表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/25

プロローグ

「初めまして、終口ついぐち鷺志さぎしです。趣味は読書、特技は綾取り、好きな言葉は『信じるものは救われる』です。よろしくお願いします」


 高校一年の、最初のホームルームでの自己紹介。僕こと七五三一はそう名乗った。


「・・・・・あのね七五三くん」


 こめかみを押さえながら僕の苗字を呼んだのは、先ほど自己紹介を終えたばかりの僕たちの担任教師だ。


 風に透ける濡れ羽色の髪、黒曜石のように輝く瞳、白い肌は陽光を浴びて真珠色にきらめき、左目の泣き黒子がアクセントになっている、艶やかな唇が印象的な妙齢の女性だったらよかったのだが、実際は枯れ果てた骨を皮と脂肪に包んだだけの、ちょっとみずみずしいミイラだ。しかも男。


「なんですか先生」


「自己紹介で偽名を名乗るのはやめなさい」


「でも先生、自己紹介以外で偽名を名乗る機会がありません」


「先生の言い方が悪かった。偽名を名乗るのをやめなさい」


「しかし先生。そもそも僕は偽名を名乗っていません。きっとどこかにそういう名前と趣味特技を持った人はいます。僕はその彼を紹介したんです」


「自己紹介なんだから自ら己を紹介しなさい。今の言い方ではまるで七五三くんがその人みたいでしたよ」


「それは先生の想像力のせいです。僕が騙したんじゃなく先生が勘違いしたんです。先生の豊かな想像力や逞しい妄想力の責任なんて僕には負いかねます」



.

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