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神王伝史-GOD CHRONICLE-  作者: エージ/多部 栄次
第二章 竜の巣食う大陸 アリオン地方編
21/63

第20頁 竜と英雄

 景色一面に広がる草原。ところどころに赤褐色の岩が突き刺さったように散在し、蟻塚のようにもみえる。天気は快晴。空を飛び立つのは鳥ではなく小さな竜の群れだった。

「はぁ~気持ちいい風だな」

 港町ウィアから歩いて数十分。旅人イノは膝丈程の草丈の野原を歩み続けていた。風が強く、真っ白な髪が靡く。

「お、あれかな」

 丁度草食竜の群れを遠くで見かけていたとき、町の姿が小さく見えた。

「どんな町だろーなー」

 と言ったとき、頭上を青色の甲殻を纏った飛竜が滑空する。大きな影ができ、風が一瞬だけビュオッと吹き抜く。そのまま町の方面へと飛んでいった。

「おおー、ほんとにあんなのがたくさんいそうですね」

 楽しそうな表情でイノは再び歩を進める。


     *


「『カイスの町』……おいしそうな名前の町ですね」

 町の入口の看板を見、全景を見渡す。

 石煉瓦で造られた建造物や地面、ある世界の産業革命前後に似た西洋式の街であり、坂はなく、おそらく町全域に一切の坂はないとみられる。そこまで広くはないが、小さな町ではなかった。

「とりあえず何か食べますか」

 イノは飲食店を探す。

 住民の中には武器を担ぎ、鎧を装った人がちらほらと見える。

「――そこって隣町じゃん。その話本当なのかよ」

「――調査隊務めている俺が言うんだ、間違いねぇよ」

 すれ違った甲冑姿の兵士らしき二人組の会話を聞くが、何の話なのかはわからなかった。


     *


 偶然見かけた酒場に似た店に入り、空いている木のテーブルの席に座る。ウェイトレスに声をかけて畜竜の肉料理と山菜のサラダを注文した。

「もしかして今日初めてここに来ましたか?」

 作りたての料理を持ってきた若いウェイトレスに声をかけられる。

「そうですよー」

 呑気な声でイノは返答する。少し大きな声を出さないと相手の耳に届かないほど、店の中はがやがやと賑わっている。

 ウェイトレスは笑顔で、

「そうなんですか! ようこそカイスの町へ。ここって主に武器製造が盛んな町でもあるんですよ」

「へぇ、どうしてなんですか」

 イノは首を傾げる。意外そうにウェイトレスは口を開く。

「あれ、ここに来る途中見ませんでしたか? ここら一帯は竜が結構いる危険な場所にある町なんです。そういえばどこから来たんですか? 荷物もないようですけど」

 一切の手荷物をもたないイノは、気にすることなく笑顔で答えた。

「サドアーネから来ました。旅してるんです」

「水の都のサドアーネから来たんですか! ということは海渡ってきて港町ウィアの列車からわざわざ乗継してここまで来たんですね」。

「列車は使ってませんよ。とても広い草原を歩いてきました」

 すると、さらにウェイトレスは驚いた声を出す。

「あの大草原を!? 飛竜をはじめとした肉食竜が多い地帯ですよ!」

「そうなんですかー。あ、そういえばそれっぽいのは見ましたね」

「襲われなかったんですか?」

「え? 全然でした」

 よくわからないイノはただ質問に答えるだけだった。

 ウェイトレスは「はぁー」といわんばかりに驚きの溜息をついている。

「よくここまで無事に来れましたね……旅人さん、運がいいんですね」

「竜が多いから討伐するために武装している人が多いんですね」

 驚くウェイトレスの話を悪意なく切り替え、イノは話を戻した。


 周囲には、頑丈そうな武装をした男女が大半おり、20から30代の屈強な男性が多くみられた。酒を豪快に飲むものもいれば、大量の料理を平らげている者もいる。

「あ、ええ、そうなんですよ。彼らは屈強なハンターなんです」

「ハンターですか」

 あまり知らなさそうなイノを見たウェイトレスは目を輝かせて話し始める。

「そう! 主に獣やドラゴンを討伐するのが仕事なんです。中でも最近すごいハンターさんがいて、飛竜の中でもかなり危険だといわれている『蒼炎竜』をたった2人で討伐したんです! しかも、その人たちがこの町にいるんですよ! すごくないですか!?」

 ウェイトレスは興奮冷めやらぬ様子で熱弁するが、イノはただ「そうなんですかー」と料理を食べながら答えるだけだった。


 そのとき、外がざわついているのが聞き取れた。店の入り口からひとりの男の住民が入ってくる。

「『英雄』がすぐそこにいるらしいぞ!」

 といった瞬間、ガタガタと席についていた客も、従業員も店主マスターも「本当か!」といわんばかりの嬉しそうな表情で外へと出ていく。イノと話していたウェイトレスも仕事仲間の女性と嬉しそうに外へと出ていった。

