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茨姫は悪魔と呼ばれる俺に依存する  作者: 大井 芽茜


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次の目的地

ユイトは魔力が生まれつき使えず悪魔と呼ばれ恐れられていた。

そんな中、出会ったエスティアと冒険をする。

だが、その途中に無能力者のみ使える勇者の剣に乗っ取られてしまい身体が動かなくなった。

「セル……ブレス?行くといっても……そこはどうやっていくんだ。あいにく俺は……」

どれだけ動かそうとしても身体は重りを乗せられたようにビクともしない。

こんなんじゃ、魔力がなく悪魔と言われる俺を殺しに来るやつもいる。ならエスティアの邪魔になる。


「大丈夫だよ。前いったこと忘れた?」

「……?」

そういうと彼女は外に出た。


「おい、どこに」



ガタン!!


しばらくして、大きな物音が響き渡った。そして、家が何かに持ち上げられたように浮く。


「??」

ガタッ……ガタッ……


音と共に家が左右に傾いた。窓をみると、景色が変わっていく。まさか歩いているのか!?


「これでよしっ」

「そういえば……家ごと移動するって言ってたな。歩いているのか?」

「うん。周りに足の代わりの根を置いていて、道筋に沿って歩かせるようにしてるんだ。この樹海を使う人もあんまりいないし目立たないよ、大丈夫。」

本当に大丈夫かな。

まあいいか。


「そうか。なら……セルブレスに行けるな。そこに俺のこれと関係するものがあるのか?」

「うん。あそこは学問と魔法学の都。古代文明の研究にも詳しいんだ。私が勇者について知ったのもそこ。そして、その勇者を専門にしている学者がいる。私もその人の話に見入っちゃたんだけど。」



「その人の名前は……セイヤ・ブラープ。この名前は貴方が言ってたセイヤと重なりそうなんだよね。覚えてる?」

「……いや。しらない。」

「そっか、あなたが剣に乗っ取られた時に言ってたんだよ。セイヤは?って。あと貴方にセルブレスに来いって言われた。だから、きっとそこに何かある。」


セイヤ。俺が暗闇に出会ったあの男とも何か関係があるかもしれない。とりあえず、今は行くしかない。そこで得られると願うしかない。


「……そこにはあの剣の秘密と、運が良ければ俺を治せるかもしれない。」

「うん。」


エスティアはそう頷くと、息が切れそうになっている俺を撫でてきた。


「ごめんね。絶対に治すから」

「……だから気にするな。俺は楽しいよ、この世界を見て歩けたんだから」

家族の声を聞いて想像していた世界は小さくて、思ったより広い。だからこの状態も治して……まだ生きていきたい。


「そうだね。治してもっと冒険して……色んなことしようね。あなたは私の全てなんだから」

エスティアはベッドに乗り込んで顔を見ながらそう言った。


「そうだな」

「……うん」

エスティアは俺の視界に手をかぶせては、口に温かい何かが触れ合った。


「……?」


俺が?を浮かべていると、それを止めた。


「キスっていうの。しらない?知らないか、こうやって唇と唇を合わせるんだよ?」

「なんのために?」

「愛情表現かな。私がやりたいの、良いでしょ?」

「まあ……それが良いなら。」


よく分からないが、愛情表現……というものがあるらしい。家族が頭を撫でてくれたのもそうなのかな。


気分はそんなに悪くない。

ただ痛みにうなされたぶん、眠いくらい。

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