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師匠と呼ばせて下さい

「やったあああああああげぇーむせっとぉおおおおお!!!」


観客席からブリュンヒルデのアホらしい叫び声が聞こえる。


「......強くなりたい」


背中の傷は浅くない。それでも無理をして、ディートリッヒはジークフリートの元へと歩み寄る。


「強くなりたいんだ........」











小国故の弱小さ。大国に媚を売らなければ生き残れはしない。


『選べ。我が国の一部となり、栄えるか........それとも争うか。選択は貴様たちにある。』


我が国に大国と戦争を起こすほどの力はなかった。


「これより我はベルン国の王ではなくベルン領、領主となる。大国と併合し我が領地は更なる発展を遂げるだろう...........すまない、息子よ。お前には酷な話をすることになる。」


元ベルン国王である父親は言う。『クラキ国』はベルン領民の反乱を恐れ、元王子である息子の身柄を渡せと命じたらしい。


(そして自分ことディートリッヒ・フォン・ベルンはクラキ国の使者となった。)


使者とは体の言い理由付けで、実質人質のようなものだ。


(最低限の食事に最低限の自由。監視の目。元王族であった自分は罪人のような扱いだった。)


六歳の頃よりクラキ国に在籍している。怨みはある。けれど、力がなかったベルン国が悪いんだ。


(力さえあれば........)


そして転機が訪れる。職種適性で「剣帝」であることが判明したのだ。まさに天啓。七英雄と並ぶ「職種適性」。


「これで取り戻せるぞ!はは、やった!」


力があれば何でも出来るのだと思っていた。独学で修練に望む。


「なんで思うように剣帝の力が引き出せないんだっ!」


けれど、進歩が感じられない。基礎能力は大幅に向上している実感はある。けれどそれだけだった。


『ま、参った.....』『降参だ』『ひぃ!!許してくれぇ!』


それだけだったんだ。にも関わらず自分は試合や大会などで他者を圧倒し、蹂躙してしまった。


「あは、あはは!!」

(か、勝てるじゃないか!剣帝の力が覚醒しなくても、自分は最強なんだ!)


この力があれば誰にだって勝てる。あの七英雄にさえも。国だって取り戻せる。そう、錯覚してしまっていたんだ。


『______________早いしパワーもある。七英雄に並ぶポテンシャルがあるのは認めるよ。』


だけど負けた。完全敗北だった。技術面に劣る自分に勝ち目はない。


(剣帝と言うのは剣の極致、技を極めた者を指す職業。けれど、自分には技術がない。皮肉な話だ。)


父から授かった宝剣二本に申し訳が立たない。この体たらくでは国再興など夢のまた夢。



「教えてくれ_______________ジークフリートみたいに強くなる方法」



頭を深く下げ、懇願する。


「あぁ、構わない。だけど条件が一つだけある。」


顔を上げると、ジークフリートは手を伸ばし握手を求めていた。自分はその手を掴み、どのような願いでも聞くと言う。


「ブリュンヒルデとのピクニックデートにはお前が行ってくれ。」

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