 うるさいほど賑やかだった酒場ががらんと静かになる。

「あれま、ほとんどいっちゃった」

 イノは入口の方を見た後、食事を続ける。


「そんだけ、『英雄』ってのは人気だってことだ」

 イノの前の席に座ってきたのは赤竜の甲殻で造られた鎧と剣を携えた30代程の茶髪の男だった。

「まぁ、この町を救ってくれたってのもあるが。おまえは行かなくていいのか?」

 イノはシャクシャクとサニーレタスとフキノトウを食べながら、

「人混みが激しそうなんで」

 と言い、ごくりと飲み込んだ。

 すると男は大きく笑う。

「まぁそうだわな。俺はクレイズ。竜狩りと薬材集めを専門職としているー……まぁある意味ハンターだ。おまえは若いし見るからにー……」

「イノです。旅人やってます」

 ニッとイノは笑った。

「旅人か。にしては荷物とか護身具とか持ってないように見えるが」

「お金はもってますよー」

「まぁ、じゃなきゃここで飯なんか食わねえだろうな」

「ははは、おもしろいこといいますね」

「……? まぁとりあえず何かの縁だ。よろしくな、イノ」

「よろしくです、クレイ……ジーさん」

「惜しいが全然違う。クレイズだ」

 クレイズは皿の上にある骨付き肉をひとつ手に取る。

「あ、僕のが」

「気にすんな。友情の交わしだ」

 焼きたての竜肉の一切れを頬張り、笑いながらクレイズは話す。

「ここらで言われる『英雄』ってのは、国や人々を襲うような、凶暴すぎて手に負えないほど強い竜とか獣を討伐する奴らのことを言う。話を聞くからに住民の言っている二人はお前と同じぐらいの若い男女二人組らしい。その二人が隣町を火の海にしたあの『蒼炎竜』を狩ったんだ。この先もっと強くなるぞ」

 自分のことのように自慢げに話したクレイズだが、イノは「?」を頭に浮かべる。

「そんだけすごいんですか、その竜って」

 意外そうに言ったイノに対し、クレイズも意外そうな顔をする。

「知らねぇのか? そもそも大型の飛竜ってだけで相当なんだがな。中には最早兵器に等しい竜もいるんだが、まぁ蒼炎竜もそれに近い一種だと考えればいい」

「へぇー」と、イノは料理を口にする。

「にしても、そんなことも知らないでよく旅なんかやってこれたな。情報集めたほうがいいぞ。情報はこの世界で生き抜くために大事な命綱だ。命綱なしじゃ、万が一の時に生き抜ける、助かるはずのチャンスがないんだからな」

 茶色の瞳で睨むように戒める。

「そうなんですか~。でもそんときはそんときですよ。それに、知らないものに出会えるのってなんかいいと思うんですよね」

 あまり通じてないと把握したクレイズは軽く笑った。

「未知との遭遇か。ま、俺の言いたいことはくだらないことで死ぬなよってことだ。それに、生き抜くにはそれなりの強さが必要だ。おまえ正直男か女かわかんねぇけど、そんな細い身体じゃすぐにやられるぞ。鍛えたほうがいい。生き続けるということは身も心も強くなきゃならんってことだ。どこで生きようともな」

