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シュテルンベルクの花嫁  作者: 北村 清
第3章 シュテルンベルク領の領都

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決闘(1)

イティエル卿がぽかんとした顔をしました。この男性は今まで、女性に毒舌を振るわれた経験が無いのかもしれません。


「イティエルの実力は騎士団でも10指に入ります。彼の実力は私が保証します!」

と騎士団長が言いました。

ジークルーネ様は鼻で笑って答えられました。


「この男が10本の指ですか?シュテルンベルク騎士団のレベルがよくわかりました。私がノエライティーナ様とリナ様の護衛として同行したのは正解だったようです。シュテルンベルクの初代も墓の中で泣いているでしょうね。」


その発言に騎士達が殺気立ちました。私はハラハラしました。客観的に見て悪いのはジークルーネ様です。イティエル卿が気に入らなかったからといって、初対面のイティエル卿と騎士団をここまで貶めて良いはずがありません。


騎士達は怒っているようですが、身分差があるので反論を耐えているのでしょう。ジークルーネ様は侯爵令嬢で、コンラート様よりも身分が上の方ですから。


しかし。

「ふざけるな、貴様!」

と若い男性騎士から声が上がりました。ダークブラウンの髪に黒い瞳の20歳くらいの男性騎士が怒りに燃えた表情でそう叫んだのです。

不敬な態度ですが誰も止めようとしません。むしろ、皆「行け、行け!」と言わんばかりです。


「何が騎士団のレベルがわかりましただ!我々の実戦を見た事もないくせに。勝手な言いがかりで我らがシュテルンベルク騎士団を貶めるなど、貴様が男ならば手袋を投げているところだ!」

「あなた、名前は?」

とジークルーネ様が聞かれました。


「カミル・フォン・グロースクロイツだ!」

騎士団長と同じ名字です。息子か、あるいは親族なのでしょう。


「わかりました。」

と言ってジークルーネ様は手袋を外し、そしてカミル卿に向かって投げつけました。

騎士達の間に衝撃が走ります。


「お互いの発言の正しさと名誉をかけて決闘をしましょう。手袋を拾いなさい。」

「誰に代理をさせる気だ?」

「代理など出しません。私が出ます。そして私の発言の正しさを私の実力で証明してみせます。」

カミル卿の顔が怒りの為か真っ赤になりました。


「望むところだ!」


そして、突然の決闘が始まってしまいました。



ぽかんとしてしまいました。

展開の速さに脳内の処理が追いつきません。


こ・・これは大問題ではないの!と思いますが、場は既に決闘をする事で激しく盛り上がっています。

私は母を振り返りましたが、母は落ち着き払って騎士達の様子を見ていました。


決闘場所は、練兵場になりました。館の中にも素早く噂が広まったらしく、何人かの侍女やメイドが見に来ています。その中には、さっき会ったばかりのレスフィーナ達もいました。


「決闘には木剣を使う。勝利条件は相手を制圧する事。殺したり、体の一部を損壊する事は禁止だ。」

審判役の騎士団長がそう言います。

カミル卿の目を見て言っていますので、カミル卿が勝つ事を疑ってもいないのでしょう。


「姫君。衣装はそれでよろしいのですか?」

と騎士団長が聞きます。ジークルーネ様はドレス姿なのです。ブルーグレーのドレスに、日焼け防止用の濃紫色のロングスカーフを首にグルグルと巻いています。正直、スカーフが長すぎて動くのに邪魔そうです


「構いません。」

とジークルーネ様は言われました。


「ただ、一つほど条件があります。私は女ですからハンデとして女の武器を使わせて頂きます。構いませんね?」

ジークルーネ様の発言に騎士達の間で下卑た笑いが起こります。「女の武器?」「あの貧乳でか?」という囁きも聞こえて来ます。同じレベルの胸を持つ者として、さすがにむかーっとしました。


「始め!」

と騎士団長が言いました。そして決闘が始まりました。


決着は1分でつきます

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