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第十一話 戦いの行方

「さあ、早く構えなさい。イクオ、あなたの本当の実力を見せて」


 まいったなぁ。

 超絶、逃げたい。帰りたい。

 とはいえ、この退廃の森を一人で街まで引き返せる自信はない。


 結構、入り組んでたからなー。

 道とか覚えてないし。

 ルイーズの相手をする以外に帰る方法はなさそうだ。


「仕方ないなあ。でも、後悔しても知らないよ」

 俺は剣を抜いた。


 適当に相手して、異世界人は弱いんだってことをわからせ誤解を解くとするか。

 そんで、迷惑料をかねて、今日は夕飯を奢ってもらおう。


「挑んだことを後悔するほどの強さだ、と。いいわね、イクオ。それでこそ、戦い甲斐があるってものよ」

 ルイーズのまとう覇気がさらに強くなる。


 あれ? なんか猛烈に誤解してらっしゃる。


「さあ、いくわよ」

 ルイーズが踏み込んだ。目にもとまらぬ速さで、間合いを詰められる。

 ビュゥゥゥン――。

 ものすごい風圧だ。


 剣先が風をも切り裂く勢いで、眼前へと迫り来る。

 実戦、めちゃ怖ぇぇぇぇ!


 やっべ、どうしよう。

 これ、頭、真っ白になる。


 しなる刃が、俺の喉元へと向かってくる恐怖で、どうしても動きが一手、いや三手ほど遅れてしまう。


 逃げるか?

 いや、ここまで来て、美少女の前でカッコ悪い姿なんて、見せられるかよ。

 せめて、恥ずかしくない程度に、うまく負けないと――。


 男、イクオ、覚悟を決めろ。


 ええい、ままよ!


 俺は剣を振った。

 ……というか、振られた。

 剣に振らされた、といった方が正しいように思う。


 なんせ、俺には何も見えなかったのだ。

 右、左、上、上、下、右、右、下――。

 まるでコマンド入力みたいだ。


 剣を振ってる俺にも、もう何が何やら。

 ただ的確に、聖剣グランデがルイーズの剣を防ぎ、そしてカウンターをかましていく。


「やるじゃない」

「だ、だろ?」

 そうしている間に、形勢が逆転する。

 なんか、俺、押し始めてね?


「まさか、これほどとは」

 ルイーズが苦しそうに息を吐いた。


「まあね、俺。あっちじゃ、結構、有名人だし」

 あー何言ってんだろ、俺……。つい調子に乗って、口から出まかせを。


 ルイーズが何やら後方へと飛び退いた。

 後方へと伸ばしたルイーズの剣が、炎をまとい始める。


「これを受けても、同じことが言ってられるかしら」


 ……もしかしてルイーズ、魔法使おうとしてね?

 えっ、うそでしょ。


「それはさすがに。ちょ待って!」


〈ファイヤースラッシュ・アクセラレイト〉


 ものすごいスーピードで、ルイーズが加速した。

 通り抜けていく草むらが、炎で燃えている。


 恐怖のあまり、俺は目をつむってしまった。


 うわっ、やられた!


 ガキーンッ!

 鉄同士の激しくぶつかり合う音が響いた。


 俺はゆっくりと目を開く。

 果たして、そこには……。


 俺の前に片膝をつく、ルイーズがいた。

 項垂れて、瞳が若干涙ぐんでいる。


「そんなバカなっ! まったく歯が立たないなんて……」


 ……なんかサーセン。

 わざとじゃないんです。

 っていうか、俺の力じゃないんです。

 この聖剣グランデってやつが、超強いんです。


「えっとー、俺の勝ちでいいかな?」

「ええ。剣がこんなんじゃ、戦いにならないわ」

 よく見ると、ルイーズの手には、愛剣の下半分だけ握られている。

 もう半分の先っぽは、先ほどの衝撃で遠くの地面に突き刺さっていた。


「なんか、ごめん」

「いいえ。戦いを挑んだのは私よ。すべては私の未熟さゆえ……強いわね、イクオ」

 ルイーズは目をゴシゴシとさりげなくこすって、颯爽と立ち上がった。

「いやー、それほどでも」

 まあ、まんざらでもないけど。


「たぶんだけど、あなたSランクの強さはあるわ。Aランクの私がこうも手も足もでないんだもの」

「Sランク?」

「レジェンド級の冒険者のことよ。その強さは一人で、国一国に匹敵するとも言われる」

「いや、ルイーズさんや、ちょっと買いかぶりすぎでは?」


「いえ、間違いないわ。絶対にSランクよ」


 ちょっと手合わせしただけなのに?

 強さインフレしすぎだろ。

 まあ、悪い気はしないけど。


「よし、決めた」

 ルイーズが決意に満ちた顔で告げた。

 先ほどまでの涙が嘘のように、顔は喜々と輝いている。


 なんか、嫌な予感がするぞ……。


「何を?」

「私、あなたの弟子になるわ」


「へっ?」


「心機一転、強さに磨きをかけたいと思う。どうか、ご指導よろしくお願いします」

「ちょっと待って。何を勝手に」

「いいでしょ。減るもんじゃないんだし」

 まあ、確かに。


 断ろうと思えば、断れただろう。

 だが、俺は昔から、かわいい子の頼みには弱いのだ。


「……ご飯おごれよ」

「わかったわ。冒険者稼業で稼いでるから、任せなさい」

 ルイーズが胸を張った。


 なんか日本にいた時のノリで、「奢って」とか言ったけど、よく考えたら俺、億万長者だったんだった。

 まあ、いっか。

 損得勘定抜きで、繋がる関係も悪くないだろう。


 幸せそうに笑うルイーズの横顔を眺めながら、俺はやれやれと肩をすくめてみせた。

 異世界ライフ、少しだけ楽しくなりそうだ。

皆さま、本作を呼んでいただき誠にありがとうございます!


引き続き、イクオたちの異世界ライフを定期的に書いていきますので、ご興味がございましたら、ぜひ『ブックマーク登録』をよろしくお願いいたします。


応援してくださる皆さまと一緒になって、本作を作り上げていきたいと思います。


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』をぜひよろしくお願いいたします。


感想もお待ちしております。


私にとって、今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。

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