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ヒメと変人ともう1人 2

閲覧いただき、ありがとうございます。

このお話は、不定期&思い付きの更新をしております。

また、完結しない可能性がございますので、ご注意ください。


※申し訳ないです。

 コルマーノの変人話です。

 そこまで描写はないですが、精神的にも大人の方のみ、閲覧ください。

 閲覧いただかなくても、支障がないよう、次話前書きに概要を記載します。


ヴェリルアナは、半眼になりつつあるのをどうにか堪える。


肩に手をまわし、話しかけるコルマーノ。

一族特有の黒髪と、切れ長の碧眼。

秀麗で人を魅了させる容貌を持つ彼は、ヴェリルアナの太ももを、ズボンの上からゆっくりと撫でる。


「痛覚は麻酔で抑えるとして、鋭利な刃物を入れる部位もちゃんと決めてあるから。

 あまり血を流さないですむし、傷口は早く塞がるよ。」


一方、向かい側に座るリスボン。

長身で神経質そうな瞳。

犯罪者の移動も職務範囲内のため身体は鍛えられているが、ほとんど日に当たらないため色白。

微妙すぎるコルマーノの人体についての話も気味悪がらず、むしろヴェリルアナに触る彼にいらだっているように口角を引き締めている。


「お兄様。」


「なんだい、ベリー。」


「リスボン様も実験の仲間に加えられましたのね。」


コルマーノは、ちらりとリスボンに視線を向ける。


「彼も今後、尋問官になる可能性があるからね。

 そのときの参考に、ということで実験しているところを見たいと言ったから。」


「ご覧いただいているだけですの?」


「いや、百聞は一見にしかず、というだろう。

 ちゃんと自分の仕事は怠らないことを条件に、簡単なことだけ体験してもらっているんだよ。」


「お兄様。」


困ったように、コルマーノは眉を下げる。


「ヴェリルアナ様。

 前任のこともあり、ご心配になられることもごもっともですが、わたしの方から無理にお願いをしているのです。」


かばうように、リスボンは言った。

なおリスボンの前任者であるが、コルマーノの実験を長く見続けた結果か常識を麻痺させ、痛みを快楽に変える薬を盗んだ。

そして服用し、身体を傷つける行為にはまり込んでしまった。

現在は職を辞して家族と縁を切り、実験のための離れに住まい、被験者として暮らしている。


また、コルマーノは王都にある学院の薬科の教員を務めているが、その生徒数人の道を踏み外させ、やはり離れに被験者として住まわせている。


そして、変人コルマーノはそのことに罪悪感を持たず、実験道具が増えたことを純粋に喜んでいる。


「やはり、どれだけ血を流させても、どこを損なわせても生きていけるのかは職務的にも必要な知識だろう。

 ちゃんと命にかかわるような実験は罪人を対象にしているし、そんな顔をしないでおくれ。」


自分の興味が向く方向と、同族の動向にしか気が回らないのは一族の特性だ。

その所為で(他にも時代的要因はあるが)、もともと所属していた国を滅ぼしてしまった前科がある。

今後そのようなことが起こらないよう、まだ良心的な先祖が、積極的に人と交わって生きていくように、と子孫に教えを残している。

その点、多方面に所属場所を持つヴェリルアナは稀な存在といえる。


「ベリー。」


さすがに気を損なわせていると感じ、コルマーノは悲しそうに呼びかける。


「もうよろしいですわ。

 ただ、私が気にかけていることだけはていらっしゃってね。」


うん、とコルマーノは頷いて、ヴェリルアナの頬に口付けた。


そしてヴェリルアナは、強くなったリスボンの視線にげんなりするのであった。


「リスボン。」


「はい。」


喜色満面に、リスボンは応える。


「これからベリーとしなくてはいけないことがあるから、再訪を待つ。」


リスボンは、ぐっと唇をかみ締めて立ち上がる。


「本日は晩餐にお招きいただきまして、ありがとうございます。

 ヴェリルアナ様。またお話できる日を楽しみにしております。

 コルマーノ様。また明日、罪人の状態を伺いに訪れますので。」


「ああ。」


そして、リスボンは意識してゆったりと礼をとり、コルマーノの自室から立ち去った。


「お兄様。」


じとりとヴェリルアナはコルマーノをねめつける。


「リスボン様にも、手を出していらっしゃるでしょう。」


「う~ん。他に媚薬を試したときに、当てられたアレの処理をしたことはあるが。

 面倒くさいからそのようなことが起らないよう、以後気をつけているよ。」


「では1度だけですの?」


「いや、気をつけてはいるが、いつの間にか当てられていたりするからな。

 よくもあれだけ学ばないものだ。

 まあ、10回ほどは処理をしたかもしれない。

 興味はないから、それ以上かもしれないが。」


げんなりの二乗である。

祖先よ。

人と交わって生きろというが、交わったからといって思いやりを抱くとはかぎらないぞ、とヴェリルアナは思った。


意識をそらしたヴェリルアナを持ち上げ、コルマーノは寝台の上まで運んだ。

注)ヴェリルアナとコルマーノに性的関係はありません。

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