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ヒメと王都騎士団 2

閲覧いただき、ありがとうございます。

このお話は、不定期&思い付きの更新をしております。

完結しない可能性がございますので、ご注意ください。


食事ですが、古代~中世ヨーロッパにかけては手で料理を食べていたそうです。(ネット情報。)

それを知って時代設定が古代~中世となったので、この小説ではどんなに高位な人物であろうとも、手を使って料理を食べます。

あ、描写にないですが、一応フィンガーボールは使ってますよ。

王都をぐるりと囲む外壁には、横500mごと、高さ3メートルの場所に、護符(形状は日本のはがき型の白布)が貼られている。

都門以外から、一定の大きさ以上のモノを侵入を防ぐためだ。

使用されている護符はユリ教の巫女見習いが、1枚1枚神に祈りを捧げながら編み上げ、神力を宿らせた特別仕様。巫女により、意地の悪い小姑のごとく、その力を選別されている。

また、貼り付け作業は数名の小宮司が祝詞をあげながら行う。雨風等では外れないよう、めったなことでは外れないよう、心をこめて祈り唄い、終わった後は、ほとんどの者が咽喉を嗄らしている。


ビトーは眉を寄せる。

「ん~、たしかに少し剥がれてるな。」


護符の重要性から、その状態確認は王都騎士団の仕事である。


「とりあえず、小隊長に報告してユリ教の修復士に伝えてもらう必要がありますね。

 ビトー、報告すべきことを言ってください。」

ヴェリルアナはメモの用意を取る。


「おう。まず、護符は上部2~3cmぐらいが剥がれてる。

 周囲の壁にめだった異常は見当たらないな。

 次の護符の状態を見ないとなんとも言えないが。

 自然に剥がれるもんでもないし、故意に剥がされた可能性がきわめて高い。

 というか思いつかないな。」


ビトーは、手近にあった小石を拾い、護符に投げつける。

石は護符に当たり、地面に落ちた。

その具合に、ビトーは上下に軽く頭を振る。

「やっぱり護符の保護膜がなくなっている。

 護符の機能がどうなっているか、調査が必要だな。」

保護膜とは、護符が容易に刺激を受けないように保護している膜だ。

護符から1cmほどの間隔をおいて覆っている。

透明で目に見えないため、何かを接触させてようやくその有無がわかる。


「そうですね。」

これでいいだろ、とビトーはヴェリルアナを振り返る。

ヴェリルアナは首をかしげた。

「え、他になにかあるか?」


ああ、とヴェリルアナは口を開ける。

「ではこれからすべきことを教えてください。

 報告しなくてはいけませんからね。」


「まだ見ていない護符の状態確認と、他隊にも護符と保護膜の状態確認を要請する。」

ふむふむと、ヴェリルアナは頷いて、続きを促した。

「え、他にか?」

ヴェリルアナはじーっとビトーを見る。

ビトーは両手を上げて、降参のポーズをとる。


応用が甘いな、とヴェリルアナは心にメモをした。

「今まで見てきた護符についても、石を投げるなり、保護膜の状態確認が必要ですよね?」

言われて、ビトーはポンと手を打つ。

「たしかに。」

あくまで護符の外観確認しかしていない。

しかし、現実に外壁から剥がれた護符がある以上、剥がれていないが保護膜がなくなった護符も存在する可能性がある。

ビトーは顔をゆがめる。

もうあと5枚護符の状態確認をすれば、巡回が終わったのである。

ヴェリルアナは、ぽんぽん、とビトーを慰めた。


ちなみに、ヴェリルアナは特殊な身の上なので保護膜の有無を視認可能だ。

が、それを伝えると面倒なことになるので公にはしていない。


今まで見回った護符の保護膜に異常は見当たらなかった。


本当に無駄なことなのに、護符の状態を再確認しなくてはいけないなんて。。

ヴェリルアナは、心の中で自分を慰めた。



~~~~



時間の関係で、残り5枚の状態確認後すぐに小隊長へ報告し、他隊への情報共有と修復士への出動要請をしてもらう。

そして、保護膜状態未確認の護符を再度確認したころには、夕食の時間を過ぎていた。

隊の食堂に戻るまで空腹を我慢するのも嫌だった。

かつ賑わいを確かめるという巡回的な意味も含めて、ヴェリルアナはビトーを誘ってちょっと高級な食堂へ入った。

もちろん、誘った手前&財布の中身&2人の関係上、ヴェリルアナがおごるつもりである。


食事の前の祈りを終えてから、ビトーはお酒をあおる。

「ヒメ、今度の討伐隊には参加するのか?」

「ああ、来週からでしたね。」

王都騎士団では、2月ずつ、1隊持ち回りで、王軍と共同作業で、王都外の魔物の討伐を行っている。

外壁があったとしても魔物は王都に近づけたくないし、王都と周囲の都市の交易等の問題もある。

もちろん通常業務もあるので、隊の半数は王都に居残る。

ちなみにヴェリルアナ、この討伐隊に参加したことはない。


ヴェリルアナは、野菜を包んだ饅頭をつまむ。

大祭が近いので、巫女側仕えの本神殿往復の護衛要請もあるし、そろそろ公爵領本邸にも顔を出す必要がある。また護符問題も浮上してきたので討伐隊参加は厳しい。

それに、

「ギルドから呼び出されているので、ギルドにいますよ。

 終わったら居残り組みに合流する予定です。

 戻ってきたら討伐隊のお話、聞かせてくださいね。」

「おう。ヒメも本当大変だよな。まじで尊敬するわ。」

「そうですね。

 尊敬してください。

 あがめてください。

 そして私の駒としてきりきり働いてくださいね。」

「お、おう。」


ビトーは思う。

外面が良いヴェリルアナが、自分にそうじゃない面を見せてくれるのは嬉しいが。


いや、まじで笑顔がコワい。

裏話)

最初に書いたとき、ビトーはなんで護符が剥がれたのを報告しなくてはいけないか、わかりませんでした。

一応、王都騎士団の座学で教えているのですが!

ただ、設定上そんなあほな子だと困るので、今回うpしたように、ビトーはカッコいい描写となりました。


ビトーの賢さが、2あがった!(笑)

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