時に戸惑いを示した。

「え……! 早速『捕獲兵器キャプチャー』を使うのですか? それと……あのTティーガーも」

「相手も同等の戦力を備えている。一向に構わない。この場は他の工作兵に任せておけ」

「……っ、了解!」

 ハインケルは敬礼をした後、少しうれしそうな顔をしてすぐに部屋を出た。

「ユンカース、先程の前線からの報告で何を指示した」

「B地区第三ポイントの巨大工場を破壊したクラスター弾とこの島にあった設計図をもとに造った電磁兵器の試作品の使用を許可しましたが」

 間違った指示だったのか、フェルディナントは少しだけ彼を睨んだ後、無言で部屋を出ようとする。リピッシュとユンカースはただその小さく華奢な背中を見るだけだった。

「何をしている、ついてこい」

 任務はまだ終わっていない、と告げて、往くべき場所へと歩む。


     *


 ユンカースの指示により、山峰頂上付近に設置された十数の砲台から百を超えたクラスター弾が吐き出され、その中から数百もの爆撃弾が雨のように降り注ぐ。そして麓の前線に用意された戦車一台分の大きさを誇る砲身の長い黒い大砲が用意される。

 当然、狙うは20mの巨獣人の古代兵器。同時に攻めてくる他の古代兵器にもその炎の雨を浴びせようとした。

「思いの外、照準合わせはすぐにできたな。電磁砲ならいつでも撃てるぞ」

「相手はただ真っ直ぐ突っ込んでくる! サルでも狙えるぜ!」

 電磁砲の発射操作をしながら兵は笑う。ここは前線の少し後ろの為か古代兵器の存在は確認できるものの、その火の手は届いていないようだ。

 待つ間もなく、その巨人の全貌が露わになる程、接近してきていた。獅子の咆哮のようなエンジン音が響き渡る。地鳴りと共に鋼鉄の武装越しで皮膚がびりびりとする。

 そのとき、空から黒い鉄の雨が巨人のいる地点、前線前の森林地帯を焼け野原に変える。目の前は爆炎に呑まれ、巨人の姿すら確認できない。が、古代兵器のものらしき機械の断片や部品が火にまみれ、こちらに飛んできている。

「今だ! 撃て!」

 降り続ける爆音と高熱の台風の中、その掛け声と共に、大気が破裂したような音が空を割る。電磁砲の発射軌道先、爆炎の分厚い雲に一閃の風穴が空く。

 その電磁砲の名はレールガン。フォルディールの設計図の一つとして連邦軍の技術で復元された名も無き軍事技術。実用段階において射程は200キロ超、弾速マッハ7を誇る。

 火薬を使わず、電磁エネルギーで砲弾を撃つ技術は、未だどこの国も実現できていない。 

「っ、嘘だろ!?」

 しかし、爆炎の中から巨獣人の兵器が変わらない速度で突き進んできた。

 クラスター弾で装甲がボロボロに破壊され、、電磁加速砲レールガンで顎部が抉れ、胸部に風穴が空いていても尚、その四肢を動かす。

 否、そのような力は既になく、その巨躯を崩さないように支えるだけで、失っていない速度を兼ねて走っているようにも見えたのだ。その赤いランプは点滅し、消えかかっている。いつ骨格を崩し、崩れ倒れてもおかしくはない。

