第一封印は解除された
ヴァルハラ学園に通う全生徒、そして教員達は闘技場に集った。
闘技場の中央に壇上を構え、賢者ウォーデンは演説を始める。
「___________ラグナロクの再来が今宵、始まる。」
各生徒達は緊張した面持ちでウォーデンに耳を向ける。天は闇に支配され、ユグドラシルの淡い光により、視界が保てている状況だ。
「我が学園の地下に存在する『迷宮』へ許可なく立ち入り、最下層へとたどり着いた愚者がおる。その者は最下層に存在するニーズヘッグの成体を無力下し、アングルボサの呪いの封印を解くことが出きる鍵を簒奪した。」
『ニーズヘッグの成体』『封印の鍵』と重大な情報を開示するウォーデン。
(ロキのやつ.......ニーズヘッグの成体と対峙したのか)
ロキの火力ではニーズヘッグに傷を負わせることは不可能。英雄級の戦士を何人も集めてやっと拮抗できる強さを誇る。
「そしてその愚者はアングルボサの呪いの第一封印を解放しおった。世界を滅ぼす要因となりうる事象を人が人の手により引き起こしたのだ。嘆かわしい。神々が戦い守った世を自ら放棄するなど言語道断。見つけ次第、わし自らが引導を渡してくれる!!」
七英雄やそれに並ぶ職業でしか打ち倒せないアングルボサの呪い筆頭がニーズヘッグだ。
(.........ロキ、早く戻って来い)
ロキには無茶な事ばかり頼んでしまう。信頼している故に。無事でいてくれることを願う。
「_______と言いたいところではあるが、全てが終わった後に盗人には然るべき処置を受けて貰う。各自、戦闘に備え学園に陣を敷くのじゃ。此度の戦ごと、敗戦は許されぬぞ。ヴァルハラの存亡は貴様達勇士の手に掛かっておることを忘れるでない!」
賢者ウォーデンが壇上を降りるために階段へと足を伸ばす。だが、突如として闘技場に亀裂が入り、その隙間から死者の大群があふれ出る。
『『『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』』』
そして賢者ウォーデンはその波に呑み込まれてしまった。
「学園長ッ!!ッ、フルンティング!!!」
ベオウルフは即座に鞘から宝剣「フルンティング」を抜き、死者の大群目掛け刺突を放つ。数千もの死者がピラミッドのように積み重なり蠢く巨体に巨大な穴を開けたのだ。
「俺たちも先生に続くぞ!!」「おらぁ糞ゾンビども行くぞぉ!!」「ここで食い止めなきゃ!!」「僕たちがこの世界を守る!!」「私にもやれることを!!」
ベオウルフ先生の一撃は死者の進行速度を遅めた。その隙を狙い学園の生徒達は死者を浄化していく。
(けれど、数の暴力は止まらないか。)
ジークフリートもまた溢れ出てくる死者達をルーン魔術を付与した双槍で浄化していく。しかし、死者は今もなお際限なく溢れ出てくる。
「_________なんだ、もう疲れたのか?」
自分の背中へと背をつけ、笑うスヴィプダグ•グローア。
「背中を預けていいんだな。」
「誰にものを言っている_________俺は冒険王だぞ。」
こんな少年漫画のようなシチュエーションをこの身で経験することになるとは。
「互いに冒険をする者として勝負しようじゃないか。」
「上等だ。クラス対抗戦の恨みを忘れた訳ではない。あのよう屈辱的な勝敗は向こうだ。どちらが多く死者を屠り、死の国の女神を倒すか競走しようじゃないか!!」
グローアはそう言うと死者へと駆け出す。そして溢れでる死者達を勝利の剣で切り裂いていく。
(戦闘狂め......だけどそれでいい)
グローアは勝負に勝ちにいくために全力で戦場の敵達を屠ることだろう。
※ワール○・ウォーzのゾンビみたく積み重なって襲ってくるタイプの死者です。対策なしで噛まれたら死者達の仲間になります。




