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5話 入浴・友情・勝利

「宿屋が満室です。ゆえに鍛冶屋に泊めてください」

「何故、丁寧語!?」


 ドラゴン用模擬戦のことを話し合ったあと、宿屋に行ったら満室だった。

 『馬小屋なら只だよ』と言われたがお断りして、勝手知ったるガイアルの鍛冶屋にやってまいりました。まだ、二度目だけど……。

 どうやらスイロウもココに住んでいるみたいです。


「なんでそんなに計画性が無いんだ?」

「スイロウを助けたらトントン拍子で話が流れていったから?」

「私のせいか?」

「ずばり そうでしょう!」


 人差し指を立ててピキーンとこうか音が鳴りそうないい声でファイレが答える。

 実際、街に着いたら真っ先に宿屋を探すのが当然と言えたが、酒場からの鍛冶屋だったためだ。


 もっとも、ガイアルは問題ないという感じで親指をビシッと立てている。

 『あれ? ガイアルってそんなキャラだっけ? コイツ無口キャラじゃなかったけ?』とそんなことを考えながらラーズとファイレはお邪魔する。


「部屋に泊まるのはいいんだが、これから私たちは大衆浴場に行くがお前たちはどうする? さすがにその間はお前たちだけ ここに置いておくわけにはいかないぞ?」

「タイシュウヨクジョウ?」


 ラーズが疑問を投げかける。

 村や小さな町ではないモノだった。大きな街、都市には存在する。ただし源泉があるところのみ。

 自然発生しているため、大抵はそこの領、または国が経営することとなっている格安お風呂である。


「なるほど……そんなものが、存在しようとは……どれくらいの金額で入れるの?」

「……大人200G」

「安っ!」


 一回の食事が1000G前後ということを考えれば、破格の値段と言えよう。何せこの時代『お風呂に入る

』のは貴族階級がほとんどで、大抵は『布で身体を拭く』『水浴びをする』が支流である。


「よし、俺たちも行こう、ファイレ」

「これは是非とも!」


 ラーズは純粋に好奇心から大衆浴場に興味を持ったが、ファイレの口からはヨダレが垂れて目が爛々としている。

 その目の輝きを見て、ビクッとするガイアル。

 ラーズとスイロウは気付いていないようだ。


「ラーズもファイレも大衆浴場は初めてか。なら、あの気持ち良さは体感しておいた方がいいぞ。身体の芯から温まる」

「キモチイイ、アッタマル!」

「……」


 ガイアルだけがファイレにビクつきながら大衆浴場へと向かうこととなった。


――――――――――――――――――――――――――――――


「あれ? なんで……」


 半ば放心状態で、真っ裸で小さい椅子に座ってるファイレ。

 室内には馬鹿でかい岩風呂があり、中はお湯につかる前から肌寒さは感じないほど湯気が充満している。100人 入っても大丈夫なほど広い大衆浴場。

 この時間は他にもお客が多く、ファイレ達以外にも20人近くが体を洗ったり、風呂に浸ったりしている。


「どうした、ファイレ?」

「え? なんで、お兄ちゃんは別の所に?」

「ん? 何を言っているんだお前は? そりゃー男性と女性は別のお風呂になるだろう?」

「……」


 ガイアルはこのダメ妹を気にしないことにして、石鹸で頭を洗い始めていた。

 たぶんファイレのことは理解できる日が来ないだろうと思いつつ……。

 それを見て驚くファイレ。


「何あれ!? 頭が泡立ってる! 魔法?」

「いや、落ち着け。石鹸だ、石鹸」

「う、噂には聞いたことがあるわ……たしか、泡で汚れを落す謎の物体」

「そんな謎でもないから! 意外と簡単に作れることが判明して値段がかなり下がっている。今では庶民も簡単に手に入る物だ」

「すごーい。私にも貸して!」

「安くなったからって無駄に使うなよ」

「はーい」


 一時、ラーズのことを忘れて石鹸で泡を立てまくるファイレ。何が面白いのかタオルにやたらと泡を立てまくって身体中を泡だらけにしたと思ったら、それだけじゃ飽き足らずガイアルの頭を再び泡立てていく。


