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アイツの本性を暴いてみた!  作者: うちよう
姫柊花音の本性を暴いてみた!
26/29

第26話 俺がやるべき最高最低の手段

ブックマークありがとうございます!

更新の励みになります!

 翌日、いつも通りの時間に起きて、いつも通りに朝食を取って、いつも通りに身支度を整えて、いつも通りに学校へと向かう。

 これが俺の日課ルーティーン

 いつもと変わらない日常が、今日も滞ることなく流れていく……はずだった。

 ()()を知ることとなったのは、クラスに到着してすぐのことだった。

 昨日まで俺の後ろにあったはずの席が、()()()()()()()のである。

 転校したという可能性は、限りなく低いだろう。

 もし仮に、急な用件で転校せざるを得ない状況になってしまったとしても、すぐに席を無くす理由にはならない。

 だとすれば、考えられる理由は一つに絞られる。

 俺は机の中にある教科書やノートをその状態のまま一つ後ろの席へと移動させた。

 これで目に見える問題は()()()()()

 あとは二次被害を発生させないためにも、彼女が登校してくるまでの間、机付近で直立不動の姿勢を取り続ける。

 それから五分後ぐらいに、彼女が登校してきた。

 俺の中の憶測は確信へと変わった。

 その異様な光景に目を丸くしているが、俺は彼女を無視して教室の外に出る。

 そして俺が真っ先に向かったのは職員室——————ではなく、校舎裏だった。

 別に、彼女の机がある確証があって向かったわけじゃない。

 そもそも、それは教室から持ち出したゴミカスにしか分からないことだからな。

 俺の今やるべきことは、状況の改善に努めること。

 手順を考えるならば、犯人を特定してから次の一手を考えるのが妥当案であろう。

 だが、俺は知っている。

 そんなことは、無意味であると。

 仮に犯人を特定したとして、お前は犯人に何がしたい?

 断罪か、審判か、あるいはそれに準ずる何かか。

 そんなことをしている間にも、状況は目まぐるしく変化する。

 犯人は、単独犯から複数犯へ……なんて状況も普通に考えられる可能性だ。

 誰かが攻撃したから、自分も攻撃して大丈夫。だって全ては、あの人が悪いのだから。

 そうやって小さかった問題は、大きな問題へと発展していく。

 だから、俺が今やるべきことは犯人探しじゃない。

 いかに小さな問題のうちに、状況を改善できるかだ。


 「——————よし、着いた」

 

 校舎裏に着いて辺りを見渡してみるが、やはり机とかはなさそうだ。

 そして何かをするわけでもなく、始業のチャイムが鳴る直前ぐらいで教室へと戻る。

 何のために校舎裏に行ってきたのか……この行動に特に意味はない。()()()()()()()

 チャイムと同時に教室に入ると、すでにクラスメイト全員が登校していた。

 さて、あとはどう()()を展開するかだが……。

 

 「おい、久山ひさやま! なんで姫柊さんに実害を加えたんだよ!!!」


 鬼の形相をしたさかきが詰め寄ってくる。

 てか、そんなデケェ声出さなくても聞こえてるわ。

 でもまあ、クラスメイト全員の視線がこちらに集中しているこの状況——————これはこれで()()()()()

 俺は不敵な笑みを浮かべながら、榊に向けて言葉を放った。


 「俺がいつアイツに実害を加えないと言った? 俺はそんなこと言った覚えはねぇけどな」

 「噂の出所が分かるまで現状維持って言ったよな? 久山の発言と行動、全てが矛盾してんだよ!!!」

 「事情が変わったんだとしたらどうだ? そうすれば俺の発言と行動に矛盾は生じない。違うか?」

 「お前!!!」


 感情に流されるまま、榊が俺の胸ぐらを掴んでくる。

 そうだ、榊。

 お前はそれでいい。お前は何も間違っていない。

 だからお前は、みんなが思い描く理想の正義を遂行しろ。

 そうすれば、彼女を助けることができるのだから。

 

 「俺がアイツの席を隠そうが教科書を捨てようが俺の自由だ。その自由意志を、他人のお前に強要される筋合いはない。だからアイツに限らず他の連中も一緒だ。俺が気に入らないと思ったヤツは徹底的に陥れてやるよ」

 「……そうか」


 榊が静かに呟いたその直後、なぜか俺は廊下に仰向けになって倒れていた。

 疑問になるよりも先に、すぐさま状況を把握した。

 あぁ、そうか。俺、殴られたのか……。

 でも、なぜだろう。

 痛むはずの左頬は、全く痛くなかった。


 「お前ら! 一体何してるんだ!!!」


 担任が廊下の先から怒号を撒き散らしながら駆け寄ってくる。

 まあ、とりあえずこの辺りで身を引いておくか。

 あとは他の生徒が、先生に都合の良いように話してくれるだろう。

 仰向けになった身体を起こして立ち上がろうとする俺を見下しながら榊が告げる。


 「心の底から仲良くなれると思った俺が馬鹿だったよ」


 吐き捨てるように放たれたその言葉を聞いても、俺は何も感じなかった。

 感情すら揺らがない。

 あぁ、そうか。

 やっぱりこれが——————()()()()なんだ。

 彼女に向ける感情も、榊に向ける感情も、桜花おうかに向ける感情も、全てが上辺だけの関係を取り繕った偽物に過ぎなかった。

 彼女を助けたいと思ったのも、ただの独りよがり。

 理不尽な悪意に晒される彼女が、昔の自分と重なってしまって我慢ならなくなっただけ。

 だから今回の騒動は、()()()()()()()()

 自業自得なら、その責務はしっかりと果たさないといけない。

 それがたとえ、悲惨で、残酷で、無慈悲な日常を送ることになってしまっても——————。


 「久山、頬腫れてるぞ。とりあえず、保健室に行ってこい。何があったか話は後で聞くから」

 「……分かりました」


 そして俺は、一人保健室へと向かって行った。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

今後とも、よろしくお願いいたします!

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