7話 新生深緑国と悩み事
グリンが魔王になって数日、深緑国エメラルシアは大きく変わりました。従来のダークジュエルギーを利用した良質な野菜の栽培だけでなくグリンが緑の騎士団に頼んだ「エメラルド大森林」の調査でダークジュエルギーで出来た魔石がたくさん埋まっている鉱山地帯を発見しすぐさま収集部隊を編成、鉱山地帯に眠る魔石を掘り起こし始めました。更には魔獣狩りをして「緑蜘蛛獣」の良質な繭の糸や「緑蟻獣」のお肉などで服飾や食文化の向上も行いました。着々と豊かになりつつあるエメラルシアですが困った案件も舞い込んでくる事もあります。それは
「また、フロン・セレスティアルから亡命者が?」
「はい。グリン様、最近帝国から亡命してくる人間達が大量に我が国に押し寄せて来ています。」
フロン・セレスティアルは最近他の大陸から人間を大量に入国させているらしいのですが帝国の王家は自分達に逆らう者は次々と処刑しているので自分たちもいつ殺されるか分からない不安に駆られた人間達が人間と魔物の友好関係を取り戻そうと動き始めたエメラルシアに亡命を押し掛けているのです。ただ魔王領は高濃度のダークジュエルギーが蔓延しています。「ジュエルギー」とは2種類あり人間がこの大陸に移住して来た時に生まれた人間の命の根源「ライトジュエルギー」と魔物の命の根源「ダークジュエルギー」です。濃度の高いダークジュエルギーは人間にとって毒になってしまうので魔王領に人間は長く居られないのが実情です。とりあえずグリンは亡命して来た人間達を地下に建設した災害避難用シェルターで受け入れることにしました。
「ひとまず、シェルターの中で住まわせる事にはなったけどいつまでもシェルターの中に住まわせる訳にもいかないな、ヴァルリオ、至急幹部のみんなを集めてくれるかな?」
「はい」
「あーー!やっぱり少ししてからで良いかな、ちょっと準備しなきゃいけないから」
「はい、分かりました。とりあえず幹部の皆さんは会議室に招集しておきますね」
グリンは王の間から出ると誰も使っていない空き部屋に行きました。
「よし、命のエレメントを使えば自分で新しい魔法が作れるって前にご先祖様に教えてもらった、この広さの部屋なら人間がこの国に住める様になる僕が作った契約魔法の魔法陣を設置するのに丁度いい」
そういうとグリンは部屋の床に大きなパステルグリーンの魔法陣を設置しました。
「よし!これでオッケー!みんなもう集まってるかな?」
グリンはその足で幹部達が集まっている会議室に向かいました。