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序列二位同士の戦い【前】

「__________ジークフリート、次は君の出番だね。」


ロキがつんつんと鎧をつついてくる。それに上目遣いで可愛い。


「あ、あぁ。」


正直に言うと緊張している。何故ならば、元来自分は序列二位ではなく三位の立場にあるのだ。けれどモルドさん曰く私は三位で在るべきだと学園長に直談判した結果序列二位へと昇格してしまった。


(序列が高ければ高いほど、強い奴と当たる........)


俺は「冒険家」で冒険者としての経験はあるが、そこまで強い訳じゃない。


(ディートリッヒは今は師匠と慕ってくれてはいるけれど.......いずれは確実に抜かれる。)


だから俺自身も足掻いてはいるんだ。彼奴らに追い越されないように、ロキに失望されないように上手く振る舞っている。


「____________勝つよ、俺は」


自己暗示。強く、そして自信家であらなければ人はついて来ない。



「「c」組序列二位、「b」組序列二位、闘技場に出よ!!」



闘技場へと歩き出す。負ける訳には行かない。計画の為にも。自身の為にも。


「「c」組序列二位、ジークフリート。七英雄が一人、聖女の従者だ。職業適性は「冒険家」。」


双槍をクロスさせ、中段構えをとる。。


「「b」組序列二位、スヴィプダグ•グローア。職業適性は「冒険王」。お前の上位互換であり、「a」組との対抗戦で聖女ブリュンヒルデを下した男だ。」


フードを外し、褐色の色男が姿を現す。そして剣を鞘から抜き、下段に構える。


(________ふざっけんな!!)


冒険王の職業は「剣帝」と同じく七英雄に並ぶ選ばれた職種の一つだ。もしグローアが「覚醒」もしくは力を使いこなしていたら勝ちの目はない。


「ブリュンヒルデに勝ったからなんだと言うんだ?」


今は余裕然としなければ。相手に一切の隙を与えるな。慢心もするな。三撃の内に相手を仕留める。


「震えているぞ?」

「武者震いだが、なにか?」


口が回る奴。


「__________両者、準備はいいですか?」


ベオウルフ先生が確認を取る。そして同時に首を縦に振った。


「それではクラス対抗戦第三試合、はじめッ!!!!」


試合の合図と共に片方の槍をグローア目掛け投擲する。


「甘いッ!!」


ガキンッと槍を弾く音がする。


(__________奴の死角を狙うッ!!)


先手必勝。弾く隙を狙いもう片方の槍で全力の一撃を放つ。神速の一撃。


「ッぐ!!!」


剣で防御しやがった。なんて反応速度してやがる。


(完全に受け流すことはできない、か)


全力の力を乗せた一撃故にグローアは衝撃の方へとわざと飛び、ダメージを軽減させる。


(流石は冒険王ってことか.....戦いも上手い)


グローアは着地すると同時に身体を回転させ、此方へと剣で突きを放って来た。


「楽しもう、俺たちは冒険をする者だろう!」


槍で何とか受け流すと同時に鋭い蹴りが腹部に入る。


「ぐぶっ、痛ぇ!!」


籠手でグローアの頬を殴りつけるが、笑っていやがる。


「そうだ、もっとだ!!」


剣術と槍術の応酬が始まる。幾度と肌を切り裂くが構わない。手を休めば此方が負ける。数だ。攻撃の多さで打ち勝つしかない。


「滾ってくるなぁ!ジークフリートぉ!!」


槍を掴み、頭突きを噛ましてくる。両者血を流すが、攻撃の手は止まらない。


「ぐっ、うるせぇ!!戦闘狂ぉ!!!」


鍔競り合い。睨み合う。しかし一向に動かない。


「はぁ........はぁ」

(動いた分の隙が生まれる.......グローアも俺も息が上がってる)


あれだけの高速戦闘。息をする暇はない。故に互いに動くことは出来ない。


「........ジークフリート。お前はいい男だ、認めるよ。」


グローアの剣が淡い赤色へと変化していく。


「俺にそっちの気はない。」


ジークフリートは違和感を感じ、バックステップで距離を一度とる。


「はは、面白い奴だ。「冒険王」の力、そして「勝利の剣」、「九つのルーン魔術」全てを解放する。」

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