 その茶色の目には、なにかの意志が感じられた。過酷な野性の世界で生き延びてきたハンターにしかもたない、燃えるような瞳だった。

「それは確かにそうですね。クレちゃんはどのぐらい強いんですか?」

「なんだその仇名……まー俺は言うだけ言っといてだが、大して――」


 そのとき、店のドアがバン! と開き、誰かが飛び込んでくる。外から悲鳴に似た多くの声が聞こえる。

「なんですかね?」

「さぁな……ってあいつらは」

「――おまえはなんでいっつもこういうことするんだよ! 歓迎されてるのになんで嫌がるのか理解できねぇ!」

「だってあんなに押し寄せられたら照れちゃうでしょ! それにあんた調子乗り過ぎなのよ! 見ているこっちが恥ずかしいわよ!」

「うるせぇ! だからといって煙幕で逃げることはないだろ! なに英雄様が救った住民に被害出してんだって話になるぞおい!」

「あーもう静かにして! 町の人に気づかれちゃうでしょ!」

「……おいおい、もしかして例の二人組の英雄か」

 クレイズがそう呟くと、その声に気が付いたのか、びくりと二人はイノたちの方を見る。

「あ……ど、どうも~」

 武装した少女は苦笑してクレイズを見た。

「あぁ、大丈夫だ。別に俺たちは外にいる奴らみたいに騒がねぇから」

「え、ほ、本当ですか?」

「おう」

 すると少女はほっとした表情になる。

「よかったぁ~、すみませんがしばらくここにいてもいいですか?」

「別に構わんよ」

 もう一人の青年はクレイズの全身を見ながら近づいてくる。

「見るところ、おっさんもハンターみたいだな。てか俺達って……あ、そいつのことか」

 青年はイノの白髪頭を見て納得する。もぐもぐと食べているイノは「どうもー」といって食事を続けた。

 二人の若い男女のハンターはイノとクレイズの間の席に座る。

「やっぱり若いなぁお二人さん。『蒼炎竜』倒したんだって?」

 黒と赤を強調した鎧式の装備と黒い大剣を背に担いだ黒髪の若い男は自慢げに話す。

「おうよ! 俺の手にかかりゃあんなもん大したことねーよ」

「ボロボロになったくせによく言えるわね」

 白と青を強調した、男性の装備より軽く、少し露出した装備に白い巨砲を床に置いた白銀髪の若い女性は、ぽつりと呆れた表情でいった。

「あ? 遠距離チキン野郎がよく言えたもんだな」

「何ですって? 私の武器だとそうなるんだから仕方ないじゃないの」

「俺は近距離でやってるからボロボロになるに決まってるだろ」

「やられすぎよ情けない」

「んだとテメェ……」

「ははは、仲がいいなあんたら」

「「全っ然そんなことない!」」

 ふたりは同時にクレイズに言う。「すごい息合ってるじゃん」と内心思ったが、あえて口には出さなかった。

「おふたりさんは名前なんて言うんですか?」

 食事を終えたイノは二人に訊く。

「ああ、俺はリック。んで、こいつはシーナだ」

「よろしくね。あなたはハンターじゃなさそうだけど……」

「イノです。旅やってますね」

 そう言うと、シーナは感心しつつも、少し意外そうな表情が垣間見えた。

「旅人なんだー、どこか目指している場所があるの?」

「いえ、まったく」

「じゃあ目的なく途方にブラブラしてるだけなんだなあんた」

 リックの目は少し軽蔑しているように見えたが、イノは気にすることなく和んだ表情で「そういうことになりますねー」と笑った。

「あ、でも厄災のなんとかって場所がこの地方にあるって漁師さんに聞きましたんで、とりあえずそこにいってみようと思います」


 すると、リック、シーナ、クレイズの表情が変わる。まず口を開いたのはクレイズだった。

「おまえ……知らないで言っているだろ」

「まぁ、名前もあんまり覚えてないですし」

 シーナは頭をポリポリと掻いているイノに説明する。

「『厄神の祠』っていう、この大陸で知らない人はいないほどの有名で危険な場所があるの。立ち入り禁止の危険区域で、凶暴な竜や伝説級の強い龍でさえも近づかない聖域なのよ」

「聖域というよりは地獄の入り口に近いがな」

 皮肉にも、といった表情でリックが付け足す。イノはぽりぽりと頭をかいた。

「前の町でもそんなこと言ってたなぁ。実際そこに何があるんでしたっけ?」

「大昔からの言い伝えだから実際そこに何があるかは知らないけど、厄災を司る地獄の龍がそこに封印されているらしいの。天災を引き起こす古代の『龍』とは別格を誇る力を持つらしいんだけど」

「ちなみに、おまえみたいに好奇心もって調べに行った奴らはみんなそこに行ったきり帰ってきていない。本当に地獄の入り口なのかもな」


 クレイズは持っていた骨をカラン、と皿に放る。

「それと、ひとつ気になることがあるんだが」

 クレイズは3人に話しかける。その表情は少し真剣だった。

「店の奴ら遅すぎないか?」

 そういえば、とみんなは店を見渡し、出入口に目をやる。人影ひとつないどころか、外も先程よりは断然静かになっていた。

「みーんなおまえら英雄に会いに食事をやめる奴もいれば仕事を放ったらかしにする奴もいたんだから、せめてここに戻ってくるはずなんだがな」

 リックは無表情のまま、だが少し冷汗をかきながらシーナに尋ねる。

「……シーナ、まさか間違えて毒ガス弾放ったわけじゃねぇよな」

「そ、そんなわけないでしょ。だとしたら私たち今頃死にかけてるわよ。煙吸ってたんだから」

 そう言っているにもかかわらず、その声は微かに震えていた。

「外みてみますか」

 イノは席から立ち、店を出る。他3人もイノについていく。


     *


「……なにがあったんだ?」

店を出ると、人ひとり見当たらなかった。だが、微かに遠くから声が聞こえる。騒がしい、焦ったかのような声だ。

「おかしいな。いつもは人が絶えない賑やかな通りなのに」クレイズは腕を組む。

「遠くから人の声が聞こえる……。なにかまずいことでも起きているんじゃ……」

 そのとき、ボォン! と何かの爆発音が静かな町に響く。あとからグラグラと揺れが起きた。

「うぉっとぉ……どっかの国の軍が仕掛けてんのか?」

 リックが半笑いで冗談を言ったとき、

 

 ――ゴガガガガガガガガガァァァァ!

