「c」組序列四位のヘズ
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「ジークフリートくん、ありがとう。本当はロキくんにもついて来て貰いたかったけど......」
モルドとジークフリートは生徒宿舎へと向かい歩いていた。「c」組序列四位の引きこもりを部屋から引きずり出す為に。
「いや、あいつは来ない方がいい。引きこもる要因を作ったのは大いにロキのせいだからな。」
『へヴィ•カヴァルリィ•パラディン』、またの名を『聖重騎士』と珍しい職種を選定された強者。しかしロキとの一戦で完全に戦意を喪失、そして自信を失くしてしまった。
「バルドル辺境伯の一人娘、ヘズ•バルドル。鉄壁の守りを誇る聖重騎士の職種を得ながらも一撃のもと、ロキに沈められる。」
一応、冒険者時代もといブリュンヒルデと出会った町、領地がバルドル辺境伯領の一部だ。その辺境伯の娘が序列を決める模擬戦以降、登校を拒否している。むしろ、学園を去りたいと学園長に届け出をだした程だ。
「常勝無敗で英雄豪傑、『鋼鉄乙女』なんて二つ名が着く程、結構有名だったのよ?」
誰一人として彼女を傷つける事が叶わず、常に戦闘では最前線で戦い敵の集中を受け続けるタンク。
「知っているよ。バルドル領で冒険者をしていたからね。」
領地でアングルボザの呪いが大量発生した際には必ず冒険者と共に事態に当たる戦闘狂で有名だった。むしろ、同い年であったことに驚きだ。
「さぁ、着いたわよ。」
ヘズ•バルドルの部屋の前にたどり着く。
「なんか、異様な雰囲気がするんだけど.......」
中から変な呻き声、いや笑い声が聞こえる。そしてなんだかじめじめしていてどことなく暗い。一言で言うと気味が悪い。
「取り敢えず中に入りましょう。鍵は寮母さんから預かっているわ。」
余り騒ぎを立てない為に慎重に鍵を差し込みゆっくりと扉を開ける。
「___________きゃわいいなぁ、いいなぁ」
でへへと変な笑い声が部屋の奥から聞こえてくる。中は暗く視界が悪い。
(足元に気をつけて)
(了解)
目でモルドさんとコミュニケーションを取り、奥へと進んでいく。
「ロキきゅん、まじきゃわゆいなぁ、触りたぁいなぁ、ぺろぺろくんかくんかしたいなぁ」
部屋の内装は一面ロキのグッズに埋め尽くされていた。盗撮写真、ロキ抱き枕、ロキの勇姿を映したルーン映像(模擬戦の動画)と様々なものが見える。
「う、うわぁ......」
モルドさんは余りの光景にドン引きして声を出してしまう。
「誰だッ!」キリ
即座に立ち上がり、警戒態勢になるヘズ。
「待って頂戴!私はクラスメイトのモルドよ、辺境伯。」
「モルド......モルド子爵家の倅か。」キリ
ヘズはジークフリートへと視線を移す。
「貴様のことは覚えている。アングルボザの呪いが溢れた時にあの場にいたな。」キリ
「あぁ、冒険者だからな。」
ジークフリートとモルドは顔を合わせる。
「ねぇ.......私達は一度、模擬戦で戦っているわよ?」
「アンタと戦って俺たちは勝ってる。」
ヘズは二人の発言を聞き、高笑いをした。
「ははは!このヘズ•バルドル、一度は敗戦したが貴様達のような小童に遅れをとった覚えはない!そのような虚言をもう一度吐いてみろ。我が大槍が貴様達を貫くことになるぞ。」キリ
さっきからキリっとキメ顔で言っているが、この女の格好はロキの顔が丁寧に裁縫で縫われた白いブカブカのシャツに女性用の短パンとラフな格好だ。
「......模擬戦でロキに敗れた後に対戦したから記憶が飛んでいるのね。」
身長180cm以上はある高身長女子。髪色はキャラメルブロンドでサイドポニー。ド○クエで言うビ○ンカをふた回り大きくして目付きが鋭くなった外見をしている。
「まぁいいわ。バルドルさん、単刀直入に言うわ。貴方には学校に戻って来て欲しいの。」
「クラス対抗戦が来月にある。序列上位四人は個人戦になるから出席してくれ。」
ヘズはその場へと腰を下ろし、胡座をかく。そして一度考える素振りを見せると直ぐに口を開いた。
「________________断らせて貰う。」キリ
隣にあるロキの抱き枕をギュッと強く抱きしめ戻らないと強く拒絶する。
「理由を聞かせて貰おうかしら?」
「そんなこと言わずとも理解出来るだろッ!!」
なんでか分からないがキレられる。しかも何故か自分の身体を押さえつけぷるぷると赤面をしながら震えてる。
「__________ロキきゅんちょーきゃわわでもぅ拙マヂピエン!!頭がおかしくなりそうなんだよぉ!!!」
............何を言ってんだ、こいつ