 加速することはないが、アクセルを踏まない自動車と同じ。ブレーキがない以上、その巨体が列車の如き速度で前線に突っ込んでくることに変わりはない。

「離れろォ! この勢いじゃ戦車砲幾つ揃えても食い止められねぇ!」

 ひとりの兵が叫び、40人ほどの兵全員が迅速に撤退する。だが、20mの巨獣人の倒れこむ突進は、数人のアーマー武装兵を巻き込み、兵器を潰し、崖を崩す。


 島中央の独立山峰を揺らす程の衝撃が、麓から轟音として暗い空に響き渡る。

 山の地を揺らした巨獣人のマシンはもう動くことはなかった。山の崖に突っ込み、頭部は崩れた岩の山で埋まっていた。エンジン音さえ聞こえない。

 クラスター弾の猛攻も既に収まっており、場は数秒の静寂を迎えていた。無事だった兵は様子見に兵器の亡骸に近づく。古代兵器もほとんどが爆砕していた。

 亡骸の背からバゴン、と機関の一部が外れ落ちる。その音で全員が武器を構える。

 機体の穴から白い煙と白い蒸気が混じって漏れ出てくる。天に上るものもあれば地に流れ出る煙もある。煙は広がり、また濃い為、巨大機体の姿が見えなくなっていく。

「げほっ、うふぇっ、クッソ煙てぇ……事故ってるなこりゃ」

「やっぱ華麗に正面突破がかっこいいですね。ここって山頂ですか?」

「違えよ。まだ砦の門を潜った辺りだ」

 真っ白な煙の中から3人の声が聞こえる。連邦軍兵は一人一人のアーマーマスクについている熱探知と音探知、そして生体反応探知機能で彼らの位置を把握する。

「おぅぷ……つーかこれ安定度悪すぎだろ……!」

「結構楽しかったですけどね、あっはは」

「ま、ここまで進んでくりゃ十分だ。こいつはいい仕事したよ」

 そして、警告することもなく数十の兵の数十の武器が火を噴く。漂う濃い煙が晴れるまで撃ち続けた。

「あー、結構いますね」

 銃撃音が喧しい中、突如後ろから声が直接鼓膜に響くように聞こえ、ほぼ全員がバッと振り返る。が、三つの探知機能を使っているにもかかわらず、中性的な声色の主は見当たらない。

「……?」

 それでも、声は聞こえてくる。なにもない大気から声が聞こえてくる、そんな不思議な感覚だった。

「あ、みなさん、前向いた方がい――」

「ンじゃ、まずは一発……挨拶しておくか」

 こんどは煙の方から違う声が聞こえる。ぶわっと背に感じる威圧力にまた全員が振り返る。数えきれないほどの弾薬を煙の中のターゲットに撃ち込んだ。しかし、煙が散り、出てきたのはこちらに歩み寄ってくる210㎝の巨漢。赤い髪と瞳を持つ竜人族だった。その後ろには金髪の少年らしき鉱人族が具合悪そうに機体の傍に膝をついている。

「……異人族共め、訳の分からねぇ術を使いやがって……!」

 連邦軍は警告することも躊躇うこともなくリオラを容赦なく撃ち続ける。

 しかし、アサルトライフルであろうと、マシンガンであろうと、散弾銃であろうと、5.56mmの銃弾程度では竜人族、特にリオラの尋常でない屈強な肉体では血の一滴すら流れない。

 弾は弾かれ、時折ぶつかってくる擲弾発射機グレネードの弾でさえ貫通も肉を抉ることもなく、それどころか怯むことすらなかった。リオラは拳を軽く握り、軍兵の前へと進み続ける。

「そんなチャチなモンで止められるとでも思ってんのか?」

 人型の自律兵器の武器も武装兵の使っている武器と同等の物。この場にある兵器では歯が立たないと分かったのか、戸惑いを挙動で見せる。そして、「退却!」とその場から撤退しようとしたとき、

「逃げんじゃねぇ腰抜け共ォ!」

 ひとつの災害が、山の麓で発生する。


 震度6弱。それがどの程度の影響を来すのかというと、固定していないものや家具ほどの大きさと重さのある物体の転倒や立っていることの困難が挙げられる。

 そして、その強度は地割れや山崩れの発生も十分に有り得る値である。

「ま……まじかよ……」

 声を震わしているシードは疲労と搭乗酔いとは違った脱力感で膝に力が入らず、立とうにも立てなかった。

 震源、地上にして海抜1016.8メートル。

 初期微動なし、継続時間約1.8秒。

 50はいたはずの軍小隊、数多くの兵器は山岳に埋もれるほど吹き飛ばされていた。無機物へいきはバラバラに、一部が捥げ、血を流した有機物にんげんは最早重篤状態となっていた。

 そして眼前は半径7mは下らない巨大な虚空の洞穴。地は抉れ、どこかへ繋がっているであろう地中の錆びついたパイプからは灰色の蒸気がゆらゆらと漏れている。

「景気の良い挨拶ですね」

 いつの間にか傍に居たイノは、平然の表情でパンチ一発で作られたトンネルを見眺める。真っ暗だが、山の中央までには達していないようだ。

(力が凄いとは聞いてたけどよ、竜人族ってここまで強かったか?)

