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ロキの悲壮

第三歌章始動!

__________僕は夢を見る。


学園を卒業してもいつまでもジークフリートと親友であること。幸せな日常。ただただジークフリートと平穏な日々を過ごす。毎日、一緒に昼食をとり談笑をする学園生活はとても楽しくて満足な生活なんだ。彼は僕の人生に色をつけた。拭いたくない。彼との日々を永久に。そう願い日々を過ごす。


「___________あぁーさっきの願いの件、撤回していいか?」


ジークフリートは僕に願った。親友のお願い事は敢行する。そこに一切の妥協も拒絶もない。彼との日々を守れるなら僕は僕の全てを尽くす。


「難題、命題、全てはジークフリートの為に____________」


君は僕の人生に価値を与えた。そして教えてくれた。幸福という感情を。


(世界を滅ぼそうと考えていたことはジークフリートには内緒だった。だけど、ジークフリートは僕の心情を言い当てたんだ。それこそが僕にとっての真の天啓だったのかも知れない。)


『辺境でスローライフ計画』。実にジークフリートらしい。だけど僕はその願いを否定しない。僕はジークフリートを愛している。隣人として異性として。僕は従順な駒でいいんだ。ジークフリートと二人で未来を歩めるならなんだってする。


(面白い計画だけど、随分と難しい計画概要を聞かされたのを覚えている。)


『辺境でスローライフ計画』には三つの項目を完了して初めて達成されるとジークフリートは言う。


第一にアングルボザの呪いからの解放。ラグナロクの再来を引き起こし、三人の巨人を討ち滅ぼせば呪いは消え失せる。しかし、この三人の巨人は強大だ。七英雄全員が覚醒していなければ太刀打ち出来ない。故に育っていない七英雄を鍛えなければならないらしい。


(ジークフリートは僕が呪いの解錠条件を知っている事を分かっていた。分かってくれていた......)


愛している。何でも僕の事を知ってくれている。もっと知って欲しい。もっと肉体的に愛してもらいたい。だけど我が儘を言えば嫌われるかも知れないから自重しよう。


第二は『覇王』、グンテル公爵令嬢を刺激し、悪役令嬢としての側面を聖女にぶつける。そしてフロールフ・クラキ王太子に現場を抑えて貰い、公爵家の地位剥奪を狙うと言うものだ。


(確かに悪名高い公爵令嬢の抹殺は辺境でスローライフ計画には必要な事なのかもしれない。僕に言ってくれれば今すぐにでも殺しに言ってあげるのに......)


そして最後に第三項目。聖女に逆ハーレムエンドを形成して貰うというものだ。ジークフリートが言うには自分の存在が付け入る隙がない程に愛されれば平和なスローライフが送れるという。確かに聖女の存在は鬱陶しく、羨ましい。死ねばいいのに。他の男達と乳くりあってればいいんだ。



「ここは......」



目が覚めると僕はベッドの上にいた。保健室。治療の痕跡がある。このルーン魔術、聖女か。恐らく最後に夢で彼女の項目について考えていたのはそのせいだろう。


「..........ヘズ•バルドル」


自分の手を握り、眠りにつく彼女。直ぐに手を振り払い自身の手を見つめる。


(あぁ、そうか.........僕は、負けたんだ。)


人生で初めて負けた。負けた事もわからない程の大敗だ。


「う.....うぅ......」


涙が溢れる。負けた事が悔しいんじゃない。ジークフリートに失望されるかも知れないという恐怖が僕を狂わせる。


「捨てないで........置いていかないで......」


僕にはジークフリートが必要なんだ。ジークフリートだけが僕と向き合ってくれる。変な言動をしても笑ってくれる。愛する隣人、永久なる友人。


「..........ジークフリート」


名前を呼ぶ。好きだ。愛している。君の声が聞きたい。どこにいるの。嫌われていてもいいから君を一目見たいんだ。


「呼んだか、ロキ?」


あぁ、ジークフリート。君はそう言う奴だね。笑顔で彼のいる方向へと顔を向ける。


「目が腫れてるな、これでも使え。」


蒸しタオルを手渡される。だけど僕は最初に謝罪をする。


「ジークフリート、ごめんなさい。」

「いや、何が?」

「負けちゃった.......捨てないでくれると嬉しい」


消えそうな声で懇願する。ジークフリートは僕の頭へと手を起き、笑う。


「捨てねぇーよ。逆に俺を捨てるなよ、ロキ」


捨てないよ。捨てるもんか。ジークフリートは僕のだ。僕が大切にする。大切するから一緒にいて。


「______________捨てないよ、ふふ。」

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