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ブリュンヒルデの憂鬱

【アングルボザの呪いが強まり、完全に解放されれば古より「3人の巨人」が復活をすることになるでしょう。この事を指し我らは『ラグナログの再来』と呼ぶのです。】


授業内容は至って単純。アングルボザの呪いについての授業だった。旅の途中でジークフリートくんが大方教えてくれたこともあり、授業には問題なくついて行けている。


【『三人の巨人』について説明できる方はいますか?】


教師は生徒達を見渡す。次期宰相のスノッリくんが挙手をしているが、教師的には違う人物を指名したいらしい。


「はい!」


しょうがない。此処はブリュンヒルデの頭の良さを見せつけるとしますか。


「一人目の巨人、死国の女神(ヘル)は名の通り復活した際には死者の軍勢を引き連れて侵攻すると記述されています。」


悪神ロキと女巨人アングルボザとの間にもうけた子供の内の一人。文献ではロキがアングルボザの心臓を食べ、その後に女巨人に変身して自らヘルを生んだという記述も存在する。


「二人目の巨人、世界蛇(ヨルムンガンド)。世界を取り巻き、さらに自分の尾をくわえるほど巨大な姿に成長する毒蛇の怪物です。」


ラグナロクの際、雷神トールが『ミョルニルハンマー』を三度投げつけ、ヨルムンガンドをうち倒す事に成功している。だが、最期にヨルムンガンドが吹きかけた毒により雷神は命を落とし、最終的には相打ちと言う結末となった。


「三人目の巨人、フェンに棲む者(フェンリル)。狼の姿をした巨大な怪物です。」


その口を開けば上顎が天に届き、目や鼻からは炎を噴き出す。主神オーディンはこの怪物に飲み込まれ死んでいる。


【素晴らしい!ブリュンヒルデさんに拍手を!】


クラスメート達から拍手を受け、着席をする。次期宰相のスノッリが熱い視線を送っているがブリュンヒルデは気づかない。








「流石はブリュンヒルデ。予習もしているとは感心だな。」


休み時間になり、スノッリくんが自分の机の前に来る。


「ほーんと凄いよねぇ、ヒルデちゃん!」

「貴様はディートリッヒ・フォン・ベルン......何の用だ?」


隣国の王子『ディートリッヒ・フォン・ベルン』もまたこの世界に置いての攻略対象の一人である。選定された職業は「剣帝」。七英雄に並ぶ職業であると公式設定で明確にされている。


「自分が用事があるのはブリュンヒルデちゃん♪お邪魔虫はあっちにでも行ってなよ」

「貴様........」


バチバチと睨み会う二人。ブリュンヒルデは苦笑をしつつ、ディートリヒへと声を掛ける。


「それで用事ってなにかな、ベルンくん?」


ディートリヒは勝ち誇った様子でスノッリから目を離し、子犬のようにブリュンヒルデへと近づく。


「今度の週末に自分とピクニックに行かない?ユグドラシルの大樹の近くにウルズ一面を見渡せるいい穴場を見つけたんだ!」

「あ、それいいかも!」


そんな素敵な場所があるのなら今すぐ向かおう。ジークくんと二人でデートに行くんだ。


(最近全然会えてないし......見つけても直ぐに逃げるんだから!)


捕まえて無理矢理にでも連れてってやる。


「なっ、ブリュンヒルデ!こいつは女癖が悪いと有名なんだぞ!」

「男の嫉妬ほど醜いものはないよ、お邪魔虫くん♪」


二人は何やら喧嘩しているが、今はジークくんだ。探しに行こう。


「あ、あれ?ブリュンヒルデちゃーん!」

「っ、貴様のせいでブリュンヒルデが行ってしまったではないか.......」


歯ぎしりを立てるスノッリにディートリヒは疑問を感じ、ブリュンヒルデの行き先を訪ねる。


「どこに行ったの、ブリュンヒルデちゃん?」

「そんなこと分かりきっている。忌々しい........従者の元へと向かったのだ。」


ディートリヒは「へぇ」と意地の悪い笑みを浮かべ、ブリュンヒルデの後を追うのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 多分ですが、同じ人物が3話前ではスノッリ、この話ではフリットって違う呼ばれ方してるので、修正した方が不自然じゃない気がします。 [一言] 面白いです。今後も更新よろしくお願いします
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