 こんな、パンチの風圧だけで風速40m以上の台風がその場で発生したようにハンヴィーやタンクが吹き飛び、掘削機シールドマシンが通過したようなトンネルができるなんてあり得るはずがない。

 ただの拳をどう撃ち込んだらそんな兵器に匹敵するモノになるのか。証明できない非科学的事象にシードの頭はむず痒くなっていた。

「いいからいくぞ。おい金髪、早く立て」

「は、はいっ!」

 とはいえ、改めてリオラの破壊力を目の当たりに、すっかり恐れてしまったシードはぴょんと立ち上がり、二人のもとへ駆け寄る。

「でもこれって登るんでしょ? めんどくさいですね」

「じゃあ殴り飛ばすか?」

「せめて投げる方で」

「大して変わらねぇだろ」

「あの、言葉の意味分かります?」

(つーかなんで殴る考えに拘るんだよ。仲は良くないのか?)

 脳内でそう思ったシードは二人との距離を空けながらも手持ちの武器の準備をする。ライフルほどの銃器と携帯重火器、小道具……まだ使える物は多いことにシードはひとまず安心する。

「ここは静かになりましたね。あっち側少し爆発の音とか聞こえますけど」

 イノの独り言のような声にリオラは腕を組んで応える。

「ああそうだな……ここが静かなのも、今だけだがな」

「この後何かあるんですか?」

「説明するのもメンドくせぇ。テメェ自身で確かめに――」

 ドン! と張り裂けるような音。その場の地表という膜が内側から鉢で叩かれたように急速に膨張し、風船のように地面が暴発し、土も兵器の機器部品も人の身も高く舞い上がる。

「うぉあああああああああ!!」

「いゃっほぉぉぉぉう!!」

 驚き叫ぶシードに対しイノはアトラクションのように楽しげに叫んだ。リオラは予測していたのか、爆風の風圧を利用して高く跳んだ故、その体勢はいつでも繰り出せるように整っていた。

 壊滅した爆破地点から二時の方角先、鉄の建造物が並び、パイプや床から蒸気が噴き出ている工業地帯。弾ける放電を光源とした照明の数々がその領域を照らす場所へと墜落しようとしている。

「っ! やっべ、頼むから磁性のある金属であってくれよ……!」

 シードは着陸態勢が整わないまま、鉛色と錆色の混じった土っぽい地面へと激突する。かと思いきや、全身からの強い反磁性の発生と反動作用のある携帯型バズーカを角度を合わせて発射させ、その身をスライド・ローリングを駆使して墜落衝撃を緩和させた。

 イノとリオラは難なく高度から両の足で着地した。それを一瞬の視界に入ったシードはもうこいつらはそういう人間……いや人間じゃないんだなと再認識する。

「ああすごかった。下に結構な地雷があったんですかね。あんなに吹っ飛ぶなんて相当ですよ」

 それでもイノたちが無傷だったのは、震度6の地震を引き起こすほどのリオラの一殴りによって地雷の配置が乱れ、深めに地中に埋まったからだろう。地盤の膜が、防御壁となった。

「万が一前線を突破されても地雷で殲滅させる考えか。浅はかだが、準備が早いもんだ」

 リオラは感心したように口を動かし、そして独立山峰とは別の方角を見た。同時、同じ方角を見ていたシードは起き上がり、バッと体勢を整い直す。

 何かを叩き壊す音。ドラム缶が打ちのめされる音。鉄の壁を打ち破る音。

 暴力的で荒々しい音が無人の寂れた、しかし自ら息をするかのように勝手に活動している工業団地の奥から聞こえてくる。

 近づいてくる。

 音が大きくなる。しかし見当たらない。

 それは戦車なのか、ロボットなのか、兵士なのか、それともこの島の古代兵器なのか。

 どんどん近づいてくる。

 突如音が止む。

 その代わり、別の音が発される。リオラの一言だった。

にクセェ臭いだ……来るぞ」


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