覚醒.......ですか?
目を覚ますと、私は王子様に背負われていた。それに何故か仮面をしている。
「......あ、あの」
(かっこよかったなぁ.........)
先程の光景を鮮明に思い出す。
「起きたか。怪我がなくて良かったよ。」
胸のドキドキがおさまらない。
「お名前はなんて言うんですか?」
私は運命の王子様を見つけてしまった。
「俺は________」
「.........ジークくん」
あの後、部屋から追い出されたブリュンヒルデは家に帰り、身支度をする。明日にはヴァルハラ学園がある『ウルズの泉』へと旅立たねばならないのだ。
(学園に行っている間にジークくんが他の女に誑かせられたらどうしよう)
平常でいられるだろうか。
「いや.........耐えられない」
初恋。それも命の恩人。ブリュンヒルデの全てを掛けるに値する人。
「あぁぁああああああ考えただけで頭が可笑しくなりそう..........」
会ってから一週間も経ってないけれど愛してる。
「好き......好きすぎるぅ!」
精々三日程度の関係だけど。毎日彼の宿屋に通い詰めた。相手にはされなかったけど......
「ジークくんはブリュンヒルデと結ばれる運命......絶対にヴァルハラに連れていくんだからぁ!!!」
ブリュンヒルデから淡く光る聖光が溢れでる。 そして拳を握り、厭らしい笑みを悪女のように浮かべる。
「この力.........ふふふ!」
強い想いから聖女の力が【覚醒】した。してしまったのだ。窮地に立たされた訳でもなく、仲間が傷ついたわけでもない。嫉妬心、そして独占欲がブリュンヒルデを聖女として覚醒させたのである。
(_________これでジークくんを連れていける)
「夜明けにまた会おうね、ジークフリートくん♪」