「あははははっ。すごーい。何コレ魔法!?」

「いや、だ・か・ら、魔法じゃないって! 落ち着け」


 頭にお湯をかぶりながらガイアルは横目で泡を立てまくるファイレを見る。

 ハッキリ言ってウルサイ。こんなに騒がしいとは思ってもみなかった。パーティーを組むのは根本的に見直しした方がいいような気がしてきた。


「よーし、お姉さんがスイロウも泡立ててあげよう!」

「どうみても、私の方がお姉さんだろ! やめろ、なんだ その手をニギニギするのをやめろ……うわぁーガイアル助けて~!」


 『まったく、何をやってるんだか……』無様である。

 スイロウはファイレに身体を洗われまくっている。くすぐったいのかゲラゲラ笑っている。下品である。物凄い泡立ちだ。石鹸ってあんなに泡立つものだっけっと考えなくもない。

 湯につかりながら、二人のバカ騒ぎを周りの客が遠巻きで見て笑っているのを眺めていた。が、途中からファイレの動きが止まった。

 何が起きたのだろうと思ったがガイアルは気にしないことにした。面倒事に巻き込まれそうだと……。


「ちょっと、スイロウ、どういうこと!」


 散々石鹸で撫でくりまわされ、肩で息をしながら しな垂れるスイロウ。

 雰囲気が変わって周りもザワザワとなる。

 そんなスイロウを見て、ガイアルは『色っぽいうえに乳がデカい』と感心し、自分の胸と見比べる。『く、悔しくなんてない』と言い聞かせながら……。


「乳デカ過ぎ!」


 ドーン!

 周りのお客も唖然とする。

 唖然としていたが力強く頷く。湯につかっていたガイアルもウンウンと目一杯 縦に頭を振る。


「なんだ、乳がデカいのが偉いのか!」


 みんな頷く。


「いや待て、なんでそんな声を張り上げて言うことか……はぁはぁ……」

「言うことだ! 許されぬ! 乳がデカいだけが女の魅力じゃないんだからね」

「あぁ、まったくもってその通りだ」

「なにー! 乳デカの余裕かよ!」

「えぇー! そんな理不尽な!」

「乳があるからっていい気になるなー」『そーだ、そーだ』

「落ち着いて話合おう」

「いいや、落ち着いて話してなんてられない。スイロウはこれから泡だらけの刑に処す。行くぞ、みんな!」『おうぅ!』


 何故か浴場内のお客と一致団結して、スイロウを石鹸で洗いまくっている。

 見る見るうちに泡だらけになり、スイロウの姿も見えないほどになる。

 最終的に桶でお湯をかけると、ツヤツヤのピカピカで息を切らして悶えているスイロウが出てきた。


 そして、そこにはやり終えた女たちの晴れやかな顔があった。

 互いに手を握り合う。

 ニヤリッとファイレが笑った先には、同じように笑っているガイアルの顔があった。

 ガッチリと手を取り合う二人。

 浴場内に拍手が巻き起こる。


「……はぁ・はぁ……な・なに・これ……?」


 スイロウにはまったく納得できない友情でファイレとガイアルに結びついていた。

 ガイアルがファイレのことを理解する日は思ったよりも早かった。


――――――――――――――――――――――――――――――


「お風呂、気持ち良かった、お兄ちゃん?」

「あぁ、温まったわー。これはいいわー」

「なんでお兄ちゃんと同じお風呂じゃないんだろうねぇ?」

「男女別々なのはあたりまえだろ」


 風呂から出ると広いロビーがあり、軽食を取りながらくつろげるスペースがある。ただし割高、サービスもあまりよくない。それでも繁盛している。

 そんなところで集まった四人。


「男女混浴になればいいのにね、お兄ちゃん」

「ならなくていいだろ、常識ある人間になれ?」

「勿論、お兄ちゃんがそう望むなら! あれだ、混浴が常識になるように法律を変えるよ」

「ときどき、お前の発想の凄さに驚くよ」

「えへへへっ♪」

「褒めてないからな」


 ラーズは他の二人を見る。


「スイロウは……何があったんだ?」

「な……なんにも……ない」


 何にもない奴の態度ではない。机に突っ伏して息を荒くして、顔が赤く色っぽい。しかも身体中、磨き上げられたかのようにツヤツヤでピッカン ピカンになっている。

 普通に洗っただけでは、ここまで綺麗にならないだろう。何があったのか気になるところだ。

 それを確認するようにガイアルを見るが、無表情。本当に彼女には何もなかったのだろうか?


「……」


 するとガイアルがグッと親指を立てて、ファイレに合図を送る。すぐさま親指を立ててグッとして笑うファイレ。

 ……何かあったと確信に変わる。だが、聞かないのがスイロウの為だと思い、あえて尋ねるのをヤメタ。

こんな話 書くつもりじゃなかったのになぁ

冒険に出かけてません

はたして次回 冒険に出れるか!

場合によっては まだ冒険に出ません

期待している方 もうちょっと待ってね

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