ヘルさんは恋に落ちました
あ…ありのまま....今.....起こった事を話しますね。
私は彼の兜を破壊して、ウートガルザ・ロキを驚かそうと思ったんです。そしたらいつのまにかこっちが驚かされていたんです。
(な....何を言っているのかわからねーと思いますが.....私も何をされたのか......わからなかった.....まるで胸が締め付けられるような......頭がどうにかなりそうだったんです.....催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてなかったんですよ......)
気付いたら私は言葉を滑らせていました。
「________________私と家庭を持ちませんか?」
この男と添い遂げたい。単純にそう感じた。地上の支配とか、兄弟との再開とか今はどうでも良く感じてしまう。この胸の高鳴りを抑えられない。
「わ、私、この世界の支配者です!何でも出来ます!強いですよ!」
私は何を言っているんだ。頭が沸いている。どうして生娘のように振る舞っているんだ........そりゃ生娘だからですよ。
「あ、あの料理も頑張ります!あ、地上世界が欲しいですか!取ってきますよ!」
あぁああああああもぅ何で要らんことばかりを口に出してしまうんだ。
「え、えへへ......私、処女、です、はい、えへへ」
もぅマヂ無理.......死にたい......
「_________________ジークフリートから離れてくれないかな」
目の前にいたジークフリート突然と消え、周囲を探す様に目を向ける。
「ウートガルザ•ロキ......口説いている邪魔をしないでくれますか。」
ロキの腕の中に抱き締められるように収まるジークフリート。
「君のような異物はジークフリートに見合わない。他を当たってくれないかな。」
(やはり、僕の予想通り......ジークフリートの素顔を晒せばこの女王はかなりの確率で惚れ込むと踏んでいた。だから言葉巧みに誘導をしてジークフリートへと意識を向けさせたんだ。)
ジークフリートはロキとヘルの一触即発の雰囲気を感じ、二人の間へと立つ。
「ジークフリート....ジークフリート......ふふふ、良い名前ですね。え、えへへ、どうでしょう、わ、私と冥界で世界の終焉まで苦楽を共に過ごしませんか?退屈はさせません。仕事だって何もしないでいいですよ。紐でいいです。毎日時間をとって私と一緒に過ごしてくれるだけで、えへへ....構いません。」
上目遣いの冥界の女王、可愛いな........
「ん?」
........................スローライフじゃない、それ?
 




