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アイツの本性を暴いてみた!  作者: うちよう
姫柊花音の本性を暴いてみた!
2/29

第2話 残念美人

 「——————そういえば、自己紹介がまだだったね! 私は姫柊花音ひめらぎ かのん。これからよろしくね!」

 

 カフェ店内のイメージに合わせた落ち着いたBGMを掻き壊すかのように、花音が馬鹿デカい声で自己紹介をする。

 てかさっきから思ってたことだが、そんなに大きな声出さなくても聞こえてるから。


 「……はぁ」

 「君の名前は?」

 「俺? 俺は……」

 「知ってる。久山雅春ひさやま まさはる君、だよね?」

 「知ってるなら、わざわざ聞くなよ」

 「あちゃー。こりゃ一本取られたな~」

 

 花音はペチッと可愛らしく額を叩く。

 こいつ、全然人の話聞かないな……。しかも意味わからんこと言ってるし。

 俺のことを何で知っているかは、まあ一々確認するまでもないだろう。


 「久山君ってあれでしょ? 嘘告白の人だよね?」

 「……お前も、やっぱり人の心無いんだな」

 「お前も?」

 「美しい薔薇にはトゲがあるってことだよ。外面は良い顔して、内面は人のことを傷つけることしか脳のないカスってことだよ」

 「うっわ~。辛辣~」


 そんなことを言いながらも、花音はケタケタと笑ってる。笑い要素はなかったと思うんだけど?


 「だからお前のデリカシーの無さにも納得だわ」

 「ふぅ~ん? そんなに美人が憎いんだ。てか、やっぱり私って美人なんだ! 私最高! 私最強!!!」


 胸の前で腕を組んで踏ん反り返っている花音の前に、先ほど注文したオレンジジュースが運ばれてくる。

 オレンジジュースはオレンジジュースでも、グラス縁に輪切りオレンジが付いてる高級感あるオレンジジュースだ。

 ちなみに、俺はアイスコーヒーを注文した。

 

 「でもさ、でもさ~。美人は美人でもその子と私じゃ全く違うと思うんだよね~」

 「なに、美人レベル的な話? 俺からしたら何も変わらないんだけど」

 「いやいや、そういう話じゃなくてね。私、これがノーマルだから」

 「つまり、今のお前が素ってこと?」

 「ダッツライト!」


 指をピストルの形にして俺を指さす。

 てか、発音が酷すぎてびっくりしたわ。


 「……信じられないな。仮に今のお前が素なんだとしたら、かなり残念な子だぞ?」

 「ふふふ、そう。私は残念な子なんだよ!」

 「うわっ、容認してるタイプの残念な子ってマジでいるんだ。普通ならこうなりたいとか本人の本望とかあるのに……」

 「……ちょいちょい私を馬鹿にしてくるのはなんなの?」

 「別に、俺はただ客観的事実を口にしたまでだ」

 「キャ、キャッカンテキジジツ? ああ、なるほどね! そうね……」


 そういうとこなんだよな……。とは口にしなかった。

 本当かどうか分からないけど、花音曰くこれが通常運転らしい。

 どうしようもない花音の生態に呆れながらアイスコーヒーをストローで啜ると、花音も同じようにオレンジジュースをストローで啜った。


 「てか、俺をカフェに連れてきた理由は? 早く帰って寝たいんだけど」

 「お! だったら私の膝枕で寝る?」

 「はっ倒すぞ」

 「いや~ん。久山君ってば、だいた~ん」


 話にならなくて席を立とうとしたら、花音が静止を促してきた。


 「まあまあ落ち着けって。冗談だってば~」

 「落ち着かないといけないのはお前の方だと思うんだが?」

 「それより、私が久山君をカフェに連れてきた理由だっけ? それはね——————」


 そう言って、花音は俺に手を差し出す。


 「——————私と、友達になろ?」

  

 その言葉を聞いて、俺の背筋に悪寒が走った。

 いわゆる、危険信号ってやつだ。俺の本能が警笛を鳴らし続けている。


 「……なんで?」

 「え? なんでって?」

 「なんで俺なんかと友達になりたいんだ? 俺じゃなくても別にいいだろ。それとも俺じゃなきゃいけない理由が他にあるのか?」


 自分が最低な事を言っているのは、誰かに指摘されなくても分かっている。

 だが、こうでもしないと自分のことを守ることができないのだ。

 もう二度と、あんな恥さらしは受けたく——————


 「——————あるよ」


 宝石のような透き通る碧眼が俺を見つめている。

 その真剣な眼差しに耐え切れず、俺は思わず目を逸らしてしまう。


 「久山君じゃなきゃいけない理由、あるよ。だって私たち、()()()()()だから」

 「似た者同士って。一体どのあたりが似た者同士なんだよ……」

 「言葉の裏を取ろうとするところだよ。まあ、要は人を簡単に信じられないところかな」

 「お前、何言って……」

 「ごめん、席外すね」


 そう言い残して、花音は荷物を持って店の外に出て行ってしまった。

 これ、ここの代金は俺が払っておけってこと?

 

 「やっぱり、美人ってゴミカスやんけ……」 


 一人取り残された俺は、飲み物代を精算して店を後にした。


 


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

引き続き、よろしくお願いいたします!

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