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シュテルンベルクの花嫁  作者: 北村 清
第2章 侯爵令嬢達と宝石の姫達
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日の下の悪

しかし、結論を言いますと国王陛下はヒンガリーラントにはおられませんでした。


国王陛下は緑玉宮妃様とララ様とミラルカ様を連れて王宮から逃げようとしたそうですが、ミラルカ様は一緒に逃げる事を拒否されたそうです。そして、ミラルカ様は娘のウルスラ様と一緒にヒンガリーラントに逃れて来たそうです。

ヒンガリーラントに逃げて来たのは、侍従の一人にハーゲンベック子爵を紹介されたからだそうです。


それをウルスラ様から聞いた時、胸に強い衝撃が走りました。


私達と同じだ!


そう思いました。



姉も王宮の侍従にヒンガリーラント人のネーボムク準男爵を紹介されたのです。侍従は耳触りの良い事ばかりを言って姉を唆しました。


ネーボムク夫婦は善良な人間で、苦しい状況にある王族に深く同情し助けたいと思っている、と言って私達をネーボムクの所に送り込みました。

しかし、そこで待っていたのは、辛い監禁生活でした。

貧しい食事を与えられ、国から持ち出した僅かな貴重品は全部奪い取られました。


それと全く同じなのです。


その後、逃げ出した先のシュテルンベルク家で、私達はブラウンツヴァイクラントの王女殿下方が何人も行方不明になっていると聞きました。

もしかして、皆私達と同じ目に⁉︎

と思いましたが、そうではありませんでした。


その後ヒンガリーラントにお越しになった瑠璃姫様は、反乱軍から身を隠しながらずっと逃げ回っておられたとのです。


なので私達がネーボムクに監禁されたのは偶々だったのかしら?と思ったのですが、やはり偶々などではなかったのです。


実は今日の朝。リヒャルト様が西館に来てくださって、ネーボムク準男爵が王都に召喚された。という話をしてくださいました。


ネーボムクから話を聞いて、更にハーゲンベック子爵という人からも話を聞けば、行方不明の他の王女様方の事が何かわかるかもしれません。


正直私は『他の王女様』という方々に会った事はありません。どういう為人の方々なのかも知りません。

もしかしたら我儘で、非常に意地が悪いという方もいるかもしれません。だけど、たとえそうであったとしても、異国の地で監禁され搾取されるなんて、そんな目にあってよいわけがありません。


特に水晶姫シルヴィアーナ様と瑪瑙姫ラウミドア様は何度もフェルミナ様やティナーリア様から名前をお聞きしました。

このお二人が無事であって欲しい。フェルミナ様とまた再会できますように。と心から願わずにいられないのです。



珊瑚姫様は信頼できる侍女と共に王都まで逃げて来たそうです。


しかし、懐妊しておられる真珠宮妃様は一緒に逃げる事ができず、ハーゲンベック領に残して来たという事でした。


「母さんを助けて!お願い。」

まだ11歳の珊瑚姫は泣きながらカトライン様にそう言われました。


カトライン様は困っておられました。

助けて差し上げたい、と思う気持ちはあっても、それを実行する手段がないからです。


私は一瞬、レベッカ様の顔を見ましたが、「私が助けよう」という声を真っ先にあげてくださったのはジークルーネ様でした。


「ハーゲンベック家は、ヒルデブラント家の寄子だ。だから私が御母上を迎えに行こう。姫君はここで、待っていてください。」

その言葉を聞いてほっとしました。


『寄親』と『寄子』の力関係は絶対です。それは強固な主従関係であり、寄子は絶対に寄親に逆らう事はできません。

ヒルデブラント侯爵令嬢ジークルーネ様がハーゲンベック子爵家に『命令』すれば全てがうまく行くはずです。


ハーゲンベック家がヒルデブラント家の寄子で良かった。と心から思いました。


私はわかっていません出した。


ハーゲンベック家は『邪悪』な一族です。

そんな『邪悪』な一族であるハーゲンベック家の『寄親』であるヒルデブラント一族がどのような一族なのか、という事をです。


私はやがて、骨が凍りそうなほどぞっとする悪の物語を知る事になるのです。


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