「b」組と「c」組は仲がいい
「ちきしょう、キリがないぞ!!」
「文句を言っている暇があるなら手を動かす!」
スケッゴルドとモルドは無限に涌き出る死者と対峙していた。彼らの回りにも「c」組のクラスメイト達が集い、一丸となって涌き出る死者達を屠る。
「みんな、すまない.......「復讐」の力が消える......」
アムレートの職業適性は『復讐者』。そして覚醒能力は敵対者の弱体化、そして弱体化させた分の力を味方へと上乗せさせるというものだ。最大捕捉数は500人。涌き出る死者達の力を半減させ続けていたが、発動限界が来てしまった。
「死者たちの力が元に戻るだけだろう。大丈夫、拙が着いている限り敗戦の二文字はない。着いてこい!バルドル辺境伯家の底力、見せてくれる!!」
ヘズは巨大なランスを前方に突き出し、一番槍を勤める。
「貴様へ向く攻撃は気にするな。当方が全て受けきる。」
団体戦で活躍した「b」組序列五位ランドグリーズはヘズへと襲い掛かる全ての攻撃を「パリィ」する。そして怯んだ死者達を他の生徒達が浄化していくのだ。
「なぁ、俺たちはどこに向かってるんだ.....あの猪女はただがむしゃらに前進してる訳じゃあないよな。」
「b」組序列四位ノルナゲストがモルドへと質問する。
「あぁ.......うん、多分、亀裂がある場所に向かっているといいわね!」
「おい!」
投げやりな回答にノルナゲストは叫ぶ。
「美しくない......美しくないな.......この災厄を一刻も早く振り払おう。あの亀裂の奥に見える更なる深淵、そしてその深部に彼女はいるんだ。彼女を討たない限り死者は沸き続ける。授業で習っただろう。それと深淵の奥へと近づくに連れ、死者達の強さが数段と上がる。」
「b」組序列三位ハーラル・ホールファグレ。「美髪王」の覚醒能力で死者達を薙ぎ倒していく。そして倒れた死者へと浄化の炎を付与した燭台で突き殺していくノルナゲスト。
「あぁ、ハーラルの言う通り早くこの災厄を止めないと多大な被害が世界を襲う。理解の早い生徒達は各自、あの亀裂へと向かっている筈だ。」
「そうね。だけど、学園の皆が深淵の中へと入ったら誰が溢れでる死者達の相手をするの?」
世界の危機であるラグナロクの再来。けれど学園に在校する生徒達のほぼ全てが血に飢えた戦闘集団。己の力を存分に振るえるなら死さえも恐れない輩が多い。故に皆が皆、深淵の深部へと足を踏み入れたがるだろう。
(本当は私も死の女神とやらに会いたいけど.......はぁ)
「私は亀裂付近で死者達を食い止めるけど、私一人じゃ限界がある。私より弱いやつは全員残って貰うわよ!」
周囲の生徒達が「えぇ!!」と嫌悪とした表情を見せる。修学旅行か何かだと思っているのか。
「マジかよ、モルドは残るのか!しょうがねぇな!俺がいっちょ世界を救って来てやるぜ!」
「あんたも残んのよ!」
モルドがスケッゴルドの頭を叩く。「何すんだよ!」と叫んだのでもう一発くれてやった。
「あんたはまだ覚醒してないんだから、大人しく私と残る!いい!返事は!」
母に叱られる子供を連想させるスケッゴルドとモルドの姿に生徒達は萎縮してしまう。
「..............あぁああああああもう、わかった!分かったよ!残ればいいんだろ!」




