「C」組の一人がおかしい
「______________僕は【ロキ】、『道化師』の職業を選定されたちょーと悪戯づきなエルフさ。」
ホームルームを終え、『c』組での自己紹介が始まる。既に自分の自己紹介は済まし、クラスメート達の自己紹介へと耳を澄ませていた。
「退屈は窮屈でつまらない。自由を愛そう!遊戯を楽しもう!刺激ある学園生活に祝杯を!」ひっひっひ
そしてこいつの自己紹介になった訳だけど.........二期のラスボスじゃねぇーか。何で学園にいるんだよ。【悪神ロキ】の生まれ変わりを自称するサイコ野郎。自称するだけあって神話のロキのように策略や悪知恵に優れている。
(最終的には世界を掻き乱すだけ掻き乱して__________死の間際に【アングルボザの呪い】を完全に解放した悪党だ。)
二期の最終話にて【アングルボザの呪い】を完全解放し【神々の黄昏】の再来を引き起こした元凶。
(あぁ、胃がきりきりしてきた.......)
そしてあろうことかロキは俺の席の隣なんだ。なんか隣で意味深な一人ごとを言いながら『ひっひっひ』って笑ってるし怖いんだけど。
(.........昼休みだし、そろそろ食堂に向かうか。)
触らぬ神に祟りなしって奴だな。席を立ち上がる。
「銀狼の冒険家!喜劇か悲劇かはたまた奇劇か!旅はお好きかい?ファーブニルのお宝は見つけたかい!」
うわ、びっくりした。いきなり話を掛けられ驚く。突然話し掛けて来たと思えば劇で演じる役者の様に語りかけてくる。
「僕は黄昏を見たい!叶えたい!混乱と混沌、交わるは破滅なのかそれとも......君は答えを知っているかい、ジークフリート?」
虹彩異色症、オッドアイの美少年。そして道化師と貴族の外装を併合したような衣装。紫紺色の髪。ピエロ帽子。机には先程までつけていたピエロの仮面が置かれている。
「んな面倒なことよりも今日の昼飯が気になるよ、俺は。」
「んんん!愉快で痛快な解答だよぉジークフリート!ひっひっひ、お昼を共にしても?」
よくしゃべる奴だ。
「あぁ、構わないぞ。」
「それは僥倖!喝采!ジークフリート!あなたに幸あれ!世界は幸福で溢れていた!」
いちいち大袈裟過ぎるロキ。
「俺は学食だけど、弁当持って来てたか....?」
「勤勉なのは偉いことだ!金を得たいなら蓄えよ!浪費は毒、疲労は猛毒!生活基盤は節約家に在れ!」
「あ、弁当ね」
...........ロキがどう言った奴なのかを理解した気がする。
「餓死は悲境、食は愛楽______「恵与」「寄贈」「進上」「献上」「進呈」「贈呈」「奉呈」「恵与」「譲与」「譲渡」しよう、ジークフリート」
「あ、分けてくれるのね。ありがとう」
ロキはご満悦な表情を見せる。物凄く嬉しそうだ。
「今日は良い天気で空気が美味しいな。」
外で昼食を取ることにする。ロキと一緒にウルズの泉が一望できる石ベンチへと腰かける。
「賛同しよう!世界は明るい!特別な日!奇跡の日!輝かし日だ!」
「ははは、面白い奴だな」
大袈裟過ぎるロキの言動、そして動きに思わず笑ってしまう。
「お前見たいな友達が出来て良かったよ。」
「友達.........」
ロキは振り上げていた腕を下ろし、固まってしまう。
「お、おい、大丈夫か?」
「ジークフリート、今、僕を友達って呼んだのかい?」
少し恐れた様子で聞いてくるロキ。俺は苦笑しながらこう答えてやった。
「なんだよ、友達は嫌か?」