 

 何かの咆哮が街に響く。嫌でも頭に残るような喉の擦れ合う音。低く、そして最後に甲高くなるその咆哮は不気味さを覚える。

 リックとシーナは顔を青くする。聞き覚えがあるようだ。

「――ッ、おいシーナ、この鳴き声って……」

「『蒼炎竜』、だよね……でもなんで」

「仲間を殺された恨みだろうな」

 後ろから声をかけたのはクレイズだった。真剣かつ冷静に二人に話す。

「知っているか? 『蒼炎竜』は侵入者、獲物の姿、声、匂いを覚える賢い竜だ。その上、一見すると一匹狼っぽいが、ちゃんと子を育てる家庭的な一面もあるし、仲間意識が強い。ま、狙いは明らかあんたら英雄さんだろうな」

「げ、マジかよおっさん」

「おっさんでもいいが、クレイズという名前があるから覚えとけよ」

「と、とにかく町のみんなを助けないとっ」

 シーナは爆炎が空へと漂っている場所へと駆ける。

「っ待ておい! おまえ方向音痴のくせに正義感だけで真っ先に行動すんな!」

 リックは走り出したシーナを追いかける。ゴゴゴ……と地鳴りとともに地面が揺れる。

「あー行っちゃったな。どうするよ旅人さん。俺たちはここでゆっくりと他の客の飯でも……あれ、いねぇ」

 クレイズは周囲を見るが、イノの姿はなかった。


     *


 カイスの町北部。人々は悲鳴を上げながら逃げ惑う。

 突如の襲来。知らされざる逆襲。『蒼炎竜』の怒りは蒼き炎へと変わり、街を炎の海へと変えていく。

 翼腕を地につけ、四足歩行の形で咆哮し、背に生えた第二翼を天へと仰ぐ。

 蒼き甲殻に炎のような鱗。弾力のある堅い筋肉が膨張し、赤い血管が張っている。未発達のくちばしの下には鋭い牙が並んでいる。四肢ともに発達しており、飛竜種とは考え難い体格をしている。毒針がなだらかに生えている青い尾は長く、体長は2階建ての民家より大きかった。

「くそっ、結構壊されてんなぁおい!」

 リックは抜刀し、漆黒の大剣を構える。大柄ではない体格でその鈍重な剣を軽々と持てるということは相当の腕力をリックは習得しているといえよう。

「こっちの方が大きいけど、一度は討伐している。下手なことしない限り倒せるはず!」

 シーナは純白の巨砲を軽々と構えた。体の使い方、体重移動が上手なのか、その細い体で自分より大きいかもしれない武器を何気ない表情で扱っている。

「足引っ張んなよシーナ」

「こっちのセリフよ」

 シーナから仕掛ける。撃った弾が蒼炎竜に被弾し、ボウン! と煙幕が広がる。瞬間、石の建物ごと崩壊しかねないほどの大爆発が起きる。煙幕の粉塵は爆炎剤が含まれていたようだ。

「さぁ、レッツゴーッ!」

「おまえマジ鬼畜だな」

 シーナの表情が半ば楽しそうに見えたが、すぐに気にすることなく、リックは爆炎の中へ向かおうとする。

「……ッ、あぶねっ!」

 だが、爆炎の中から真っ青な熱線が放射される。間一髪で避けることに成功したが、5階建ての民家に直撃し、貫通、そして溶解する。

 爆炎の中から蒼炎竜が滑空しながら突進してくる。

(ちょ、早っ!)

 避ける間もなくリックは大剣を盾代わりに身を守るが、その体格差と速度は歴然。いとも簡単にリックの身体は吹き飛ばされ、壁に激突する。

「……ッ、がふぁっ……!」

「リック! このっ……」

 シーナは弾丸を装填し、弾丸を連射する。ほぼ蒼炎竜の体躯に被弾し、炸裂する。蒼炎竜は怯み、唸り声を上げる。

「よし、これは効いてる。リック! 早く起きて!」

 シーナは大声で左奥で壁際に倒れているリックを呼び、そこに治癒薬が含まれている銃弾を撃ち、ボウン! と緑色の煙がリックを包む。


「――うぉああああああ!」

 リックはむくりと起き上り、剣を持つ。緑色の煙の中に気化状アドレナリンも入っていたようで、半ば強制的にリックを起こした。

 シーナは装填し、弾丸を発射する。大爆発を起こし、蒼炎竜はその威力で体勢を崩す。

 その隙を狙い、麻酔弾を連射する。

「今のうちに!」

「おうよ!」

 リックは竜の胸部から腹部にかけて勢いよく斬る。鮮血が舞い、蒼炎竜は悲鳴を上げる。ヒュン! と毒針のある尻尾がリックに向けて突いてくるが、それを躱し、尻尾を斬りつける。甲殻が堅いのか、血が出ることはなかったが、表皮の蒼甲殻は剣の形に削れた。

