湖のある町へ
短~い
『それじゃあ、あらためて、しゅっぱ~つ♪』
「おーっ!」『イェーイ!』『ワンニャ~ン♪』《《ハイサ~イ!》》『プリ~ン♪』
翌日、ゆったりと休んで元気いっぱいのたくあんたちは、今度こそ大都市「サロニカ」を目指す旅を再開した。ラゴスとピグミーたちの宝探しという名の墓荒らしは結局の所、何の成果も得られませんでしたァッて感じだが、元々当てにしていなかったので問題無い。三人がちょっとだけ仲良くなれたので、それだけでOKである。
『そういえば、このさきってなにがあるのかな?』
のたのたと進みながら、たくあんがポダルに尋ねる。
「確か、馬鹿デカい湖がある筈だ」
『「ヴォルニィネア湖」ですね。湖の精霊「ボルベ」が住むとされる湖です』
ポダルの言葉を引き継ぐ形でラゴスが言った。
《別名を「死の揺り籠」とも言い、多くの溺死者を出している心霊スポットでもあります》
《たぶん、ボルベの仕業が殆どでしょうけどね。もしかしたら、悪霊の類も潜んでいるかもしれませんよ~》
さらに、ピグミーたちが要らん情報までくれた。
『……なんでそんなのばっかりなのさ~』
『神様なんて大体そんな物よ。ボルベも見た目は綺麗だけど、水辺のニュンペーだから、とんでもない色情魔だしね』
『うへぇ~』
クリスの注釈に、たくあんは思わず嫌な顔をした。
ちなみに、「ニュンペー」とは「ドライアド」や「木霊」と同じ地形に宿るタイプの精霊であり、蠱惑的な姿で歌って踊って異性を惑わす、まるで「パウチカムイ」のような特性を持っている。深い山野や淵を通る時は注意しよう。
「でも、ヴォルニィネア湖を避けると、今度はセレスを横切る事になる。嫌でも行くしか無いのさ」
『ぬ~ん……』
やな感じぃ~。
『まぁまぁ、湖の傍に小さいけど町があるし、そこでしっかり準備をしていけば大丈夫よ』
『そうですよ。ニュンペーはあくまで精霊。ラドンやヒュドラみたいな伝説の魔獣や、イリスのような天使よりも下位の存在です。油断せずに行けば、特に問題ありません』
《ちなみにですけど、僕らピグミー族もニュンペーに近い生き物ですよ》《小人も精霊ですからね》
『ふ~ん……』
そこまで太鼓判を押すのなら、そうなのだろう。というか、あんな化け物が跳梁跋扈されても困る。
「それじゃ、今日中に「ストリモング」へ辿り着くぞ。夜の水辺は単純に危険だしな」
『『『は~い』』』《《了解です》》『プリリリン♪』
そんな感じで、一行はヴォルニィネア湖の近くにある河口の町、「ストリモング」へ向かう事に相成った。今度は何も無いと良いのだけれど……。
◆ニュンペー
樹木や岩清水に宿る精霊。大抵は美しい容姿を持ち、異性を虜にして仲間に引き入れる習性を持つ。依り代でもある本体が死ぬとニュンペーも死んでしまう。余談だが「金の斧」をくれる泉の妖精もニュンペーである。




