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おもしれー女・その1


 婚約破棄されたばかりのご令嬢たちをエスコートして、会場の外へ。

 ちなみに会場の雰囲気としては同情が半分、『ざまぁないわね』的な感情が半分といったところだろうか?


 幾人かの令嬢の目が野獣のように輝いていたので、これから『王太子やその側近たちの新しい婚約者』としての座を賭けた戦いが始まるのかもしれない。


(ま、俺には関係のないことだ)


 段取りよく準備されていたのは大型の馬車。これならご令嬢たちと俺、ラック全員が乗ることができるだろう。


 婚約破棄されて、魔の森に捨てられることになったご令嬢は四人。その中には王太子の(元)婚約者も含まれていたのだが……。


 なんというか、その(元)婚約者と俺の同僚(ラック)がいい雰囲気だった。


 突然の事態に涙が止まらないご令嬢と、そんな彼女にハンカチを差し出し、優しく肩を抱くラック。とても絵になる二人だった。


 え? ラック、お前そんなにイケメンというか、紳士だったのか? 普段は俺と一緒にふざけたり下ネタを言って笑い合っているというのに……。


 あまりに想定外な光景に俺が愕然としていると、


「――あぁ、なるほどね。エリーの『想い人』というのはあの騎士のことだったのか。ずいぶんといい雰囲気じゃないか」


 背後から声を掛けてきたのはシャルロット・アイルバーク公爵令嬢。銀髪赤目の超絶美少女さん。

 俺の弟の婚約者だったので挨拶程度はしたことがあるが……。こんな砕けた口調だったか?


「アイルバーク公爵令嬢」


「シャルロットでいいよ。いや、それも長いからシャルでお願いしようかな、元義兄予定殿」


「…………」


 そりゃあ弟と結婚すれば俺は義兄になったのだし、まだ結婚してなかったのだから義兄予定でしかなかったし、婚約破棄を宣言されたのだから『元義兄予定殿』となるのだろうが……なんだ? コイツ思っていたより『おもしれー』女だな?


 俺の動揺というか呆れなど意にも介さず、シャルロットが事情を説明し始める。


「王太子の婚約者・エリザベス(エリー)にはこんな噂があったんだ。彼女は幼なじみに淡い恋心を抱いていたのに、家と国のためにその想いを封印し、王妃になることを選んだのだとね」


「そりゃあまた」


 ちょっと王太子が可哀想になる話だな。いや、だからといって公衆の面前での婚約破棄が許されるわけではないんだが。


「さて、あまりのんびりしていてはあのバカ(・・・・)の気が変わって、この場での処刑に切り替わってしまうかもしれない。さっさと馬車に乗り込もうじゃないか」


 これから魔の森に捨てられるというのに、まるでピクニックに行くかのような態度のシャルロット。


 なんだろう?

 まるでこの後の展開が分かっているみたいだな、と思ってしまう俺だった。



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