「やっぱり堅ぇな……ってうぉ!」

 呼吸すると同時に蒼炎竜の手がリックを押し倒した。大剣で防いだため爪によってその身を切り裂かれることはなかったが、潰されんばかりの重さと腕力で地面に押し倒される。

「うぐ……っ」

蒼炎竜はその腕で抑えているリックの頭部を食い千切ろうとした。だが、数発の爆裂弾が蒼炎竜の頭部を体を連れて少し吹き飛び、転がり倒れるがすぐに起き上り、シーナの方を睨む。頭や目元から血が流れている。

「サンキュー、シーナ」

 リックは懐から手榴弾を出し、竜に投げつける。爆発と同時に毒ガスが充満する。リックは十数メートル離れたところにいるシーナのもとへ駆けつける。

「やられすぎよあんた。一回目より酷いじゃない」

「一昨日戦った傷がまだ癒えてないんだよ。今ので傷開いちゃったし、俺もうコンディション絶不調だ」

「まぁ緊急事態だし、装備も大して揃えてないし、治療薬もほぼないし、あのときとは違って万全の準備なんてしてなかったもんね。でも、今までなんやかんやで私たち何とかやってきたじゃない」

 二人はその場を離れる。同時に巨大な青い炎が川のように道に流れ込み、道路を熱で溶かしていく。

「だから今回も何とかなるってか? だーからおまえはバカなんだよ」

「なっ、バカとは何よ!」

「いーから、さっさとこいつぶっ倒してお前がいかにバカってことかを教えてやるよ」


 ていうか、と付け足し、

「こいつあんまり効いてなくないか?」

 血を流しながらも蒼炎竜は弱る様子を一切見せず、殺気に等しい威圧を放っている。

「そういえば蒼炎竜って怒りの絶頂を越えるとハイになって痛みとか毒とかに対して鈍くなるって……」

「あぁ、そういえばそう――」

 ズドン! と竜の一撃がリックを襲う。直撃することはなかったが、衝撃波で体が吹き飛ぶ。巨大な鉄球が激突したかのように竜の腕は地面に埋まり、穴をあけ、建物をビギビギとひびを入れ、崩していく。

「痛ってぇなぁ畜生!」

 リックは起き上がり、竜の懐へ駆け、大剣を薙ぐ。同時に蒼炎竜もその鋼鉄に等しい硬度の手甲で殴りつけて大剣に対抗する。

 大剣とぶつかり合い、手甲の甲殻がパキン、と欠けるがパワーは圧倒的な差であり、リックは直にその衝撃を受け止めることになる。

「――リック!」

 黒髪の剣士は壁に埋もれ、頭部から血がダラダラと流れていた。だが、英雄と称されたハンターならではなのか、辛うじて意識は保っていた。

 蒼炎竜は吠える。地を振動させ、口から熱波が漏れる。ガラガラと壁が崩れ、ドサッ、とリックは地に倒れる。

 竜の視線が少女へと変わる。

「ッ!」

 シーナはひたすら弾薬を撃ち続ける。少し仰け反りつつも、効いている様子はなく、蒼炎竜は一吠えした後、ゴォォ! と蒼炎の息吹を放出した。

 避けようにも、通りと同じぐらいの幅の炎が押し寄せてくるので、端にいたとしても熱波で皮膚が溶けてしまうだろう。

(冷却弾ならなんとかなるかもしれない……っ)

 瞬時にそう判断し、装填する。その速さ、一秒も満たず。


「――お、ここにいましたか」

 そのとき丁度街角からイノが遮るように出てきた。

「えっ、ちょっ!」

「ッバカ! あぶねぇ!」

「ん? ……あ」

 蒼炎竜の放射した青爆炎と冷却弾がイノに直撃する。ただでさえ石造りの建造物が熱で溶解するほどの温度。生身の人間ならば骨ごと燃えつくされているだろう。ふたりは驚愕の表情のまま硬直してイノが炎に巻き込まれる瞬間を見たのみだった。

