表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイツの本性を暴いてみた!  作者: うちよう
姫柊花音の本性を暴いてみた!
25/29

第25話 姫柊家緊急家族会議

 「——————ただいま」


 玄関扉を開けると、一組のビジネスシューズが目に入った。

 相変わらず、ご帰宅が早い事で。

 てか、高校生より帰宅が早いのは社会人として良い事なのかな?

 当たり前だが、社会人を経験した事がないからその辺りの機微がよく分からない。

 ……いや、違うか。

 多分、私のせいだ。

 私のことになると、世一よいちにぃは何もかもを切り捨てる。

 それが家族だろうと、友人だろうと、常識だろうと、趣味だろうと、仕事だろうと——————そして恋人だろうと。

 私のせいで、世一にぃはどれほどの大切を切り捨ててきただろうか。

 両手両足だけでは、絶対に数え切れない。

 だから私は、これ以上世一にぃの人生を滅茶苦茶にするわけにはいかない。

 そう、滅茶苦茶にするわけにはいかない……。

 私も今年で高校生になったんだから、自分のことは自分でなんとかしないと。

 このまま世一にぃにおんぶにだっこ状態を続けていたら、きっと私は人としてダメになる。


 「……よし。とりあえず、今後どうするか考えるか」


 私はリビングにいるであろう世一にぃに、顔を合わせることなく自室へと向かう。

 そして扉をゆっくり開け、私は目を見開いたまま固まった。

 なんで、世一にぃが私の部屋に……?


 「花音かのん、おかえり」

 「いやいや、え? 普通に挨拶してるけど、年頃の妹の部屋に勝手に入るのって世間的にアウトじゃない?」

 「何を言ってるんだ。世間のルールが我が家のルールってことじゃないだろう?」

 「いや、それはそうなんだけどさ……」

 「不服だと言うのなら、世間のルールを我が家でも適応するかい? まず初めに、この部屋の一ヶ月のレンタル料金を家賃から逆算して……」

 「分かった、私が間違ってた。とりあえず、着替えたいから部屋から出てもらえるかな?」

 

 そう促すが、世一にぃはこの場から動こうとしない。

 というか、この場から絶対に離れないという信念すら感じられる。

 多分、勘づかれてるっぽい。


 「どうせ、俺を追い出して引き籠るつもりだったんだろ? やり口が安直だ」

 「うっ……」


 やっぱり、バレてた。

 こういう時、自頭の良い人間は嫌いだ。


 「なんで一人で悩みを抱え込もうとするんだ? 別に誰かを頼ることは悪いことじゃない。誰かに頼ることで、考えの幅がもっと広がる。今の花音に大事なのは、考えの幅を広げるための経験値稼ぎだ。経験値稼ぎとして、俺の意見を聞いておくのは得策だと思うぞ」

 「……分かってる、分かってるよ。でも、違う。違うんだよ……」

 

 そういうことじゃないんだよ。

 確かに、世一にぃの話は整合性が取れている。

 未熟な私ですら、それが正しいってことは分かってる。

 でも、でもさ……。

 私の経験値稼ぎのために、世一にぃが人生を棒に振るのは間違ってるよ。

 だから私は、誰も傷つけず、誰にも迷惑をかけず、誰も犠牲にはさせない。

 成功と失敗という経験値を糧に、私は私の考えの幅を広げていく。

 そのために、私には立ち上がるための両足があるのだから……。


 「……世一にぃ、ごめん。今回は私の力で何とかしたい。正直、世一にぃの言ったことは間違ってないと思う。でも、私のために世一にぃが犠牲になるのは違うと思うから」

 「……やっぱり、花音は雅春まさはる君と似ているな」

 

 そう言う世一にぃは、どこか悲しそうだった。

 そして世一にぃは、重い腰をゆっくりと上げながら言葉を綴る。

 

 「まあ、花音がそう決めたのなら俺はその意思を尊重するよ。最後に一つ、昨日の夜に俺が花音に与えた課題はちゃんとやってきたかい?」

 「うん、やってきたけど。何も効果なかったよ」


 昨日の夜に開かれた、姫柊家緊急家族会議で与えられた世一にぃからの三つの課題。

 一つ目は、マサくんから距離を置くこと。

 二つ目は、気まずくても学校にはきちんと通うこと。

 最後に三つ目は——————素の自分で居続けること。

 正直、世一にぃがこの課題をわざわざ出した意図が未だに分からない。

 私が趣旨を分かっていないのを悟ったかのよに、世一にぃは私の髪を流れに沿って優しく撫でながら言葉を紡いだ。


 「結果をすぐに求めちゃいけないよ。大事なのは時間と行動だ。そうでなければ、()()()()()()。だから、花音にとってはしばらくの間は試練になるかもしれないね」

 「それってどういう……」

 「ヒントはここまで。あとは自分で考えてみなさい。今回は自分の力で何とかしたいんだろ?」

 「うっ……。それを言われると弱い……」

 「まぁ、三つの課題も遂行するかしないかは花音の判断に委ねるよ」


 それだけ言い残して、世一にぃはリビングへと戻っていった。

 少し遅れて、私は制服から私服に着替え始める。

 着替えながら、考えた。

 マサくんは何を考えて、何を思って、そして私はマサくんに何をしてあげたいのか。

 きっと私自身、マサくんのことで考えが浅はかすぎたんだ。

 だから美彩みささんに依存とか寄生とか言われたあの時、何も言い返せなかった。

 自己中心的な考えな上、マサくんに一方的に寄りかかってたら、そりゃ寄生って言われても仕方ないよね。

 だから明日、きちんとマサくんと話をしてみよう。

 その上で、私の()()もきちんと打ち明ける。

 そうすれば、私たちの偽りの関係も、きっと本物の関係になれるはずだから。


 だが次の日、()()()()()()()

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

今後とも、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