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夜に愛された僕たちは

作者: 屑木 夢平

 夜に愛された僕たちは

 太陽が沈む頃に悲嘆に暮れた目を開き

 薄汚れたスニーカーの靴紐を結んで

 生き急ぐ繁華街の電光掲示板の下で待ち合わせる


 人混みにあっては互いを見失うから

 地下鉄の車内では動悸がひどいから

 幸せな人たちを見ると死にたくなるから

 光のないほうへ自ずと歩みを進めていく


 二十五時の名城公園

 街灯も照らしてくれないベンチにて

 もつれあった二つの手は

 助け合いではなく道連れの軌道


 朝が不出来な僕らを際立たせる前に

 夜が遠い日の希望を塗り潰す前に

 流れ星にかけそこねた願いを忘れる前に

 この夜行性の抒情にナイフを突き立てよう


 そうしてきっと

 楽しいことを楽しいと

 悲しいことを悲しいと

 辛いことを辛いと言いながら

 僕ら昼間に待ち合わせしよう

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