 冷却弾が破裂し、超低温の冷気と高密度の粉末冷却剤が炎に対抗する。相殺することはなかったが、格段に弱まった炎は十分に避け切れる。

 シーナは地面を転がり、炎を躱す。だが、その表情は背徳感があった。

「……」

 突然出てきた旅人の姿は跡形もなくなっていた。ただ熱で溶け、抉れた石畳の道路だった道があるのみ。


「あぁびっくりした、火傷するとこでしたよ」

 傍に居たふたりは、いつの間にか目の前に旅人がいたことに驚愕した。怪我ひとつなく、強いるなら、服から少し焦げたような白い煙を出していたことぐらいだろう。

「よ、避けたの?」

 シーナの問いに答えず、イノは蒼炎竜を見る。

「家族を失ったのは辛いですよね。憎んでいるのも、怒りが収まらないのも十分に伝わります」

 慈しき紅い瞳で竜と話す。

「だけど、こっち側にも命というものはあるんです。少し暴れすぎですよ」

 ころっと少し困ったような、若干強気な表情に変わり、イノは腰に片手を当て、もう片手で頭を掻く。

「んー、でもかっこいいですねー。もし生まれ変わったら龍になってみたいんですよね」

 また表情が変わり、楽しそうな表情で話しているイノに、お構いなく蒼炎竜は蒼鋼鉄の腕でイノを叩き潰そうとする。

 だが、そのすらっとした白い手でその蒼い鉄球に5つのサーベルがついたような巨大な手をパシンと軽く受け止めた。地面に穴を空け、建造物を崩すほどの威力がまるで打ち消されたかのように。

「ぃよっと」

 イノはその翼腕を掴み、眼前へ跳ぶ。蒼炎竜の頭部との距離を瞬時に詰め、目に見えぬほどの速度で竜の喉を拳で突く。ズドッ、と竜の肉体に振動するような鈍い音が響く。

 竜は呻き、呼吸しようにも上手く息を吸えない様子で民家の壁にぶつかったりする。イノを睨みつけ、炎を吐く。体勢がふらふらしているため、蒼い炎は出鱈目でたらめに散在され、街を溶かしていく。


「やばっ、避けろシーナ!」

 リックはシーナを連れ、炎を避ける。イノは流れるように、舞い踊るかのようにことごとく躱して、竜に近づいていく。

 蒼炎竜は毒針のついた、両腕で抱える程の大きさをした尾を突きつける。イノは足を振り上げ、尻尾を地面に踏みつけた。ドズン、と地面に尾が埋まる。

 だが、それに屈することなく大口を開き、イノに喰らいつこうとする。

「うわ、ちょっ」

 イノは大きく仰け反り、間一髪避けることができた。ガギン! と剣がぶつかり合うような音が耳をつんざく。

「ふんっ!」

 仰け反った勢いで顎に頭突きする。相当強かったのか、今度は蒼炎竜が大きく仰け反った。目の前で露わになった胸部に突きを加える。激痛だったのか、肺が潰れかけて呼吸がうまくできないのか、蒼炎竜は掠れた声を出しながら暴れ出す。

 イノは暴れるのを抑えるかのように竜に跳びかかり、頭部を掴み、力を込める。

 バガン! と竜の頭部の甲殻が粉砕する。頭蓋骨ごと粉砕されたような音が響き、蒼炎竜は四足歩行でふらふらと後退し、弱弱しい声を放つ。

蒼炎の竜はズズゥン……と横に倒れた。しん、と静寂が訪れる。


「よし、終了!」

 イノはにっししと無邪気に笑った。

「ふたりとも大丈夫ですか?」

「あ、うん、大丈夫、だけど……」

 シーナは驚きの表情を隠せないでいた。こちらにきたリックも同様だった。本人の肉体の頑丈さか、奇跡的に致命傷は免れられたようだ。

 リックとシーナは他のハンターよりも優れ、肉体も、技量も優秀といっていいほどであった。基本、竜狩りは武器を使って行う。否、使わなければ勝てないのだ。素手で立ち向かう人間は異人種でない限り誰一人いなかった。

