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ネーデルラントの将来

「それで、ジークフリートよ_______学園を卒業したら家には戻るのか?」


ジークムンドはジークフリートへと尋ねる。意味するは「卒業したらシグルドをもちろんサポートするよね」である。ネーデルラント侯爵家はかなりの名家であり、公爵家に並ぶであろう功績を残している。故にクリームヒルトの父、グンテル公爵も婚約者として、最終的には認めたのだろう。


「おにぃ、戻る」

「そうだ、もっと言ってやれジークリンデ!」

「父うるさい」

「反抗的!?」


とまぁ父上は自分に戻って来て欲しいのだ。次男ジーフリトが他界したため、シグルドが死んだ時の保険として。


「父上、ジークリンデをシグルド兄さんの補佐官とすればいいのでは?」


そう言うとジークムンドは「それもありだな」と頷く。反対にジークリンデはブーブーと浮かない顔をする。


「リンデはおにぃのお嫁さんになります」むふん


ガタッとまたしても二人の侍女達が何やら物音を立てていた。


「こらこら、ジークリンデもそろそろ兄離れしないとダメだぞ」

「父、嫌い」

「反抗的!?」


食事をしながら家族団欒とする。シグルド兄さんも帰省すればいいのだが、学園の復旧作業などで忙しく領地に帰っている暇はないのだ。


(なんか申し訳なってきたな.....)


原因が自身とロキのせいであるために申し訳が立たない。本当に学園卒業後はブリュンヒルデではなく良妻を我が家に迎え入れて欲しい。


(フロールフ先輩、スノッリくん、まじで頑張ってくれぇ!!)


待女達が食べ終わった食器を片付けていく。


「ん?」


今、自分の使ったホークとナイフをポケットにしまわなかったか........何も追求しないで置こう。特にあの面を付けた二人の侍女の圧が怖いし。


「話は戻しますが父上、俺は一度家を出た身です。本来であればこの場に戻るべきではありません。」

「だがそれはクリームヒルト嬢がお前に対して狂愛にも近い行為に出ていたからだろう。貴族として恥ずべき行為ではあるが、理解できる部分が大いにある。」

「おにぃ、戻って来て」


クリームヒルトの件で家を出たのは確かだけど、それ以外の理由もある。


(まず、働きたくないでござる)


三番目として生まれてきてラッキーなんて当初は思っていたけれど、ジーフリト兄さんが死んだことで全てが変わった。父上は自分をシグルド兄さんの保険として育て始めるのだ。


(貴族で成り上がりなんて野望も少しは頭を過ったよ...)


この「鴉羽」の容子を巧みに使えばワンチャン狙えるんじゃね?とか、ネーデルラント家を踏み台に更なる爵位を得られるのではないかと傲慢な考えだって頭の隅にはあった。


けれど社交界とか大貴族としての責任とか諸々を目にね......燃え付き症候群だよ。クリームヒルトの件はいいきっかけだった。全てから抜け出すいい口実になったんだ。


(俺はそんな人間だ........)


他者から見れば自分はクズなのだろう。けれど、人間とはそう言う生き物だ。真の善人なんていない。人間社会は偽りで出来ている。偽善ばかりなんだ。


(鴉羽........俺はお前に謝りたい。お前の身体でこの体たらく、お前ならもっと上手く立ち回りをしているんじゃないか。)


俺にはまだやることがある。スローライフ計画はまだまだ始まったばかりなのだ。アニメではブリュンヒルデを除いて全滅したバッドエンド。【ラグナロクの再来】の巨人が一人、冥界の女王を下した現状で誰一人として失っていない。幸先はいい。


「_____________もし仮にシグルド兄さんに何かあれば、私は戻って来ますよ。それまではジークリンデが兄さんの補佐に就き、ネーデルラント家を支えることになるでしょう。」

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