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ヒメと王都騎士団 1

閲覧いただき、ありがとうございます。

このお話は、不定期&思い付きの更新をしております。

完結しない可能性がございますので、ご注意ください。


この世界について。

時間:

日本と同じく1日24時間、1週7日ですが、太陰暦を使用しています。

数え方ですが、朝と夜に別れ、正午が朝の12つ刻、夜の0つ刻です。

また1月=1の月となります。

いろいろな単位:

特記がない限り、日本と同じ単位です。

体重身長など:

特記がない限り、ほとんど日本と同じです。

「進め~、進め~、我ら~は、華の第3隊。

 そ~れ、1~、2~,3っ,4っ,5!」

朝の5つ刻、王城前広場に集合した4隊計200名は、それぞれ東西南北に走り始め、都門を経由して王都を巡回する。

時間はだいたい1時間ほどであり、揉め事等に遭遇した場合は対処していく。


グダナ王国の都は、リア。

四方を壁で囲った王都は、今日も平穏に、王都騎士団の掛け声で目覚める。



続々と第3隊派出所に騎士たちが戻ってくる。

鍛錬場で反復横とびをしていたヴェリルアナは、短剣(刀身が50㎝の剣。)をしまって出迎える。


「おかえりなさい。」

今朝の見回りを率いていた、副隊長ルドリーは汗を拭きながら、ヴェリルアナと話す。

「おおヒメ、ただいま。今日はこっちか?」

「はい。先週は抜けてしまい、失礼しました。」

「いや、かまわん。なにやら捕り物があったと聞いてるぞ。」


ルドリーはにやりと笑って歩き出す。

「カラトリー伯爵夫人の件ですね。

 情報制限はかけられていませんが、どのあたりまで漏れていますか?」

「おれらも商人連中もほとんど知っているだろうな。

 ギルドは上層部だけ、一般市民は知らないだろう。」

要は、王宮内部の動向に関心がある者は知っているということである。

「まあ、妥当なところですね。」

「影にヒメがいると疑っている者も、まあ有力者は疑っているし、それなりの数だな。」

「そうですか。教えていただいてありがとうございます。」


今回の、王太子妃の飲み物への毒物混入事件のあらましは、こうだ。

建国記念日から3日目の夜会で、王太子妃に飲み物に毒物が混入された。

通常、夜会に供される飲食物は事前にその毒見を済ませており、夜会内での毒見はなされない。

しかし今回、王太子妃が取次ぎ役を通して、カラトリー伯爵夫人からお茶を渡されるとき、その取次ぎ役である女官ハバナイ伯爵夫人が毒見をしたのである。

その理由は、王太子妃の体調が思わしくないため、お茶の味がスパイシーか否か確認するため、とのこと。

その毒見自体は一瞬で終わり何事もなかったが、その後、ハバナイ伯爵夫人は王太子妃に渡さず、カラトリー伯爵夫人にそのお茶を褒めること20分ほど、突然苦しみ始め、倒れる。

カラトリー伯爵夫人は近衛騎士団にその身を検められ(もちろん女性近衛騎士が行った。)、白い薬包が見つかり、それに付着していた白い粉が、医師団により毒物と認定された。

