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私、紺野佳音は雅とバス停から全力疾走したおかげで、入学式には何とか間に合った。入学式は生徒会長と校長先生と理事長が、二分ずつ喋って終わった。うんうん、こういう入学式が良いんだよね。体育館にクラス表が貼られているのを見ると、雅と同じクラスだった。よし、これでどんなクラスでも文句はない。教室に戻ると、隣の席は不良だった。

「なに、見てんだよ」

 いや、それは見るでしょ。金髪に片耳ピアスで、目が人じゃない。

「ひぃぃ、ごめんなさい。どうか命だけは助けてください。これから、よろしくお願いします」

「は? 何言ってんだよ。殺しはしねぇよ。殺しはな」

 え? 半殺しにはされるのかな?

「のんのん、大丈夫?」

「雅ー、愛してるよ」

「ありがとー。問題ないみたいだね」

「うん、雅が来たら回復した」

 やはり、私にとっての最高の治療薬は雅だった。

「はーい、席に着いてー。ロングホームルームを始めるよー」

 随分とおさな……若い先生が入ってきた。

「これから一年間、ここのクラスの担任をすることになったきのこのはです、一年間よろしくね」

 随分とフレンドリーな先生みたいだ。一瞬、キノコの葉かと思ってしまった。

「まずは、この学校のルールについてのプリントを配るからよく読んでおいでね。全員読み終わったら、教えてね」


 ルール


 一章ダウト

 ・もし朝のホームルームから帰りのホームルームの間についた嘘を密告されたら、翌日の朝、最新の嘘発見器にかけられる。二十四時間過ぎていたら、密告は出来ない。

 ・もし嘘発見器に引っかかったら、密告者はライフが一増える。被密告者はライフが二減ることになる。

 ・もし嘘発見器に引っかからなかったら、被密告者はライフが三増える。密告者のライフは五減ることになる。


 二章ライフ

 ・初期のライフは五。

 ・ライフはゼロになると退学。


 三章クラス

 ・クラスのみんなで協力しましょう。

 ・クラスはテストの成績によって、上・中・下に分けられる。

 ・上クラスは次のテストの成績が、一割増。

 ・上クラスで卒業したら『特殊諜報員』になれる。中クラスで卒業式したら好きな大学に行ける。下クラスで卒業したら浪人確定。


 四章首席

 ・筆記テストの度に首席は決定する。

 ・上クラスの首席は報酬が二倍になる。

 ・クラスで首席数の一番多い人は上クラス扱いをする。


 五章退学

 ・ライフがゼロになると退学。

 ・退学したら〇〇れます。


 六章テスト

 ・テストは筆記テストと、ダウトテストの二つがある。

 ・筆記テストでの点数に応じて、ライフが増える。

 ・テストはペアを組無ことが出来る。点数はペアの平均点となる。

 ・テストまでに稼いだライフの二倍が筆記テストの点に加算される。


 七章委員会

 ・委員会は五個ある。

 ・風紀委員会、図書委員会、生徒会、選挙管理委員会、放送委員会の五つでそれぞれ権限を持っている。

 ・委員会に入るにはライフが三必要で、抜けるには五必要である。また、生徒会は五倍のライフが必要である。


 八章イベント

 ・イベントの学校一位には、ライフが百与えられる。クラスの一位には、クラス全員に十のライフが与えられる。

 ・イベント発案者は、百ライフを使い企画出来るが発案者のイベント練習及び本番への関与は禁止であり、関与したら退学とする。

 ・教師が面白かったと判断したら、発案者には二百ライフが与えられる。

 ・イベントの運営は生徒会がやり、生徒会も練習及び本番への関与は禁止であり、関与したら退学とする。


 九章給料

 ・上クラスは月に五十万円、中クラスは十万円、下クラスは一万円の給料が学校から支給される。

 ・首席の給料は月に一千万円である。

 ・寮生の給料は二割増である。


 十章情報

 ・情報は命を削って手に入れるものである。

 ・裏ルールが知りたいなら一つにつき十五ライフが必要である。

 ・情報の価値はこのルールにもしくは裏ルールで決まっていないとしたら、売る側が決めていい。


『特殊諜報員』になるには、上クラスに行ければいいのか……。やばい、情報量が多すぎる。てか、退学したらのとこが怖すぎるんですけど。どうか、命だけは勘弁して欲しい。

「寮生の寮則は、寮に帰ってから発表があるからね。」

 真面目そうな人が手を挙げている。なんか、質問するのかな?

「先生、裏ルールとは何ですか?」

「えーっと、君は……北村誠きたむらまことくんかな?あー、それね。本来だったら、ライフ取るけど初回大サービス、プライスレスでーす。そのままの意味だよー。他にも一章につき、一つずつルールがあるの。でも、それが何かは有料だよ」

 まだ、退学する要素があるのかもってことか。油断ができない。

「キノコせんせー」

「プッ」

 やばい……堪えきれなくて吹き出してしまった。この人緊張感が無さすぎるでしょ。明らかに、チャラそうな見た目してるもん。アホだよ、アホ。

「ちょっと、桐生燈夜きりゅうとうやくん。このは先生ってよんでよー」

「えー、キノコの方が可愛いっすよ」

「えー、しょうがないなー。燈夜君だけだよー」

 流石イケメン、何しても許されるとは。

「先生のスリーサイズの情報を買いたいです。ライフはどんくらい必要ですか?」

 ……は?

