計画の第一歩
ロキは露骨に嫌な表情を浮かべる。例の約束を本人の許可なく取り付けた為だ。
「損得は役得、変則は減速.........」
対面席に座るロキは自分の胸元へと人差し指を当てる。そして小さく呟いた。
「僕と休日にデートに言って欲しい。勝手に約束を取り付けたんだ。僕だって勝手に約束を取り付ける権利はあるはずだよ、ジークフリート」ギロリ
ロキの頭に手を起き分かったよと言う。ロキは嬉しそうに分かればよろしいと鼻をならす。
「な、な、な..........なんだ、あの尊い会話の応酬は。拙を萌え死にさせるつもりか?」
鼻血を滴しながら二人の会話を盗み聞きし悶えるヘズ。その姿をスケッゴルドとモルドは後ろから覚めた目で見ていた。
「俺、こいつに負けたんだよな......」
序列戦でスケッゴルドはヘズに敗北している。職種差もあるが、純粋に経験値の差が違うのだ。
「私は勝ったけれど、ロキくんとバルドルさんの戦闘を見るに本気を出されていなかったわ。最後にはバルドルさん自ら棄権をして序列戦を下りましたし。」
ロキvsヘズ戦に置いて圧倒的優位に立っていたヘズがロキに地面に組伏せられる。その光景が今でも忘れられない。
「ランスを使っての回避不能の突進、そして崩すことの出来ない防御装甲。速度も相まってまさしく戦車と呼ぶに相応しい火力を誇る人型弩砲。」
それがカウンターを喰らい突進力を組伏せる為に使われ地面に沈む。
「ロキの野郎の底力が計りしれねぇーぜ。」
「そのロキくんと数手とは言え、打ち合えたのは隣にいるジークフリートくんよ。」
ロキにクラスメイト達はなす術もなく敗北している。その中で唯一噛みついたのがジークフリートなのだ。もちろん最後には敗けはしたのだが。
「冒険家の職種は悪くはない、だが、斧使いと同じで戦闘職では下位の方だ。」
「冒険者になって経験をつんで彼処まで強くなったと聞いたわ。」
「はっ!あんなの見せられちゃあ俺たち見たいなひ弱な下位戦闘職でも希望をもっちまう...........ちげぇーな、俺達が強く在らなきゃなんねぇーんだ。」
拳を強く握り締めるスケッゴルド。
「あいつの序列戦に当てられて俺以外のc組の奴らもやる気に満ちてる。厳しい鍛練もつんだ。このクラス対抗戦、勝ちに行くぜ、モルド!」
「貴方も変わったわね。でもその気持ちは私も同じよ。このクラス対抗戦、完全勝利で幕を閉じましょう!」
ジークフリートは二人の会話を聞きながら、兜の中で笑みを浮かべる。
(少年漫画みたいでいいじゃない!)
計画通り、クラスメイトのやる気、そして実力は上がって来ている。注目すべきは斧使いの「スケッゴルド」だ。彼の職種は凡庸だが、精神面での成長が凄まじい。将来的に彼は化けるだろう。そう確信している。
「ロキ、聞いていただろう。」
「あぁ、僕の親友ジークフリート。」
「蹂躙しよう。「c」組が「b」組を圧倒的力で捩じ伏せる。」
「そうじゃなきゃ彼らを鍛えた意味がないね。」ひっひっひ
計画の第一歩。c組の強化、b組への勝利。そして二年生になり、b組に上がれば「a」組への挑戦権を得る。
(そこでブリュンヒルデやクリームヒルトども七英雄の一角を大衆の面前で俺達c組上がり精鋭がボコボコにする。)
そうすれば彼奴らを後々に鍛える理由付けになる。ラグナログに備えて。




