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ロキは熟考する

ジークフリートの根幹は『スローライフ計画』を達成することにある。

その為ならば冷酷に在れる性格の持ち主だ。何者にも縛られず、我を通したい自己的な人物であることは確かである。


(時に情に絆されて、他者に慈悲を掛けて上げるところも可愛い......)


けれど、危険なのはスローライフを送れるのならば僕すらも捨て去る可能性があることだ。


(それはそれでちょっと..........興奮する......)


ではなくて、ジークフリートに捨てられるのは嫌だ。僕が有用であることを証明し続けなければ彼は見切りをつけてしまう。


(.....冥界の女王の提案に揺らいでいる)←ぷくっと頬を膨らませる


初めて顔を見たけれど、やはり美しい。在り方も僕の好みだし、容姿すらも完璧とは.......どこまで君は僕を惚れさせたいんだい。


(とは言え、僕一人なら冥界の女王を倒せないまでも冥界から抜け出すことは出来る。だけど、ジークフリートを置いていくと言う選択肢は僕にはない。)


だから今ある選択は小癪ではあるが【冥界の女王ヘルをジークフリートの傘下】に加える、だ。


(ジークフリート.....君は賢い.....僕の思考を読んで、彼女に伝えるんだ。)


目線で意思を伝える。


(ロキがコクりと頷いてる........それは冥界でスローライフをしていいと言う合図ですか?)


ブンブンと頭を左右に振るう。


「ど、どうでしょう....わ、私、結構尽くす方だと思うんですよぉ!」


ぐいぐいと来るヘルに後退るジークフリート。


(スローライフ計画、此処で終わらせてもいいんじゃね?いやだってヘルが全員を生き返らせて地上へと返したらヘルヘイムの扉を閉めるんでしょ.......誰も入ってこれない.......まさに辺境でスローライフじゃないか!)


ジークフリートをキッと睨み付ける。


(それは違うよ!弾丸な論破をさせて貰うよ、ジークフリート。君は勘違いしている。もし仮に冥界に残り、そこの女王と余生を暮らすだろう。君には老いが来る。人間だ。その時に彼女に見捨てられる可能性は?そもそも君の望むスローライフとは自由かつ静かに田舎で暮らすことだろう。)


その点、僕は君を一生涯見捨てない。君だけを思い続け、君だけを基準に生活基盤を構成する。全てが君の思うままだ。僕はただ、君の隣にいるだけ。


(君の今の終着点は冥界じゃあない。彼女を地上へと連れて行くんだ。仲間になれ、と一言言うだけ彼女はホイホイとついて行く。)


僕個人としては辺境でスローライフをしたいなら国を作って、世界を統一してしまえばいいと思っている。それで影武者にでも国を統治させ、僕たちは辺境で二人きりで過ごすんだ.......ひっひっひ。


(いいアイデアだと思うんだけど.......)


とは言え、ジークフリートがスローライフを送るには戦力が必要なのも確か。冥界の女王ヘルは小癪ではあるが、強い。


「わ、私、どんなプレイだってしますよ!え、えへへ、縛りますか、叩きますか、でへ、し、絞めますか!」


そもそもジークフリートが掲げるスローライフ計画の三つの条件の難易度が高過ぎる。


第一にアングルボザの呪いからの解放。

第二は覇王を刺激し、悪役令嬢として聖女を虐める。そしてクラキ国の王太子に現場を抑えさせ、学園を追放させる。

第三に聖女の逆ハーレムエンドの形成。


現在進行形で第一の条件に尽力しているけれど、仮に成したとしても戦国の時代に突入することになる。


(アングルボサの呪いを失くせば世界中の化物達はいなくなる.....いなくなるけど、沢山の失業者が出る。そして人同士の戦いが始まる。)


正直な話、辺境でスローライフを送りたいのならまどろっこしいことはせず時を待てばいいのだ。学園を卒業してからでも辺境でスローライフは送れる。


「地上で一緒に学園に通おう!」

「はい、行きましょう!」


この冥界の女王はチョロ過ぎるな.......まぁ、僕も人のことは言えないんだけどね。

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