「そんくらい、無料で教えてあげるよー。上から九十、六十五、八十だよ」

 デカい……。私と同じくらいある。

「じゃあ、筆記テストの問題の情報をください」

 わお、急に真面目だ。

「一問につき、一ライフだよー。これは裏ルールに乗ってるよー。急に真面目な質問をして、裏ルール絞り込む気だなー」

「そのまま、全部教えてくださいよ」

「残念ながら、できませーん」

「チッ」

 桐生くんは、変態かと思っていたら策士だった件。

「一つアドバイスしてあげるねー。情報の価値はライフによって決まるからー、無料の情報量の信憑性は低いよー。でも、有料だと嘘をついたら、退学になる」

「それも裏ルールですか?」

「あ……この策士め。桐生くんのバカ」

 いや、唯の自爆でしょ。

「なるほどね……」

 何にかは分からないが、桐生くんは納得していた。

「えーっと、まだ連絡事項あるんだった。この学校は毎月課題がありまーす。今月の課題はまだ簡単だよー。今月中にバレなかった嘘をつくのが、課題だよー。成功報酬はライフ一で、失敗するとライフが二減るよ。みんな頑張ってねー。あと明日までに男女一人ずつ学級委員決めといてねー。バイバーイ」

 すごいマイペース……。嘘をつくのが、課題か……。この学校のルールを知った上だと、難しそうだ。

「僕は、学級委員に立候補する。他に立候補する人はいるか?」

 北村くん……だっけ? まあ、学級委員はやってみたいんだよな。

「はいはーい。私も立候補しまーす」

「名前は?」

「紺野佳音です。みんな、三年間よろしくね」

「他に立候補が居ないようなら、俺らでいいか?」

 賛成の声がチラホラ聞こえてきたから、決まりだろう。

「のんのん、一緒に帰ろー」

「どこか寄ってく?」

「うーん、学校の近くのショッピングモールには結構お店があるみたいだから、回ってみようよ」

「いいね」

 この学園は寮生が多いため、快適に過ごせるようにと、近くのショッピングモール、ノーマルモールには、たくさんの娯楽施設などがある。たくさんと言っても、カフェとレストランと本屋とカラオケと映画館が一つずつだ。

「結局、皆カフェに行き着くんだね」

 カフェには、たくさんの生徒が集まっていた。

「座れないかと思ったもんね。今日、入学式なのに多いよね」

 とりあえず、大事なことから話すか。

「雅はこの学校のルールどう思う?」

「のんのんが覚えるの大変そう」

「いや、そういう事じゃなくて。てか、覚えれるし」

 暗記科目が出来ないのは、やっていないだけです。多分……。

「とりあえず、バレない嘘をつけばいいんでしょ。よゆーだよ」

「いや雅、嘘つけないでしょ」

 中学の頃、人狼ゲームとかめっちゃ弱かった。

「私も成長したんですよ。課題なんてもう、とっくにクリアしたからね」

「え? 嘘! いつの間に嘘ついていたの?」

「教えたらダメじゃん」

 この課題、難しいと思っていたのに……。そう思ってるの私だけなのかな……。

「あれ? 嘘をつくのって帰りのホームルームまでじゃないの?」

「あ? 失敗したぁ」

「お疲れ様、まだまだ時間があるし、大丈夫だよ」

「そんなこと言って、ルールに脅えていると間に合わなくなるよ」

 え? 雅が真面目な話しているの初めてかも……。

「どうしたの、のんのん? 便秘?」

「可愛い女の子がそんなこと言うな」

「かわいいかぁ、ありがと、のんのん」

「いいとこ以外無視するな」

 うん、こんくらいがいつもの雅だ。しかしこの後、雅の言ったことは現実になってしまった。便秘じゃないからね!


 私、紀このはは理事長室へと、歩いていた。

「失礼します」

「どうぞ、このは先生」

 この学校の理事長はこの制度の創設者であり、元『特殊諜報員』である。

「それにしてもこのは先生、上手い具合に嘘をつきましたね」

 教室には監視カメラが付いていて、理事長はその映像をいつも見ている。

「ありがとうございます。かなりヒントを与えてしまったようで、桐生燈夜くんには気づかれたかもしれません」

「そのくらいがいいんだよ。誰か一人は気づいて欲しかったしね。でも、入学初日で気づけただけあの子は有利だろうね」

「はい、あのクラスの首席は彼ですかね」

「いやいや、分からないよ。そのクラスには、私の娘と現役『特殊諜報員』の娘もいるし、面白くなるよ」

「娘さん、ですか? 苗字が同じなのは、偶然じゃないんですね」

「ああ、私の娘だからだね」

 てことは、その人大事にしないとじゃん。何かあったら殺されそうだよー。誰か担任を変わってくれー。

「まあ、他のクラスも粒ぞろいみたいだから楽しみだよ」

「私が責任をもってうちのクラスを上クラスにします」

「いや、それは生徒がするべきだよ」

 恥ずかしー。

「じゃあ、このは先生。これからもよろしくね」

 いやー怖かったー。理事長室とかもう入りたくないよー。それにしても、今月の課題はどうなるかな。

読んでくれてありがとうございます‼︎

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