閑話休題
ゴッド・イーター
きっと必ず誰しもが自分自身に特別な才能や自分の人生に生きている価値を見出そうとする。
誰しもが等しく与えられる機会。平等な”規格”。
他人が幸福と呼ぶものでは自分に幸福を与えずこの世界に存在するすべての人間の営みが自分には滑稽に見えた。だがそれは自身の性では無い。それは単純な理由で人間は生まれては死ぬを繰り返す道具のような消耗品であると”高等教育”を受けたからだ。
この世界の子供は例外なく第1次特徴期と第2次特徴期を迎える。
俺に魔術の兆候が見られたのは12歳の時だ。他者を凌駕する圧倒的な”血筋”の力。だがそれは俺の才能では無い。そして14の時に単独で完結する魔力供給システムを創りあげだ。そして今、俺はこの世界を救済しようとしていた。
「君はノーブレス・オブリージュという言葉を知っているか?強者は弱者を救わなくてはならないという意味だ。」
「あなたが強者?ばっかみたい。独りでオムツをはいたまま哀れに孤独死すれば?」
「俺にはまだやるべき事がある。そのためには君の協力が不可欠なんだよ。」
「第一に君には俺の体の一部として同化してしてもらう。今回の場合、君と自分とでは魔術の相性が悪い。だから頼むから癇癪をおこさないでくれ。」
「いい加減にしてくれる?あんたの体の一部になるなんて死んでもゴメンなんだけど」
「あまり我がままを言わないでほしい。女なんて所詮肉の塊だ。俺の好意を素直に受け取れ。」
刹那、瞬く間もなくして閃光が辺り一面に広がった。きっとこれは魔術の相性が悪いせいでオーバーヒートを起こしたのだろう。もしこの合成手術のようなものに失敗したら俺は一生キメラとして生きていくことになる。
「成功,,,したのよね?」
「成功はした。だがどうやら重大な欠陥を抱えてしまったようだ。」
時は流れて200年後、
「アダムとイブの創成記は天才のつがいによって生み出されたということか」
「それを起源とし、生み出された十二の怪物。これらはもはや災害といえよう」
「害獣駆除なら我々の本分ではあるまいか」
「計画を遂行する。さぁ終末の儀式を始めようではないか」
人によって生み出された怪物は同じ人の手によって始末されるのではなく。人を超えた人外の上位種によって存在を抹消させられた。ではその上位種は一体だれが存在を抹消するのだろう?
これは人類が2番目に犯した過ちである。
時は流れて2000年後、その上位種が死を迎えた。正確にはその上位種ではなく上位種としての存在が消化された。つまるところ人間は神を殺したのである。それもたった一人の人間の手によってだ。
その人間は勇者と呼ばれ、後世まで語り継がれることとなった。
「早く俺の眼前に猫耳メイドのコスチュームをさらしてくれよ。頼むから」
「人類を救った英雄がそんな有様では民衆も幻滅してしまいますよ」
「マイクロビキニに裸ワイシャツもいい。悪いけど俺が思いつくのはその程度が限界だ」
「わかりました。要望に応え猫耳メイドのコスチュームをいたしましょう」
「気前が良くて助かるよ、これで次の厄災が起きた時も至福の表情で死ねる」
「それは大げさすぎますよ。少しはご自分のお身体を大切に」
その実を言えば上位種はいずれにしても死ぬ定めだった。一人の勇者は自身のプラトニックをオーバーヒートさせたのだ。
1年と半年後、人類を救った英雄が死を迎え数多の民衆によって大規模な葬儀が行われた。
だが、それは正確に言えば葬儀ではない。儀式のようなものだった。一人の人間の血肉を1万もの民衆に血の一滴を余すことなく分け与えた。
時は流れて1000年後、大規模な人種隔離政策がおこなわれた。長い年月にわたって勇者の血肉をむさぼった民族の末裔たちが大陸を制覇したのだ。
それに危機感を抱いた別大陸の民族がパルタ民族の根絶を始めようとしていた。