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最下層の鍵

「________ジークフリートも人使いが荒いね」ひっひっひ


『迷宮』の最下層にて『アングルボサの呪い』最上位格でもある「ニーズヘッグ(成体)」が待ち構える。


(ニーズヘッグの出現は過去に何度かあったけれど、全ては幼体のうちに英雄達が討伐している。)


ロキ単体ではまず勝ち目はない。目の前にいる黒龍は神話の産物だ。


(根から栄養を奪って成長したのか......)


ヴァルハラ学園の背後にある巨大な大樹ユグドラシル。その根端でもある最下層。ニーズヘッグは根から栄養を奪い成長をしたらしい。


(しかしおかしな話だ。ユグドラシルが枯れてしまえば世界は消滅する。何故、学園や国は兵を派遣しない。)


ニーズヘッグは構えてはいるが常に根端を咥えている。


(いいや、違う......わざとニーズヘッグを野放しにしているんだ。)


ニーズヘッグの習性は世界樹からの栄養補給ではあるけれど、一番の好物ではない。ドラゴンが好むもの、それは死者の魂。


(考えたね。第一の巨人ヘルの対策として幼体のニーズヘッグを最下層に配置したんだ。)


ロキは嗤いながらニーズへッグの後ろにある祭壇へと歩きだす。祭壇には一つの鍵が置かれ、小さく輝いていた。


【ググググググオオオオオオオオ】


余りの音量に全身に鳥肌がたつような、大きな獣の咆哮が最下層にて鳴り響く。ニーズヘッグが此方の存在に気づいたのだ。


「背教は苦境、来訪は追放、舞えよ叫べよ竜跳虎臥♪」


ロキは道化師の覚醒能力を使い、ニーズヘッグの視覚と聴覚を支配する。


「見えるものが違うね。何も聞こえないね。」ひっひっひ


ニーズヘッグの前後左右上下の視覚を反転する。そして聴覚は完全遮断し、音のない世界へと誘われる。


(僕の力量じゃああの体皮に傷をつけることは出来ない。だけど、戦闘不能にすることは出きる。)


狂戦士や神話級のルーンの加護でなければ完全に防ぐことは出来ない精神支配系の頂点、道化師。その効力は如何なる生物に対しても有効である。


「だけど、精神への干渉はアングルボサの呪いに対しては効かない。」


アングルボサの呪いは狂戦士と同じく本能の行くままに暴れる化物なのだ。視覚と聴覚は支配出きるが魂への干渉は出来ない。


【ググググググオオオオオオオオ】


地面へと向かい横転するニーズヘッグ。視界を支配され、歩くことも許されない。巨体な身体を持つ赤子と化している。ロキはそんなニーズヘッグの横を過ぎ、祭壇へとたどり着く。


「見つけたよ、ジークフリート..........これで始まる。僕の、僕たちの【スローライフ計画】が」


ロキは道化師らしく高笑いを上げ、第一封印を解除できる鍵へと手を伸ばすのだった。

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