 だがその歴史は今、覆された。

「おまえ……何者なんだ」

 閑静の町の中、風が髪を撫でる。

 それを聞いたイノはただ微笑み、答えた。

「ただの旅人です」



「イノーっ、ここにいたか! ってうぉっ! 蒼炎竜!」

 クレイズが息を切らしながらイノたちのもとへ駆けつける。傍で倒れている巨大な蒼炎竜に少しびくびくしながらもまじまじとみつめた。

「これ、おまえら英雄が倒したのか?」

 クレイズは血と砂埃でボロボロになったリックを見る。リックは息を一つ吐き、

「いんや、こいつがあっさりと狩っちゃったよ。ただの旅人さんが」

 それを聞いたクレイズは「は?」と唖然する。

「武器を持っていないこいつがどうやって?」

「竜の頭を掴んでパーン! です」

 イノが得意顔で解説する。

「いや普通にわかんねぇよ」

「あの、これって死んだの?」

 シーナが訊く。武器を背に戻し、体についた砂埃を払う。

「あ、死んでないです。気絶させました」

 それを聞き、負傷しているリックは大剣を持ち上げる。

「じゃあ……さっさとトドメ刺さねぇと」

 だが、イノは両刃の大剣の黒刃を掴む。

「起きたら多分冷静にというより記憶吹っ飛んでると思うんで、何事もなく巣に帰ると思いますよ。むやみに殺す必要はないです」

 リックは納得がいかんとばかりにイノを睨む。

「そんなのわかんねぇだろ。その手を離せ」

「嫌です」

 何食わぬ顔で即答した。特に何の感情も見られなかったが、黒刃を掴む力は緩めなかった。

「人を襲い、人を喰う竜だぞ。本能のままにしか動けねぇケモノを野放しにするその考えが理解できねぇ」

 だが、動かそうにも、その黒い大剣はぴくりとも動かない。

「先手必勝も時には控える必要もあるんです。わざわざ命を奪うことはないですよ」

 イノは大剣を手放し、リックにデコピンを額に当てる。

「痛った!」

 思わず尻餅をつき、額を抑える。押し倒されたかのような倒れ方をした。

「とりあえず、頭を冷やしましょうか。視えなかったものが視えてきますよ」

 イノはいたずらに笑う。

「うわ、ダッサ」

 シーナは情けないと言わんばかりの目で尻餅をついたリックを見下す。

「うるせぇ! なんならおまえもやられてみろよ」

「やだ」

「……」

「あ、そうだ」とイノは振り返り、二人を見る。

「あと、町のみんなにも言いませんとね。解決しましたよって」


       *


 そのあと、気を取り戻した竜は何をすることもなく、その翼を羽ばたかせて、街から出ていった。

 倒壊したものから炎で溶けてしまった民家、竜の腕力で砕かれた道路、町は半壊に等しかった。

 だが、住民は竜を倒してくれた英雄二人を奉り、その日の夜、小さな宴を開いたという。

 誰も、旅人の存在を知らない。

 竜を制圧した旅人を。



「ここにいたのか旅人さん」

 4階建ての民家の屋根の上。少し冷えた風を浴び、イノは下の賑やかさを見ながら果物と肉を挟んだパンを食べていた。

「あれ、クレちゃんじゃないですか。よくわかりましたね」

 屋根の天窓から出てきたクレイズはひとつ息を吐く。

「上から食べカスが降ってきたら気になって見に行くだろ」

「なるほど」

 クレイズはイノの隣に座る。鎧姿ではないクレイズの体格は筋肉質であり、茶短髪に顎鬚、腕には幾つもの傷跡がついていた。

「あの二人は変わらずちやほや状態だ。一人は天狗の鼻に、もうひとりは顔真っ赤だったぜ?」

「あっはは、楽しそうで何よりです。あの竜も無事帰って行ったことですし」

 イノは屋根に寝そべる。見上げた夜空には満点の星々が輝いていた。


「知ってますか? ここから見える星って何千年前とか何億年前の状態の星を僕たちは見ているらしいですよ。過去の世界をみてるんですって」

「それってあれだろ。何光年とかの話だろ? 詳しく知らねぇが」

「不思議ですよね。見れないはずの過去が今見えるんですよ。だったら未来とか見えてもおかしくないですよね」

 星々を眺めながらイノは嬉しそうに語る。

「んなわけないだろ。まぁ未来だとか運命だとかはもう決められていると俺は思うが」

「そうかもしれませんね。でも言ってみれば実際過去とか未来なんて存在していないとおもうんでうよね。全部自分の想定や記憶に残る程度です。先を考えるよりも、昔を振り返るよりも『今』を生きることが大事なんじゃないかって思います」

 「あ! 星流れた!」と突如話を切り、イノは起き上がる。

「……おまえ何気にいいこというな」

「そうですか? あ、そうだ。クレちゃんはこの後どうしますか?」

「どうするって?」クレイズは右にいるイノを見る。

「僕は厄災の危険な場所に行ってみようと思います。クレちゃんはどうしますか?」

「おまえ本気で行くのかよ……」

「はい」

 イノは即答して答える。

「そうか……なんかおまえが言うとその『厄神の祠』も大した場所じゃねぇのかもしれねぇって思えてくるよ」

 クレイズは街を眺め、しばらく黙り込む。

 

