辺境で静かに暮らしたい.....
「あのねあのね!私、ヴァルハラ学園から推薦状が届いたんだぁー!」
この世界に生まれた人間は生後から10年後に天啓と言うものが下る。それはその人物がどの職業に適しているのかと言うものを伝える。騎士なら『ナイト』、戦士なら『ウォリアー』、魔法使いなら『メイジ』がいい例だ。
「おぉ、それはよかったじゃないか。」
(早く学園に行ってくれ...........)
俺の場合は冒険家、『アドベンチャー』だった。まぁ軽く説明するとオールラウンダーだな。何でも器用にこなす事が出きるけど、専門職には及ばない職業。冒険者と言う職業に就いている現在、食い扶持はなんとか職業の適正のおかげで稼げている。
「う、うん.....それでね!一人だけ私、従者を連れ「無理です」
行くわけないだろ。
「え、着いてきてよ」
「拒絶します」
せっかく転生したのにこの容姿だぜ?
確かに美少年だよ......だけど面倒事が多すぎるんだ。
(......この顔、可笑しいもん)
親友の身体になって改めて実感する鴉羽の苦悩。
「だめ、絶対に連れていくから。」
「絶対に行きません!」
ブリュンヒルデは10歳の頃、『聖女』の天啓を受けた。そして天啓で受けた職業は役所に報告する義務が発生する。何故ならば高位の職種適性を受けた者を野放しにしないためだ。
「そもそもお前さんとあってから一週間も立ってないからな。」
【アングルボザの呪い】、まぁ化物と呼んだ方がいいか。それに襲われているところを救ったのが始まりだ。
「時間とか関係ない!」
関係はあると思います。なぜ彼女がこれ程まで自分に固執しているのかって?この呪われた顔のせいだよ。普段は仮面をしているんだけど、クエストの帰り道だったから外していたんだ。それのせいで彼女に素顔を見られてしまった。
__________端的に言うと主人公である【ブリュンヒルデ】はストーカーと化している。
少しだけ昔語りをしよう。
(俺は侯爵家の三男として転生した.....そしていろいろあって公爵家令嬢に嫁げって言われたんだ。)
小さい頃は抗う力もないから、茶会や社交界に多く参加させられた。この容姿のせいで異性からは絶大なアプローチを受け続けた。
(それで最終的に権力を使って俺をものとしようとしたのが公爵家令嬢だったんだ。)
惚れてるとかそんなレベルじゃない程に彼女は自分にお熱だ。もぅヤバイ。何がヤバイかって?全てがヤバイ。
(病んでるよ、あの女。)
束縛がきついし、性格がとくにきつい。周囲は彼女のことをクールビューティーだと勘違いしてるけどあれは正しく将来の『悪役令嬢』だ。
(まぁ、それが原因で14の時に家出しました、はい。)
去年の話だね。もう限界だったよ。俺はあの女に全てを搾取されると思ったね。今は冒険者ライセンスを発行して貰って、なんとかクエストで生計は立てられてはいるけど。
「なんで!ジークくんが来てくれないと私死んじゃう!」
故郷から遠く離れたこの地で俺はCランク冒険者として静かに生涯を終えたいんだ。ちなみに転生したこの世界での名前は【ジークフリート】。
(いや、勝手に死んで下さい......)
とは言えないのでなんとか理解して貰おうと言葉を考える。
「ずっと一緒に入れる訳じゃないんだぞ。例えばブリュンヒルデや俺に恋人が出来「ないよ.........つくる、誰と?ブリュン以外と?は、はは、おかしいよねそれ!ジークくん、嘘なら嘘って言った方がいいよ。その女を肉片に変えちゃうかもしれないからさぁ?」
深淵のように目の奥がどす黒くなるブリュンヒルデ。
(こ、怖いんですけど......)
「学園にいくのやめようかな。ジークくんに変な虫よるのやだし。」
聖女の資格を得ているブリュンヒルデはヴァルハラ学園の推薦状を断ることは出来ない。聖女の役割は来るべき聖戦にて戦士を癒す役目なのだ。【聖女】に選ばれた時点で自由は縛られる。
(........もう目の前によってるんだよ)
ヒロインが非処女で何が悪い!〜幼馴染は何故か処女です〜
https://ncode.syosetu.com/n2324fs/
闇堕ち聖女の恋物語
https://ncode.syosetu.com/n3300hc/
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