よって、カラトリー伯爵夫人は王太子妃毒殺未遂でその身を勾留される。


そして、有力者が疑ったのは、毒見指示をヴェリルアナが出したのではないか、ということ。

理由は、

①カラトリー伯爵夫人が近づく少し前に、ヴェリルアナが王太子妃に侍ったこと、

②通常考えられない毒見であること(なにせカラトリー伯爵夫人から取り次がれるときのみ行ったので)、

③取り次ぎ引き伸ばし工作(お茶を褒めること)に加わったこと、

④ハバナイ伯爵夫人の手当てを驚きをもたず行ったこと、

⑤そして第六感が優れているというヴェリルアナの噂である。


ちなみに真相は、毒見提案はヴェリルアナほか数名、指示は王太子妃子近衛隊長、合図はヴェリルアナである。


「いろいろ気を巡らして、ご苦労なこった。」


そうこの熊顔の大男は言うが、ルドリーとて情報収集は欠かさない。

生き続けていくには情報を収集し、それに基づき予測し、対策を考え、行動を取らねばいけないのだから。

「まあ、厄介ごとが起きないよう、祈るばかりです。」

ヴェリルアナはあいまいに微笑む。


そうこうしている間に、第3隊隊長室へ到着した。


ノックをして入ると、隊長以下、第3隊の主要な人物7名が揃っている。

ルドリーは隊長の横、ヴェリルアナはそれなりの上席に座る。

なおヴェリルアナは、第3隊で名誉特別臨時隊長補佐という役職を得ている。

「では、これから会議に入る。」

背もたれに背を預け、足を組んだ膝に手を置きながら、隊長セルラッドは言った。



~~~



朝の会議を終えて訓練に戻り昼食を取ってから、ヴェリルアナは自分が所属する第3隊第2小隊に加わった。

どうやら今日は2名1組となっての巡回日らしい。



王都騎士団であるが、第1隊~第4隊に別れ、それぞれ王都の4つの区画に配されている。

割り振られた人数は均等に120名であり、隊は11小隊(所属は10名)から成る。


王都には他にも近衛騎士団が存在している。

多々違いが存在するが、代表的なものは下記2つである。

職務的な違い:

近衛騎士団は王族等を含め王宮を守護するのに対し、王都騎士団は王都を守護しており、治安維持部隊といえる。

人数的な違い:

近衛騎士団は50名ですべて貴族位(準貴族を含む。)を有するのに対し、王都騎士団は480名で貴族位がない者が90%以上を占める。


両者の仲であるが、王が実力重用主義であり、近衛と王都の両騎士団はそれぞれ猛者が集まっているのでそう悪くもない。

王都騎士団に、貴族位が少ないにもかかわらず衛兵団ではなく騎士団と冠させるのも一役買っているものと思われる。



それはさておき。

うん。王都騎士団が市民と仲が良いのは奨励すべきだが、それは違う。

「ビトー、彼女に近すぎです。」

私は木刀で、ビトーの腰を突く。


「いたっ。」

女性の腰に伸ばそうとしていたビトーの腕が、女性から遠ざかっていく。

ふっ。甘いやつめ。

そのまま木刀でビトーの肩を打ちつける。

まあ、2度ほどで勘弁してやろう。


前に倒れたビトーは放っておき、女性へと声をかける。

「大丈夫ですか? 彼はおばかで節操がないので以後もお気をつけくださいね。」

女性の右手を包み込み、目をのぞきながらほほえむ。


「は、はい。ありがとうございます。」

わたわたと動く、顔の赤い女性は、たしかにビトー好みの女性だ。


「よかった。それではわれわれはこのへんで。」

軽くお辞儀をしてから、ビトーの元へ行き、ぶすっとした顔のビトーと連れ立って歩く。


「いやいや、おかしいから。俺、話していただけだよね。

 ちょっと声をかけて、いま何しているのかなあって興味を持っただけであっ・・・」

「だからいつも言っているでしょう。 女性にだけ声をかけるのはだめなんです。

 皆さんに声をかけて、もし女性からそれに応じるようであれば少し話をして、

 女性から約束を持ちかけられたら、そこで応じるべきです。」

「いやいや、デートに誘うなら男から、告白するもは男から、って女はそう言うじゃん。」

「もちろん、望ましいのはそうですよ。自分が興味を持っていない男性に対してはその傾向は強まりますしね。」


ふふっ、と鼻で笑ってしまう。

「しかし、興味のある男性には話しかけますし、話しかけないにしてもそれなりのしぐさは取りますよ。

 ちなみに私が見る限り、かの女性はそういったしぐさは取っていませんでした。

 自由時間であれば、いくら女性を追いかけ回そうともかまいません。

 いや、さすがに犯罪者ほどは止めてほしいですけれどね。

 しかし今は仕事中ですから、仕事に集中して異変に備えてくださいね。」


そもそも、ビトーは容姿が悪いわけではない。

また、王都騎士団自体、王都の花形の1つであるため好意を持つ者も多い。

そして仕事中は仕事に熱心な己を見せれば、好意的に見る者を増やせる。

女性は噂が好きだし、恋愛話も好きなので、良い噂を作ればファンが付く可能性が高い。

だというのに、ビトーはばかだと思われる。


「その哀れむような視線が痛いんだけど。」

「はいはい、仕事、仕事。」


その後、2人で商店に声をかけては様子を聞き、西都門まで行って昨日の出入りを聞き取る。


そして外壁をぐるっと回り、符の状態を見て派出所に戻る、ことにしたが。


「ビトー、あの符の状態、おかしいですよね?」

思わせぶりな終わり方ですが、

力尽きたのであそこで終了いたしました。


来週には更新したいと考えています。

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