 そして、

「……行ってみるか。厄神の祠」

 クレイズはイノの赤い瞳を見る。

「旅人の旅に付き合うのも悪くはねぇ。そこまでついていく」

 すると、イノの眼は輝き、こどものように純粋に嬉しそうな表情をした。

「本当ですか!?」

「本当だ。そもそもどこに祠があるかわかんねぇだろ」

「あぁ~、そうですね。そういえばわかんなかったです」

 たははと笑うイノに、クレイズは苦笑した。

「はは、そうだ。ついでにあの仲良し英雄組も誘ってやるか」

「お、いいですね! そうしましょう!」

 ふたりは笑い合う。

 クレイズは持参してきた酒瓶に口をつけ、呟くように話す。

「にしてもよ、おまえ悔しくないのか」

「なにがですか?」

「実際、あの蒼炎竜を駆逐したのはイノ、おまえだろ。町の奴らもひでぇよな、竜倒したの勝手に英雄のおかげだと思い込んで、それどころかおまえの存在にも気が付いていない感じだった。勘違いにもほどがあるよな」

 イノはあははと笑う。

「そんなもんですよ。誰も死んでいないだけで十分ですし、英雄さんのおかげでこうやって宴の料理食べ放題になりますし、そもそも英雄さんがボロボロになってまで戦っていたのは事実です。僕はちょっと頭突っ込んだだけで、別に感謝されることはしていません」

 クレイズはぽかんと口を開ける。そして、豪快に笑った。

「あっはははは! おまえは聖人か!」

 クレイズはバシンとイノの背中をたたく。少し酔っ払っているようだ。

「そこまで謙虚だと逆に腹が立つぞ」

「普通に思っていることを言っただけですよ」

「ははは、まったく、どういう環境でそういう思考ができるんだろうな」

「あ! 見ました!? 3つ同時に流れ星が!」

 イノは無意識に話を逸らす。

「おお、珍しいな。願い事は叶えたか?」

「いやまったく。あ、知ってますか? 流れ星が落ちてきた数だけこの星に命が産まれるらしいんですよ。結構前に行った国でそういう言い伝えがありました」

「へぇ、それはおもしろいな。大抵、流れ星が消える前に願い事を3回言えばその願いが叶うってのが有名だが」

「そうなんですかー」

 でも、とイノは星々の海の中に浮かぶ満月を眺め、ぽつりと言った。

「願い事はやっぱり自分の手で叶えるのが一番ですよ」


       *


 翌朝、屋根の上で眠っていたイノは横を見る。クレイズの姿はなかった。宿屋に泊まったのだろう。肌寒い風が吹く。

 寝ぼけまなこを擦り、早朝であるにもかかわらず、どこからか声が聞こえてくる。聞いたことのある声だった。



「そんなこといわれましても、私たちそこに行く理由がないですし、そんなわざわざ死にに行くようなところ……」

「あんたら英雄ハンターだろ? リスクなしでハンターは語れねぇぞ」

 誰もいない町の通り、リックとシーナ、そしてクレイズが話し合っていた。道端で話すあたり、出会い頭でクレイズが厄神の祠へ同行させようと誘っているのだろう。

「少しは気になると思うがな。誰一人帰ってこない場所に本当は何があるのか、見てみたくなるだろ」

「おっさん、昨日までは行かない方がいいっていってたじゃねぇか。酔ってんのか?」

 リックは呆れた目つきをする。

「なぁに、あの変な旅人に感化されただけだ。寧ろあんたらが気になっているのはあの旅人のほうじゃないのか?」

 そういわれ、少しの間ふたりは黙り込んだ。クレイズはニヤリとする。

「ほら図星だ。だったら一緒に祠に行くしかねぇだろ」

「そうですよ、みんなで行った方が楽しいです」

 3人は同時に違う形で驚く。そこにはイノがいた。

「お、おおう、いつからいたんだ?」

「さっき」

「ええと……旅人さん」

 シーナは名前で呼ぼうとしたが、思い出せなかったようだ。

「なんですか?」

「昨日のことだけど、なんであんなことができるのかが不思議でしょうがなくて……」

 イノは「なにがですか?」と訊く。早朝なのか、リックは少し眠たそうだった。

「あんな、竜相手に生身で対抗できるなんて、普通に考えて人間業じゃない」

 シーナは真剣に話す。だがイノは「んー」と考えて、淡々と言った。

「正直僕でもよくわかんないです」

「……っ、おまえバカにしてん――」

「でも」

 イノはリックの言葉を遮る。

 ふたりの眼を見、口を開く。

「普通じゃないことが起きるのって普通だと思うんですよね」

 イノは当たり前のようにそう言い放ち、鼻歌交じりに先へと歩く。3人はしばらく旅人の言ったことが理解できなかった。

「ま、結局は解らんっていうことだ。あいつの人間離れを知りたいならついていくしかないようだな」

「……そう、だな」

 クレイズの言葉にリックは呟くように答える。

「それじゃ、行きましょっか。『厄神の祠』に!」

 振り返った旅人の顔は笑顔で輝いていた。

 まだ見ぬ地を楽しみにして。


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