「名誉の万屋自警団と、笑顔を運ぶ秘薬」
気楽に読んで
マレフィアの無限ループを完全に解呪し、『星屑の残光大平原』のどこまでも澄み切ったおいしい空気を肺いっぱいに吸い込みながら、四人はアルヴィンの淹れてくれた温かい白湯を囲んでいた。
「ふぅ……。どんなに過酷な四苦八苦や呪いの闇が迫っても、それを乗り越えた先には、必ず温かい光が待っているのね」
第一王女アストライアが黄昏色のロングヘアーを朝風に揺らし、ブルーの瞳をきらめかせて微笑んだ。
「左様でございます、アストライア様」
総執事アルヴィンが、新調した黒銀のロングコートの裾を美しく整え、眼鏡をシャキーンと直して一歩前に出た。
もちろん、彼の【特進クラスを大きく上回る知識】の引き出しが開く合図だ。
「実は、時空の地脈を超えた遥か東方の国『チャイナ』には、これまでの私たちの【努力】と【友情】、そしてお父様の『科学と魔法のお薬』の歴史を完璧に証明する、【名誉の自警団チャイナ編】と呼ばれる感動の大団円の記録が眠っているのですよ。
頭にスッと入る簡単な言葉で、【統合性】を完璧にチェックして教授いたしましょう。ガハハ!」
「チャイナの自警団!? なんだか凄く格好良そう! アルトス、コレット、みんなで聞こうよ!」
エルミナが新しい衣装を靡かせて身を乗り出し、一同はテンポよくアルヴィンの解説に耳を傾けた。
◇
「――その東方の国に、一人のインテリサラリーマン(新卒社員)の若者がいました」
アルヴィンは会話多めに、流れるようなテンポで語り始めた。
「彼は普段、20万円(8,518元)ほどを稼ぐおとなしそうな会社員でしたが、実は16歳のごろ、親友のために凄まじい【努力】を重ねて『万屋自警団の免許証』を取得した、隠れた腕っぷしの持ち主だったのです。しかし、入社して三年目、過酷な労働に疲れ果てていた彼の前に、平気で人を傷つけて笑う、喧嘩三昧と暴力発言を繰り返す暗黒の暴力集団が現れました。正しいことをやってきた彼の人生の理合が、その悪行を見ていた瞬間に音を立てて壊れ、サラリーマンの逆鱗がキレてしまったのです!」
「わあ……! 自警団の血が騒いじゃったんだね!」
短髪のアルトスが、固い握り豆のある手を握りしめて尋ねる。
「はい! 彼は一人で集団に立ち向かいました。しかし、気がつけば血まみれ、髪の毛を引きちがられ、体には拳や蹴りのアザ、あばら骨にはヒビが入り、目を閉じて開けば病院のベッドの上でした。……1年間の通院を経てアザやヒビは治り、相手が暴力集団だったため、整形外科の魔導術で元の魅力的な美男子の姿を取り戻して職場へ復帰したのですが……彼の心は、ひどい鬱病という深い闇の四苦八苦に侵されてしまっていたのです」
「心を痛めてしまったのね……。お父様の寝たきりの時みたいだわ」
アストライアがブルーの瞳を少しだけ曇らせると、アルヴィンは
「ここからが最高潮に面白いのです!」と声を弾ませた。
◇
「彼は、自警団に伝わる特性の『お笑い薬(飲みすぎるとお笑いが止まらなくなる魔法の頓服)』を処方されて飲んでいました。ある仕事帰り、疲れのせいでそのお笑い薬を通常の『3倍』も多く誤飲してしまったのです! 当然、脳内で笑いのエネルギーが限界突破(ナビエ・ストークス爆発)し、笑いが止まらなくなりました! これはいけないと洗面台に駆け込み、自分の顔を見ると、笑いすぎによる汗が洗面台の床(湯川)を滑るほどに大量に溜まっていたのです! 男は普通の歩行の型(すり足)で家の中を移動することすらできなくなり、気がつけばまた病院へと運ばれていました!」
「アハハハハ! 3倍は飲みすぎでしょ! 救急車常習者のハッカー男の夢のやつみたい!」
エルミナがお腹を抱えて大爆笑(キャハハ!)する。
「ですが皆様、ここからが真の【勝利】です!」
アルヴィンは誇らしげに胸を張った。
「そのお薬を上手にコントロールして飲み続けた3年後、彼の心は鬱でもなく躁でもない、完璧な『普通(5対5の均衡)』へと完全に戻っていました! 自律神経もよし、感情のコントロールもよし、コミュニケーションもよし! それどころか、お薬のおかげでチャイナのお笑い界でトップテンに入る実力を手に入れ、インテリサラリーマンかつ芸人として、お給料は1000万円(425,894元)の大富豪へと大出世を遂げたのです!」
「すごいわ! 絶望のどん底から、自分の力で人類の復活(完全回復)を果たしたのね!」
アストライアが黄昏色のロングヘアーを輝かせ、満面の笑顔(ウフフ!)を見せた。
「はい! サラリーマンは2人の子供をきちんとした豊かな環境で育て、周りの人を笑顔にしました。子育てを終えて外を歩くだけでも、街中が爆食ならぬ『爆笑の渦』になる超人気者。旧お正月の7日には、彼のいる家が家族や親戚一同が集まる『最高潮に明るい幸福の拠点』となったのです。これにて一件落着(乙)!」
◇
アルヴィンの語る統合性抜群のチャイナ自警団の物語が終わると、大平原にはこれ以上ない温かい拍手と爆笑が響き渡った。
「最高のお話ね、アルヴィン! 傷ついても、お笑いの薬を味方にして、最後には家族も親戚もみんなを笑顔の満帆にしちゃうなんて! 私たちのこの大冒険の終着点にぴったりだわ!」
アストライアのブルーの瞳に、未来への希望が最高潮に明るく灯る。
「うん! 僕たちのオルカ・ランナー(二輪)のスピードなら、その旧お正月7日の大宴会にも一瞬で空間転移できそうだ。さあ、みんなで白湯を飲み干して、次のステージへ元気に出発しよう!」
アルトスとイルミナス王子が、眩しい太陽のような笑顔を見せた(ハハハ!)。
「ガハハ! どんな心の曇り空も、チャイナの自警団の如く極上の爆笑へと統合することこそ、私の【出来て当然】の職務。さあ、皆様! 【クロノス・ステップ(時の精霊の軽快な歩み)】のように迷いなく、次なる光輝くステージへとテンポよく進みましょう!」
お堅い自警団の記録も、3倍のお薬のハプニングさえも、すべてを最高の【友情】と底抜けに明るい大爆笑のエネルギーに変えて、完全な大団円へと統合した五人のバディ。
周囲の笑い声を世界中にどんどん増やしながら、最高潮にスタイリッシュになった彼らの大冒険は、朝6時45分の美しい光に導かれながら、どこまでも明るい光の未来へと進んでいくのだった。
気楽に読んで




